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国からの委託事業であった 「国際安全衛生センター(JICOSH)」 別ウィンドウが開きます が2008年3月末をもって廃止されました。 永らくのご利用ありがとうございました。 同センターのサイトに掲載されていた個別の情報については、中災防WEBサイトの国別分野別情報にリンクして取り込んでおります。

 

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各国情報・国際関係

海外の労働安全衛生統計−イギリスの安全衛生法制定以降の安全衛生状況

2009年6月30日

イギリス安全衛生庁(HSE)のウェブサイトにおける 統計(statistics) 別ウィンドウが開きます のページに、 「労働安全衛生法制定以降の歴史的回顧-Historical picture」 別ウィンドウが開きます が2008年12月5日に掲載された。1974年に労働安全衛生法が制定されて以来の歴史的回顧がなされている。 その概要は次のとおりである。

 

労働安全衛生法制定時及び現在の主題

1974−労働安全衛生法の導入:大胆かつ遠大な法令

2008−基本構想:文明社会の基盤としての安全衛生の認識の向上

1974年以降、イギリスの業務上の死傷災害率及び発生数はかなり減少してきている。 この減少の半分は、雇用形態の構造変化によると考えられている。 業務関連の健康障害については、明らかになっていない、というのは、 疾病等の総合的なデータが利用可能になったのは過去10年位からである。

 

主な傾向

1974年から2008年の間の死傷災害

  • 死亡災害は、75%減少
  • 死亡災害10万人率は、76%減少
  • 休業災害は、70%減少
  • 主要業種における、災害発生率及び件数の減少
  • 過去10年の死亡災害10万人率の減少の約24%は、 製造業及び重工業から低リスクのサービス産業への労働力の移動によるものである。
  • 最近の調査によれば、1986年以降の休業災害率の減少の50%は、 労働者の職業の変化に起因しているとされている。

業務関連健康障害についての1974年以降からの整合的なデータが存在するのは、 一部の胸部疾患に限られる。

1974と2006年の間においては、

  • じん肺による死亡は減少
  • 石綿に起因する死亡(現存の患者は、多くが30〜40年前にばく露されたものであるが)は、増加

労働力調査(Labour Force Survey - LFS)による総合的データの調査が、1990年以降、実施されてきている。 不健康についての自己申告データによれば、1990年と2007/08年の間の疾病等については:

  • 業務関連疾患率は、減少
  • 筋骨格系障害率は、減少
  • ストレス関連不健康の有所見率は、上昇
  • 雇用形態の転換は、全体的な減少には、あまり関係してないように見られる (サービス産業部門の一部においては、自己申告における報告の率が高い)。

 

労働安全衛生法(1974)導入以降の当初と最近の死傷災害及び疾病

労働安全衛生法(1974)導入以降の当初と最近の死傷災害及び疾病
死 傷 災 害 当初 最近
1974年 2007/08 年
死亡災害(医療、教育及び官公署を除く)1 651 166
死亡10万人率 2.9 0.7
休業災害(医療、教育及び官公署を除く)2 336‚701 100‚315
職 業 病 1974年 2006年
じん肺による死亡3 453 162
石綿による死亡 25 393
中皮腫による死亡4 243 2‚056
自己申告による業務関連疾患率5(過去12月間雇用された者の10万人率) 1990年 2007/08年
全体 5‚940 4‚170
筋骨格系障害 2‚750 1‚810
ストレス及び関連条件6 820 1‚620
  1. 1974年においては、死傷災害の数値は製造業及びいくつかのサービス産業のみである。
  2. 1974年以降、災害の報告に関する規則改正は3回行われてきている。 それらは、重篤または重大災害の定義の変更である。 早い時期の数値には、現在においても同様ではあるが、未報告がある。また、未報告の程度は不明である。
  3. 石綿によるものを除く。
  4. 石綿に関連する癌であり、1960年半ばまでの石綿の使用の増加により増加した。 それ以降の使用量の減少により、これへの若年男性層の罹患は減少してきている。
  5. 自己申告による業務関連疾病の推計は、労働力調査の結果に基づいている。 これらの数値は、対象が整合するように調整されている (例えば、イングランドとウェールズにおいて過去12ヶ月間に働いたものに限定されている)、 そしてその場合においても、調査設計と収集データの差異などの要因に影響を受ける。
  6. 業務関連ストレスに対する認識と考え方は1990年台において変化し、このために申告数が増加していると考えられる。 2001/02、2004/05間において、当初の増加は平準化し、その後上下に変動している。

死亡者数及び死亡10万人率/死傷者数及び死傷10万人率/自己申告による業務上の疾患の推計罹

患率の推移図

図1 死亡者数及び死亡10万人率の推移(1974‚1981‚1986/87‚1996/97-2007/08(暫定))
図1 死亡者数及び死亡10万人率の推移

 

図2 死傷者数及び死傷10万人率(1986/87 - 2007/08(暫定))
図2 死傷者数及び死傷10万人率

 

図3 自己申告による業務上の疾患の推計罹患率の比較 (1990から2007/08、イングランドとウェールズにおいて1990から2007/08の間のそれぞれの年に12月働いた労働者)
図3 自己申告による業務上の疾患の推計罹患率の比較

Prevalence rate (per 100‚000):罹患10万人率、95% confidence interval:95%信頼性区間
All illness:全疾病、Musculoskeletal disorder:筋骨格系疾患、
Stress related condition:ストレス関連疾患

雇用の状況

1974年の労働安全衛生法が制定されたときと21世紀における現況との雇用の状況の差異については、十分な把握は困難であるが、主要な事項を以下に示す。

  • 製造業からサービス業への転換が進行した。(製造業の雇用は、300万人減少し、サービス業に従事する労働者が83%を占めるに到った。)
  • 労働者の総数は、1974年の2‚230万人が、2007/08には2‚640万人に増加した。
  • 自営労働者の数は、1974年においては200万人であったが、現在では400万人を超えている。
  • 小企業の数が急速に増加している。2007年初めの調査によると、イギリスの470万の企業の99.3%は、労働者数50名以下の小企業で、 労働者数が250名を超える企業は、0.1%に過ぎない。イギリスの労働者の59.2%が中小企業に雇用されており、74%の企業においては、労働者を雇用していない。
  • パートタイム労働者は、1970年代の半ばの6分の1から3分の1(31.9%)に増加した。全労働者の中の女性は、5分の2から約半数(48.0%)に増加した。
  • 経済活動の変化により、労働形態の臨時、代理業、請負、移民労働者との共存などへの変化が進行している。

その他

執行通知、司法処分等の推移、諸データの出所など

関連情報

イギリスの安全衛生規制全般の歴史については、2004年に刊行の簡潔にまとめられた下記資料(16ページ)がある。
Thirty years on and looking forward
−The development and future of the health and safety system in Great Britain
PDF 別ウィンドウが開きます http://www.hse.gov.uk/aboutus/reports/30years.pdf

アメリカOSHAは、2008年12月に創立以来の活動成果をまとめた下記資料(54ページ)を刊行している。
OSHA FACT BOOK
−Occupational Safety and Health Administration U.S. Department of Labor
(December 2008 OSHA 3340)
PDF 別ウィンドウが開きます http://www.osha.gov/as/opa/OSHAfact-book-stohler.pdf

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