お問合せ

中央労働災害防止協会(中災防)
技術支援部
国際課
TEL 03-3452-6297
FAX 03-5445-1774
E-mail: kokusai@jisha.or.jp

 

お知らせ

国からの委託事業であった 「国際安全衛生センター(JICOSH)」 別ウィンドウが開きます が2008年3月末をもって廃止されました。 永らくのご利用ありがとうございました。 同センターのサイトに掲載されていた個別の情報については、中災防WEBサイトの国別分野別情報にリンクして取り込んでおります。

 

Get ADOBE READER
PDF形式のファイルをご覧になるには、Adobe Systems Incorporated(アドビシステムズ社)のAdobe® Reader™が必要です。

 

各国情報・国際関係

海外進出OSH情報交流会におけるパネルディスカッション・質疑応答(ポイント)

各講師の方々のご説明後、以下論点を会場掲示の下、講師間ディスカッション・参加者との質疑応答を行いました。

論点

  1. 人材の流動性が高く、教育しても無駄? → 定着率を上げるには?
  2. 5SやKYの定着の苦労と工夫は?
  3. 教育・研修のやり方の工夫は?
  4. 安全衛生のためのマニュアルは有効か?
  5. 日本での研修は有効か?
  6. 日本側のサポート体制で留意すべき点は?
  7. 現地のネットワークづくりはどうするか?
  8. 中災防や安衛研など関係団体に期待する点は?

 

その他参加者から寄せられた主な関心事項

  • 海外展開先で、労働災害の定義を統一しているか。例えば、休業災害、不休災害、微傷事故の定義はどのようなものか。
  • 海外では、法制度と運用のギャップが大きいようであるが、どのように対応する必要があるか、また、諸外国では、EU指令などの国際基準について国際的に急速に普及しているので、日本が取り残される恐れはないか。
  • 欧米とは文化などが相当異なることから、海外展開で苦労することはないか。
  • 日本本社が現地安全指導するなどの際、その支援体制について留意点はあるか。
  • 日本の労働安全衛生制度が海外で定着していくと、日系企業が海外展開する上で支援材料になると思うが、そのための現地への働きかけはなされているのか。
  • 安全管理の手法として、不具合を発見し解決していくために、その関与者をその度毎に教育し是正していくようにすることが効果的か、あるいは、長けた者を育成しその者に取り組ませ改善に結びつけていくことが効果的か。

これらの点を踏まえ、講師間でディスカッションがなされた。(概要)

現地の法制度・関連規制の国際潮流への対応

  • 現地の法制度への対応については、法令遵守の観点や現地当局の運用方針に留意する必要。
  • 日本と遜色のない法制度を有している場合もありこれへの対応も必要であるが、法制度のみならず実際に現場に影響のある規格にも留意することが重要。例えば、EUでのISO/IECの位置づけなど、地域によっては強制規格化されている場合もあるが、日本としての対応は十分でない印象。
  • 日本の社会で育ったゼロ災・KYTは有効な手法で、アジアでも適用可能と考えるが、例えば、機械安全分野では、今後は、グローバル化への対応も考えていかないと市場進出で遅れをとる恐れがある。
  • 国によっては、相当古い時代の規制が残っているなど実態にそぐわない、また、規制としての意義を喪失し形骸化しているまま制度として存置されているようなものも見受けられる。かかる場合、法制度の遵守のみならず、自主的な安全管理活動に取り組んでいかないと自社の安全水準は向上しない。
  • EUでの考え方も押さえていくことは重要であるが、単に従うというだけでなく、例えば、そこでのRAの考え方について、残留リスクへの対応を加味し日本流にしていくなど、日本の良いところを発信していくことも重要。ただ、日本の社会経済情勢から、日本の強みが今後とも維持されていくかとの懸念はある。

人材の流動性への対応(定着率の向上策)

  • 歴史のある企業、利益を出している企業は、定着率は高いのでは。かかる歴史のある企業で貢献度を反映できるような仕組みを構築していくことが重要。
  • 自分の会社で長年勤めると、自己のキャリアアップにつながると自ら認識してもらうことが重要。そのために、かかる点をトップが社内で明確にすることが重要。

5SやKYの定着と工夫

  • 国によっては、国民性から、大声を出したり、指差呼称をすることを恥ずかしいと感じるところもあるが、根粘り強く再教育していくことが重要。
  • 当初は、根付かないが繰り返し教育していくとが重要。日本も実は昔はなかったが、TBMを取り組むようになって、ボトムアップの機運が出てくるようになったのでは。
  • 5SやKYについて、キャリアアップとも結びつくような資格制度を設けることも有効ではないか。いかに安全面のマネジメントが重要と叫んでも、ハザードの具体的同定もできず書類を積み上げているようなものでよいのか、このマネジメントを動かすとすれば、自ら危険を予知し対応について判断できるように訓練することが前提であり、これを踏まえ現場からボトムアップしていかないと生産活動に支障が生じかねない。

教育・研修のやり方と工夫、日本での研修の有効性、日本側のサポート体制の留意点

  • 教育を例にとると、現地の状況をよく把握して、いつまでに計画を立て実施し監査が達成されるようにするなど、現地でPDCAが回るようにしていくことが重要。
  • 日本での研修参加は、現地にとってはステイタス。安全部署のキーパーソンを参加させることとしているが有効なものと実感している、一方で参加した者の離職問題もありその対策も考えていく必要。
  • 現地でKYを指導しているが、日本でどのようになされているか実際に見てもらうと効果的。学習は繰り返し行わないと忘れてしまうものであり、現地での教育と日本での研修を組み合わせることが効果的。
  • 海外から単にお金を稼ぐというのではなく、日本の技能を身に付けようという意識が高まってきており、このようなニーズに応えるための受入れ体制を考えていくことが重要。

その他

  • 欧米では、単に本社からの指示というだけでは取り組みはなされず、明確な基本方針を示し納得の上、具体的な実施方法を考えさせる方法でないと定着しない。
  • 支援体制はまさにトップの考え次第。本社からの応援含めトップ自ら重要と考えないと実効性が上がらない。
  • 労働安全衛生面の日本のODAが大幅削減された中で、近年、企業の海外進出支援に当たり労働安全衛生面での支援の必要性は一層高まっている。JICA(国際協力機構)でも最近は日系企業の支援を打ち出してきており、こことの連携も重要。
  • 現地工場での製造部署と環境安全部署との連携は意外ととれていないところがある。工場長のイニシアティブが重要となってくるので、これが発揮できるよう、工場長含め関連部署に力量のある者を配置するようにすることも重要。
  • 問題あるところを直していくことも、ほめてどんどん伸ばしていくこと双方が重要。ただ、「ほめてやらねば人は動かじ」という言葉もあるように、ほめることは重要。 (了)

お問合せ

中央労働災害防止協会(中災防) 技術支援部 国際課
〒 108-0014 東京都港区芝5-35-2
TEL 03-3452-6297 FAX 03-5445-1774

 

全ての働く人々に安全・健康を 〜Safe Work , Safe Life〜

中央労働災害防止協会
〒108-0014 東京都港区芝5-35-2 安全衛生総合会館

  • 厚生労働省
  • 安全衛生マネジメントシステム審査センター
  • 安全衛生情報センター