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中央労働災害防止協会(中災防)
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E-mail: kokusai@jisha.or.jp

 

お知らせ

国からの委託事業であった 「国際安全衛生センター(JICOSH)」 別ウィンドウが開きます が2008年3月末をもって廃止されました。 永らくのご利用ありがとうございました。 同センターのサイトに掲載されていた情報についてはこちらをご覧ください。

 

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各国情報・国際関係

海外進出企業等との情報交流

全国大会時の海外進出パネルディスカッションの開催結果(2015 名古屋)

パネルディスカッション 中央労働災害防止協会(中災防)は、名古屋で開催された全国産業安全衛生大会の開催期間中の2015年10月30日(金)13:00-14:30、「海外進出時における安全衛生活動の進め方」をテーマに、パネルディスカッションを開催いたしました。

本パネルディスカッションは、企業の方々にとって、グローバル化の進展により、労働安全衛生面の本質的な検討やこれまでなじみのない地域への進出に際しての検討が迫られつつあるとともに、進出先の状況・安全意識・安全文化などを深く検討していく必要性の高まりがみられることを背景に、2013年大阪大会、2014年広島大会、そして海外進出情報交流会(2014年2月より東京にて4回開催)に引き続き、実施いたしました。

 

【ディスカッション時模様】
【当日概要】 各パネラーの方々の自社の取組み等のご説明概要

 

