お問合せ

中央労働災害防止協会(中災防)
技術支援部
国際課
TEL 03-3452-6297
FAX 03-5445-1774
E-mail: kokusai@jisha.or.jp

 

お知らせ

国からの委託事業であった 「国際安全衛生センター(JICOSH)」 別ウィンドウが開きます が2008年3月末をもって廃止されました。 永らくのご利用ありがとうございました。 同センターのサイトに掲載されていた個別の情報については、中災防WEBサイトの国別分野別情報にリンクして取り込んでおります。

 

Get ADOBE READER
PDF形式のファイルをご覧になるには、Adobe Systems Incorporated(アドビシステムズ社)のAdobe® Reader™が必要です。

 

各国情報・国際関係

海外の安全衛生統計−アメリカ(2009業務上の負傷及び疾病発生状況)

2010年12月7日

アメリカ労働省労働統計局(Bureau of labor Statistics-BLS)から、2009年におけるアメリカの業務上の負傷及び疾病発生状況が公表されたので、概要を紹介する。

2009年の民間産業の業務上の負傷及び疾病(以下「傷病」)は、常用労働者100人当りの件数(傷病年100人率)において、2008年の3.9から3.6に減少した(図1)。また、傷病件数についても、2008年の370万件から330万件に減少した。民間産業の傷病年100人率は、2003年に業務上傷病調査(Survey of Occupational Injury and illness‚ SOII)の開始以降、着実に減少している。

2009年業務上の傷病調査から分る主な事項
民間企業の負傷及び疾病
図1
年別傷病区分別傷病年100人率(民間企業)
図2
年別企業規模別傷病年100人率(民間企業)
(以下に業種別等の表を付する)
 
表1
業種別事案別業務上傷病年100人率(2009)
表2
業種別事案別業務上傷病数(2009年、単位1‚000)
表3
業種別規模別業務上傷病年100人率
表4
業種別業務上負傷年100人率及び負傷数
表5a
業種別、疾病種類別業務上疾病年10‚000人率(2009年)
表5b
業種別、疾病種類別業務上疾病数(2009年、単位1‚000)
表6
主要民間産業における年別(2007〜2009)傷病年100人率

2009年業務上の傷病調査から分る主な事項

  • 民間企業の傷病年100人率は、かなり減少した、ただし要休業傷病年100人率については2008年との比較において変わっていない(図1)。傷病数については、すべての傷病の区分について減少している。
  • 製造業における傷病件数は、2003年のこの調査開始以降、各年間で最大の減少を示しており、2009年は2008年から23%(161‚100件)減となり、傷病100人率においても0.7下がって4.3となった。製造業における減少は、2009年の全民間企業の傷病に対して39%となっている。
  • 建設業については、2008年に比べて71‚700件減の22%減で、傷病100人率も0.4減の4.3となった。製造業と建設業の減少の合計は、2009年の全民間企業の傷病に対して56%の減少となっている。
  • 民間企業の負傷100人率は、2008年の3.7から3.4に下がり、負傷件数において11%減となった。
  • 民間企業の疾病100人率及び疾病件数の双方において、2008年に比べてかなりの減少となった。皮膚疾患の減少が大きく、疾病における減少の47%を占めている。

休業等傷病(DART)となる休業、作業転換または作業制限(Day away from work‚ job transfer or restriction case)を伴う重篤な傷病は、民間企業の傷病数の約半数を若干上回っている。2009年の休業等傷病年100人率は、2008年より0.2減少して1.8となった(表6)。休業等傷病のうち、作業転換または作業制限を伴う傷病(作業転換等傷病)年100人率は、2008年の0.9から0.8に下がったが、休業傷病年100人率については2008年に比べて変化はなかった。製造業は、作業転換等傷病年100人率が休業傷病年100人率を上回ったただ1つの業種であり、この傾向は12年続いている。その他の傷病事案−休業等以外の事案−は、2008年の1.9から1.8に下がった。

傷病年100人率は、2009年においては、労働者50〜249人の事業場において最も高く、10人以下の事業場において最も低くなっている(図2、表3)。

民間企業の負傷及び疾病

負傷 :
傷病330万件のうちの約310万件(94.9%)は、負傷によるものであり、230万件(74.8%)はサービス提供型業種(民間企業の労働者の81.1%を雇用)で発生している(表4)。約80万件(25.2%)が、物の生産関連業種(民間企業の労働者の18.9%を雇用)である。
疾病 :
業務上の疾病は、傷病件数330万件のうちの5%を若干上回る件数である(表5b参照)。2009年の報告件数は、2008年に比べて11%少なく、2008年の187‚400件から166‚200件となった。この結果、常用労働者10‚000人当りの疾病数は、2008年の19.7から18.3に下がった(表5a参照)。