各パネラーの方々の自社の取組み等のご説明 トヨタ紡織株式会社 安全衛生環境部 安全衛生推進室 室長 奥 孝一 様
  • トヨタ紡織グループの安全理念
    トヨタ紡織グループでは、「安全は、総てに優先する」という安全衛生基本方針を定め、グローバル方針から各地域方針、事業体方針、工場方針へ順次落とし込まれ、「災害・疾病の防止や相互啓発型安全・健康文化の構築と定着」に取り組んでいる。
  • 海外生産拠点の安全活動取り組み
    安全衛生活動の展開は、各地域統括会社(米州、欧州・アフリカ、中国、アセアン)が中心的な役割を担っている。全社レベルから各地域、各事業体・工場単位それぞれで定期的に安全衛生委員会を開催しており、この中で方針の確認、現地現物による安全点検等を実施している。地域統括会社が各拠点を集めて開催する安全衛生委員会では、いろいろな工場を現地担当者が相互に肌で感じ体験し、自社に持ち帰り横展を実施している。
  • 海外で出向者が抱える問題
    -
    フィリピンにおける自身の経験より、フィリピンの安全衛生活動は現地現物での安全点検・OSHMS・安全教育を実施しているが、現地で受け入れてもらえず「やらされている感」を肌で感じ、フィリピンの風土・文化を取り入れる必要性がある。
    -
    出向者としての心構えとして
    「安全の知識」:
    自分は製造出身。安全は現地で指示された事をやればいいと思っていたが、フィリピンで安全の課題に直面し、安全活動の重要性を強く感じたとともに予備知識不足を痛感した。
    「文化・風土」:
    素直で自分のプラスになる事は学ぼうとするが、反省は苦手。今まで叱られた経験がないので、会社を辞めてしまう。そこで伸ばす方法を取った。最初30%しか出来ないのは承知の上、次の時は50%、次は80%と褒めてあげれば次のステップに挑もうとした。
    「5S」:
    フィリピンでは、掃除は掃除屋さんの仕事(人の仕事を奪う)という考え。そこで綺麗な時の写真を撮り、帰る時はその写真と同じ様にして帰る、朝礼で褒めると継続した。
    「労働者の定着率」:
    より高い給与を求め会社を変わる人が多く、新しい従業員が入るたびに、安全教育を実施しなければならない。現物教育の充実をはかるためにも、安全道場が有効になる。
    トップによる工場巡視:
    社長自ら工場を毎日1回以上、工場長は毎日4回以上巡回する事により、従業員とのコミュニケーションが向上。気付いたことはその場でOJTを実施する事で、安全意識の向上にもつながった。
    工場高さ1.5m活動:
    棚・材料の高さが2m以上あり、工場全体が見渡せず、従業員の顔が見えない状態だった。棚・部品の高さを1.5m以下にした。どこからでも従業員の顔が見えるようになり、従業員は標準作業を守り、トップは従業員の顔色、変化点をキャッチし未然に危険を防止した。
    安全道場:
    安全道場を作り、入社時の安全教育、入社後の思い出し教育を実施した。家族を大切にするフィリピンの文化を取り入れ、掲示・安全クイズなどに「家族をキーワード」に取り入れることにより安全意識向上を図った。
    ヒヤリ・ハット提案:
    良い提案は、フィリピンだけでなく、トヨタ紡織グループ90拠点で横展開され、モチベーション向上にもつながった。
  • フィリピンで働く皆さんは、元気で前向きに生きている印象がある。就業中や教育・セミナーを受ける時の顔は、真剣そのもの。一方で誕生日会、結婚式、子供が生まれた時などは、心の底から皆で祝う。会社一丸になって取り組めば、「災害ゼロ」は実現できる。グループ全体で相互啓発活動を活発に実施しこれからは、全世界に向け安全活動を続ける。
日本コカ・コーラ株式会社 技術・サプライチェーン本部
品質・労働安全衛生・環境ガバナンス 労働安全衛生・環境サステナビリティ
マネージャー 近藤 葵 様
  • コカ・コーラシステムの労働安全衛生に関する体系には、以下の2つの特徴が挙げられる。
    -
    全世界共通の要求事項『KORE(Coca-Cola Operating Requirements ※KOは、ニューヨーク証券取引所に上場しているThe Coca-Cola Companyの略称)』
    労働安全衛生のみならず、食品安全、品質、環境も合わせた4側面について、細かい規定(方法(参照文章(手引き)、作業手順)、目的(要求事項/検査方法、規格、基準)が設けられている。OHSAS18001等の規格で求められるマネジメントシステムだけでなく、定量的な基準を含んでいるところが特徴。
    -
    グローバル基準の監査
    上記の要求事項KOREおよび現地法令の事業所における遵守状況を確認するために、全世界共通スキームで監査を実施している。
  • 要求事項『KORE』導入の歩み
    「従業員の安全は全てに優先される」という企業方針の下、2007年より社内基準KOREの導入を進めたが、導入当初、ボトラー社(主に製造・物流・販売を行う会社)およびその製造現場から少なからず反発があった。主な意見は次の2つ。①莫大な投資がかかる(主に経営側の声)、②日本人の安全意識・レベルは十分に高い(主に現場側の声)。これに対して、事務局側がプロジェクトを進める上で注意した点は、「「相手の立場や経験を尊重する」、「「何故必要なのか」をしっかり説明する」とした。KORE導入の結果、特に設備・機械関係の本質安全化により、労働災害の度数率はかつての3分の1程度まで減少することができた。