物の生産関連業種全体では、民間企業の業務上疾病総数の34%に上っており、民間企業の報告された疾病の減少の3分の2を占めている。結果的に、2009年の民間企業の業務上疾病は、件数、率ともにかなり減少した。製造業では、民間企業の業務上疾病のほぼ29%を占め、2008年に比べて11‚200件の減となった。サービス提供型業種では、2008年に比べて7‚500件減であったが、傷病年100人率では変化はなかった。

図1 年別傷病区分別傷病年100人率(民間企業)

図2 年別企業規模別傷病年100人率(民間企業)

注1
業務上の負傷及び疾病事案(総要記録傷病事案(Total recordable case‚ TRC))は、休業、作業転換・制限を伴う傷病事案(休業等傷病事案(Days away from work‚ job transfer or restriction cases‚ DART))とその他の傷病事案に区分され、休業等傷病事案は、休業を伴う傷病事案(休業傷病事案(Day away from work case‚ DAFW))及び作業転換・制限を伴う事案(作業転換等事案(Job transfer or restriction cases‚ DJTR))に区分される。
   2
アメリカでは、労働安全衛生法第8条により業務上の死亡、負傷、疾病の正確な記録を作成することが事業者に義務付けられている。ただし救急措置のみを必要とし、医学的治療、意識の喪失、作業転換又は制限などを伴わないものは除かれる。
表1 業種別事案別業務上傷病年100人率(2009)
業種 年平均雇用者数(単位1‚000) 総傷病年100人率 (TRC) うち、休業、作業転換、制限を伴う事案(DART) うち、その他の傷病事案
合計 DAFW DJTR
全産業
(政府関連を含む)
130‚315.8 3.9 1.9 1.2 0.8 2.0
民間産業 111‚469.1 3.6 1.8 1.1 0.8 1.8
 物の生産型業種 21‚063.8 4.3 2.3 1.2 1.1 2.0
 農林水産狩猟業 977.7 5.3 2.8 1.6 1.2 2.4
 鉱業 689.1 2.4 1.5 1.1 0.4 1.0
 建設業 7‚700.5 4.3 2.3 1.6 0.7 2.0
 製造業 12‚696.5 4.3 2.3 1.0 1.3 2.0
サービス提供型業種 90‚405.3 3.4 1.7 1.0 0.7 1.7
 商業、運輸、公益事業 25‚645.4 4.1 2.4 1.4 1.0 1.8
 情報通信業 2‚932.2 1.9 1.0 0.7 0.3 0.9
 金融業 7.904.9 1.5 0.6 0.4 0.2 0.8
 専門・ビジネスサービス 17‚366.8 1.8 0.9 0.6 0.3 0.9
 教育・医療サービス 18‚359.5 5.0 2.2 1.3 1.0 2.7
 レジャー・接客業 13‚586.3 3.9 1.6 1.0 0.6 2.3
 その他のサービス 4‚607.1 2.9 1.4 1.0 0.5 1.5
政府(連邦・州)関連 18‚846.7 5.8 2.5 1.8 0.7 3.3
注1
年平均雇用者数:Annual average employment、総要記録傷病事案:Total recordable cases (TRC)、休業、作業転換・制限を伴う傷病事案:Days away from work‚ job transfer or restriction cases (DART)、休業を伴う事案:Days away from work cases (DAFW)、作業転換・制限を伴う事案:Job transfer or restriction cases (DJTR)
   2
常用労働者100人当りの年間傷病件数(傷病年100人率)は、次式で計算される。
傷病年100人率=(N/EH)×200‚000
ここで、N = 傷病数   EH = 年延べ労働時間
   200‚000=常用労働者100人が年50週、週40時間労働すると仮定
表2 業種別事案別業務上傷病数(2009年、単位1‚000)
業種 総傷病数(TRC) 休業、作業転換、制限を伴う事案(DART) その他の傷病事案
合計 DAFW DJTR
全産業
(政府関連を含む)
4‚140.7 2‚041.5 1‚238.5 803.0 2‚099.2
民間産業 3‚277.7 1‚667.4 965.0 702.4 1‚610.4
 物の生産型業種 842.1 457.1 241.3 215.8 385.1
  農林水産狩猟業 44.9 24.2 13.8 10.4 20.6
  鉱業 17.7 10.7 7.8 2.9 6.9
  建設業 251.0 136.5 92.5 44.0 114.5
  製造業 528.6 285.6 127.1 158.5 243.0
 サービス提供型業種 2‚436.6 1‚210.3 723.7 486.6 1‚225.3
  商業、運輸、公益事業 898.3 517.4 295.7 221.7 380.9
  情報通信業 49.3 25.1 17.0 8.1 24.2
  金融業 104.6 45.6 30.3 15.4 58.9
  専門・ビジネスサービス 246.9 122.7 80.6 42.0 124.2
  教育・医療サービス 708.4 318.5 183.3 135.2 389.9
  レジャー・接客業 340.8 138.0 87.7 50.3 202.6
  その他のサービス 87.4 43.0 29.0 13.9 44.5
政府(連邦・州)関連 862.9 374.1 273.5 100.6 488.8
表3 業種別規模別業務上傷病年100人率
業種 全産業 企業規模
1〜10人 11〜49人 50〜249人 249〜999人 1000人以上
全産業
(政府関連を含む)
3.0 1.8 3.5 4.6 4.3 4.8
民間産業 3.6 1.8 3.4 4.5 3.8 4.0
 物の生産型業種 4.3 2.8 4.9 4.9 3.8 3.3
  農林水産狩猟業、鉱業 4.0 2.3 4.3 4.7 3.4 2.4
  建設業 4.3 3.1 5.1 4.7 3.2 1.6
  製造業 4.3 2.2 4.7 5.1 3.9 3.5
 サービス提供型業種 3.4 1.6 3.0 4.3 3.8 4.3
  商業、運輸、公益事業 4.1 1.9 3.8 5.0 5.0 4.9
  情報通信業 1.9 - 2.1 2.5 1.6 1.2
  金融業 1.5 1.3 1.6 1.9 1.2 0.8
  専門・ビジネスサービス 1.8 1.2 2.1 2.2 1.7 1.2
  教育・医療サービス 5.0 1.3 3.2 6.1 6.1 6.1
  レジャー・接客業 3.9 1.3 3.4 4.9 5.7 5.0
  その他のサービス 2.9 2.4 3.0 3.9 2.9 2.5
政府(連邦、州) 5.8 3.0 4.9 5.5 6.5 5.9
表4 業種別業務上負傷年100人率及び負傷数
業種 負傷年100人率 負傷数(1‚000)
全産業(政府関連を含む) 3.7 3‚916.1
民間産業 3.4 3‚111.5
 物の生産型業種 4.0 784.8
  農林水産狩猟業 5.1 42.8
  鉱業 2.3 17.1
  建設業 4.2 244.2
  製造業 3.9 480.7
 サービス提供型業種 3.3 2‚326.7
  商業、運輸、公益事業 4.0 872.8
  情報通信業 1.8 46.1
  金融業 1.4 97.8
  専門・ビジネスサービス 1.7 234.4
  教育・医療サービス 4.7 663.0
  レジャー・接客業 3.8 330.3
  その他のサービス 2.8 82.3
政府(連邦・州)関連 5.4 804.6
表5a 業種別、疾病種類別業務上疾病年10‚000人率(2009年)
業種 合計 皮膚疾患 呼吸器 中毒 難聴 その他
全産業(政府関連を含む) 21.3 3.4 2.0 0.3 2.1 13.5
民間産業 18.3 2.9 1.6 9.2 2.2 11.5
物の生産型業種 29.1 3.8 1.3 0.2 7.9 15.8
農林水産狩猟業、鉱業 16.9 4.2 1.6 0.3 1.5 9.3
建設業 11.6 3.4 1.2 0.3 9.2 6.5
製造業 39.0 4.0 1.4 0.2 12.4 21.1
サービス提供型業種 15.3 2.6 1.7 0.2 0.6 10.3
商業、運輸、公益事業 11.7 1.8 1.1 0.2 1.3 7.3
情報通信業 12.3 0.9 0.7 0‚.1 0.7 9.9
金融業 9.4 1.0 0.8 - - 7.4
専門・ビジネスサービス 9.2 2.2 0.7 0.3 0.5 5.6
教育・医療サービス 32.0 5.2 3.6 0.2 0.1 22.9
レジャー・接客業 11.9 3.1 1.1 0.3 0.1 7.3
その他のサービス - 1.9 - 0.2 0.2 -