  • 日本独自の活動:『スマイルと帰ろう』
    2013年頃には生産拠点においてKOREは定着しつつあったが、労働安全衛生に対して「ルールに締め付けられる」「監査で指摘される」「労災を起こしたら怒られる」といったネガティブなイメージが残存していたことも事実としてあった。これを払拭し、災害ゼロに向けてさらに前進するためにスタートした労働安全衛生啓発プログラムが、『スマイルと帰ろう』である。『スマイルと帰ろう』とは、「怪我をせず仕事を終え、笑顔で家族のもとに帰ろう」という意味の従業員向けのメッセージであり、そのコンセプトと特徴は、「コカ・コーラシステムらしいポジティブなメッセージ・活動」、「労働安全衛生活動による"利益"を提唱」、「「××するな」「○○してはいけない」といったネガティブなアプローチは採用せず、良い行動を賞賛する」。具体的には、共通のロゴを用いたポスター、ノート、ユニフォーム、唱和を用いて安全を身近に感じてもらうプロモーション活動を進めていった。併せて、KYT活動を全社で導入し、『スマイルKYT活動』としてコカ・コーラシステムらしさを前面に出した危険予知訓練を実施している。(※KYT=危険予知訓練:職場や作業の中にひそむ危険要因とそれが引き起こす現象について小集団で話し合い、行動する前に解決する訓練)
  • 今後の課題と展望
    日本独自のプログラム『スマイルと帰ろう』、その中でも特に『スマイルKYT活動』は、アメリカ本社や海外の他国からも高く評価され、2014年度、「コカ・コーラグローバルアワード」の安全部門で第2位を獲得した。今後の展望としては、全世界のコカ・コーラシステムに対して、日本が誇れるKYTを含めたこの活動を広めていきたいと考えている。『KYTで世界を救う』ことを目標に、引き続き活動を進めていきたい。
一般社団法人日本化学工業協会 環境安全部兼レスポンシブルケア推進部
部長 山本 卓 様
  • 海外と日本の安全に対する考え方の違い
    アセアンにおいては、交通における安全の考え方に見られるように、危険に対する感受性に大きな違いがある。また欧米においては「仕事は対価」という考え方が中心にある。ジョブディスクリプションが明確であり、行間を読むことなくマニュアル通りに作業することが基本。こういった違いの中で作業環境を安全に整えていく必要がある。
  • 海外進出の形態と安全活動
    海外進出時における安全活動の進め方については、海外進出の方法が多様なため一括りにまとめて表現するのは困難である。少々極端な分け方になるが、以下に3例を挙げる。
    現地企業との合弁で新規工場を建設する場合
    海外で新規に工場を100%日本資本にて設置する場合
    現地企業を買収する場合
    当然のことながらその工場の製造技術(日本企業か現地企業か)や事業管理(日本企業か現地企業か)や従業員の経歴(現地企業からの派遣か現地従業員採用か従来からの従業員か)には違いがあり、安全衛生活動の進め方は工場の安全文化や従業員の安全衛生レベルに大きく影響を受ける。それぞれのケースでの安全衛生活動の取り組みについてポイントと考えられる点は以下の3点と考える。
    合弁企業との安全管理に関するコミュニケーション、安全文化の交流(例 KY&BBS)
    優秀なマネージャーの採用と日本式安全衛生活動の理解
    現地企業のビジネス状況のみならず、安全文化の確認
  • 海外における安全衛生活動で有効であった活動
    現地の安全レベルの向上を目指すには、現場作業者の安全に対する感度を上げ、安全活動に対するモチベーションを高めることが重要と考える。安全活動に対する表彰や日本への研修(体験型研修や緊急事態訓練への参加)の提供等を実施した。また、現地各関係会社間の現場踏査を実施し、転落防止対策や挟まれ巻き込まれ対策の状況等を自社と比較する機会を与えることにより、さらなる改善が実施された。
  • 海外で展開するにあたって気になる点
    海外においては転職率が日本と比較して一般的に高い。そのために、技術やノウハウを文章としてマニュルに正しくすべてを落とし込むことが推奨される。安全に対する項目もマニュアルに適切に組み込むことが必要。マニュアル順守を徹底すれば安全が維持できる状態を作ることが重要と考える。
  • 安全活動の海外展開は、同様に取り組むことができる部分とそれぞれの条件や環境によって異なり個別に時間をかけて対応せざるを得ない部分がある。現場をしっかり見ることによって問題点も浮かび上がり、良い点も見えてくる。海外においても現場主義には変わりはない。

 

(司会:中災防技術支援部審議役兼国際センター所長 福味 恵)

 

参加者からのアンケート結果(127通)によれば、参考になった旨の回答を多くお寄せいただいたことからも、本取組みについての高いニーズを感じています。

 

 

アンケート結果から、今後の本取組みにつなげていきたいと考えています。

 

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