政府(連邦、州) 39.1 - 4.6 0.8 1.5 25.9
表5b 業種別、疾病種類別業務上疾病数(2009年、単位1‚000)
業種 合計 皮膚疾患 呼吸器 中毒 難聴 その他
全産業(政府関連を含む) 224.5 35.4 21.5 3.2 21.7 142.7
民間産業 166.2 25.9 14.6 2.0 19.5 104.2
 物の生産型業種 57.3 7.5 2.7 0.4 15.5 31.2
  農林水産狩猟業、鉱業 2.7 0.7 0.2 - 0.2 1.5
  建設業 6.8 2.0 0.7 0.2 0.1 3.8
  製造業 47.9 4.9 1.7 0.2 15.2 25.9
 サービス提供型業種 108.9 18.4 11.9 1.6 4.0 73.0
  商業、運輸、公益事業 25.5 3.9 2.5 0.5 2.8 15.9
  情報通信業 3.2 0.2 0.2 - 0.2 2.6
  金融業 6.8 0.7 0.6 - - 5.4
  専門・ビジネスサービス 12.5 2.5 0.9 0.4 0.7 7.5
  教育・医療サービス 45.4 7.4 5.0 0.4 0.1 32.5
  レジャー・接客業 10.3 2.7 1.0 0.2 0.1 8.4
  その他のサービス 0.8 o.6 - 0.1 0.1 -
政府(連邦、州) 58.3 - 6.9 1.2 2.2 38.5
常用労働者10‚000人当りの年間疾病数(業務上疾病年10‚000人率)は、次式により計算される。
業務上疾病年10‚000人率=(N/EH)×20‚000‚000
ここで、N=疾病数   EH = 年延べ労働時間
   20‚000‚000=常用労働者10‚000人が年50週、週40時間労働すると仮定
表6 主要民間産業における年別(2007〜2009)傷病年100人率
業種
要記録
傷病数
合計
休業、作業転換、制限を伴う事案(DART) その他の
要記録事案
合計 DAFW DJTR
2007 2008 2009 2007 2008 2009 2007 2008 2009 2007 2008 2009 2007 2008 2009
民間産業計
4.2 3.9 3.6 2.1 2.1 1.8 1.2 1.1 1.1 0.9 0.9 0.8 2.1 1.9 1.8
物の生産型業種
5.4 4.9 4.3 2.9 2.6 2.3 1.5 1.4 1.2 1.4 1.2 1.1 2.5 2.2 2.0
 農林水産狩猟業、鉱業
4.4 4.1 4.0 2.5 2.5 2.2 1.6 1.6 1.4 0.8 0.9 0.9 1.9 1.7 1.7
 建設業
5.4 4.7 4.3 2.8 2.5 2.3 1.9 1.7 1.6 0.9 0.7 0.7 2.6 2.2 2.0
 製造業
5.6 5.0 4.3 3.0 2.7 2.3 1.3 1.2 1.0 1.7 1.5 1.3 2.5 2.3 2.0
サービス提供型業種
3.8 3.6 3.4 1.9 1.8 1.7 1.1 1.1 1.0 0.8 0.8 0.7 1.9 1.8 1.7
 商業、運輸、公益事業
4.9 4.4 4.1 2.8 2.6 2.4 1.6 1.4 1.4 1.2 1.1 1.0 2.1 1.9 1.8
 情報通信業
2.0 2.0 1.9 1.1 1.1 1.0 0.7 0.7 0.7 0.4 0.4 0.3 1.0 0.9 0.9
 金融業
1.4 1.5 1.5 0.7 0.7 0.6 0.5 0.5 0.4 0.2 0.2 0.2 0.8 0.8 0.8
 専門・ビジネスサービス
2.1 1.9 1.8 1.0 1.0 0.9 0.6 0.6 0.6 0.4 0.3 0.3 1.1 0.9 0.9
 教育・医療サービス
5.2 5.0 5.0 2.4 2.3 2.2 1.3 1.3 1.3 1.0 1.0 1.0 2.9 2.7 2.7
 レジャー・接客業
4.5 4.2 3.9 1.7 1.6 1.6 1.1 1.0 1.0 0.6 0.7 0.6 2.8 2.6 2.3
 その他のサービス
3.1 3.1 2.9 1.5 1.5 1.4 1.0 1.0 1.0 0.5 0.5 0.5 1.7 1.6 1.5

全ての働く人々に安全・健康を 〜Safe Work , Safe Life〜

中央労働災害防止協会
〒108-0014 東京都港区芝5-35-2 安全衛生総合会館

  • 厚生労働省
  • 安全衛生マネジメントシステム審査センター
  • 安全衛生情報センター