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国からの委託事業であった 「国際安全衛生センター(JICOSH)」 別ウィンドウが開きます が2008年3月末をもって廃止されました。 永らくのご利用ありがとうございました。 同センターのサイトに掲載されていた個別の情報については、中災防WEBサイトの国別分野別情報にリンクして取り込んでおります。

 

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各国情報・国際関係

海外の安全衛生統計−シンガポール(2010年)

2011年5月31日

シンガポールの安全衛生統計については、 2008年4月に設立された、職場安全衛生評議会(Workplace Safety and Health Council- WSH 別ウィンドウが開きます )のウェブサイトに、「安全衛生統計報告( PDF Workplace Safety and Health Report 別ウィンドウが開きます )」が掲載されている。今回は、2010年の報告の概要を紹介する。
なお、職場安全衛生評議会(WSH 別ウィンドウが開きます )は、主要産業(建設、製造、海運、石油化学、物流)、政府、労働組合、法律、保険の専門家、学識経験者から選出された18名の指導者から成り、産業界の安全衛生マネジメント実践能力の向上、安全衛生成績の認識による企業の安全衛生の向上、安全衛生実務資料の作成を人材開発省(Ministry of Manpower)と協力して行うことを主たる任務としている。

 
概説
1.
死亡災害
2.
永久(全部・一部)労働不能災害
3.
一時労働不能災害
4.
職業性疾病

概説

2010年の業務上の負傷、死亡及び職業性疾病は、減少した(表1)。
死亡者数は、2009年の70人から55人と21%減少し、死亡10万人率についても2009年の2.9から2.2へと下がった。これは、過去最低の記録であり、2007年から2009年の間、10万人率が2.8〜2.9であった停滞期に引続くものである(表2)。
一時労働不能災害は、労働災害の大部分を占めているが、2009年の10‚638件から10‚128件と4.8%減少した(表1)。
職業性疾病は、10万人当りの確認数は、17.2で2009年の19.3に較べて減少した(表3)。
永久労働不能災害は、2009年の126件から136件と増加し、10万人当りの件数は2009年の5.2から5.4と増加した(表1、表3)。
労働災害度数率は、2008年の1.9、2009年の1.8から2010年の1.7と減少している。労働災害強度率は、2008年、2009年は112であったが、2010年は87へと下がった(表4)。

表1:業務上の死傷者数及び職業性疾病(2009年/2010年)
表1:業務上の死傷者数及び職業性疾病(2009年/2010年)
  2010 2009
業務上死傷者数 10‚319 10‚834
  死亡 55 70
  永久(全部・一部)労働不能 136 126
  一時労働不能(休業4日以上) 10‚128 10‚638
職業性疾病数 432 468
表2:死亡者数、10万人率の推移(2006〜2010)
表2:死亡者数、10万人率の推移(2006〜2010)
  2006 2007 2008 2009 2010
死亡者数 62 63 67 70 55
死亡10万人率 3.1 2.9 2.8 2.9 2.2
表3:主要安全衛生指標(2009年/2010年)
表3:主要安全衛生指標(2009年/2010年)
  2010 2009
業務上死傷10万人率 411 446
 死亡 2.2 2.9
 永久労働不能 5.4 5.2
 一時労働不能 403 438
度数率 1.7 1.8
強度率 87 112
職業性疾病10万人率 17.2 19.3
表4:労働災害度数率、強度率の推移(2006年〜2010年)
表4:労働災害度数率、強度率の推移(2006年〜2010年)
  2006 2007 2008 2009 2010
度数率 1.9 1.9 1.9 1.8 1.7
強度率 125 116 112 112 87
  1. 業務上の死傷災害(Workplace injury):労働災害(Workplace accident)による負傷、疾病(急性)及び死亡をいう。
  2. 職業性疾病(Occupational disease):作業活動から生ずるリスク要因へある期間ばく露下にあったことにより罹患した疾病(慢性)をいう。確認された職業性疾病は、当該労働者の業務に関連する疾病に罹患した明確な証拠がある疾病をいう。
  3. 度数率:100万延べ労働時間当りの一時労働不能(休業4日以上)労働災害件数
  4. 強度率:100万延べ労働時間当りの一時労働不能(休業4日以上)労働災害による労働損失日数

1.死亡災害

2010年、53件の死亡事故により55人が死亡、2009年の67件の死亡事故(死亡者70人)に較べて減少した。
建設業における死亡災害は、業務上死亡者の58%を占めており、2009年の死亡者数70人の44%に較べて増加した。死亡10万人率は、8.1となり高リスク産業部門(建設業、造船業等、製造業)のうちで最も高くなっている。
造船業等の死亡災害は、2009年の半分に下がった。死亡10万人率は、2009年の11.1から2010年には5.6に下がった。
製造業では、死亡者数、発生率ともに前年に較べて減少した。死亡者数は、2009年の11人から7人となった(表5)。

表5:業種別死亡者、10万人率(2009年/2010年)
表5:業種別死亡者、10万人率(2009年/2010年)
  死亡者数 死亡10万人率
2010 2009 2010 2009
全産業 55(53) 70(67) 2.2 2.9
建設業 32(31) 31(31) 8.1 8.1
造船業等 6(6) 13(13) 5.6 11.1
製造業 7(6) 11(11) 1.6 2.6
 金属加工* 3 6 2.5 5.4
 石油製品 3(2) 1 6.0 2.0
 食品、飲料品、煙草 1 0 2.6 0
上下水道、廃棄物処理* 1 1 9.3 10.1
物流、輸送* 4 3 4.7 3.4
ホテル、レストラン 0 2 0 1.1
動物医療* 0 0 0 0
造園関連* 0 1 0 11.5
医療 0 0 0 0
その他 5 8(5) 0.4 0.7

注:括弧内は事故件数

*:10万人率は、自営労働者数を除外しているため、推計値

2.永久(全部・一部)労働不能災害

2010年には、2009年の126人に較べて増加し、136人が労働災害により永久(全部・一部)労働不能の傷害を受けた。労働者10万人率においても2009年の5.2から2010年は5.4に増加した。永久労働不能災害の91%は、手(指を含む)の全部の喪失または機能の喪失による傷害で、5%が下肢の傷害であった(表6)。

表6:身体部位別永久労働不能災害(2009年/2010年)
表6:身体部位別永久労働不能災害(2009年/2010年)
傷害部位 2010 2009
合計 136 126
上肢 124 121
 手(指を含む) 124 120
 肩/腕 1
下肢 6 4
 足(足指を含む) 5 4
 脚(踝を含む) 1
複合部位 1 1
その他 5

3.一時労働不能災害

一時労働不能災害(休業4日以上)は、2010年には約5%減少した。さらに、高リスク産業部門(建設業、製造業及び造船業等)においても16%〜18%減少した。ホテル、レストラン及び物流、運輸業においても減少した。しかしながら、いくつかの産業部門(医療、卸小売業、上下水道・廃棄物処理等)では、前年に較べて増加した(表7)。

表7:産業別一時労働不能災害、10万人率(2009年/2010年)
表7:産業別一時労働不能災害、10万人率(2009年/2010年)
  一時労働不能災害 一時労働不能10万人率
2010年 2009年 2010年 2009年
全産業 10‚128 10‚638 403 438
建設業 2‚336 2‚778 591 722
造船業等 380 462 354 395
製造業 2‚083 2‚530 484 594
 金属加工 939 1‚164 781 1‚047
 食品、飲料品、煙草 267 303 685 854
 電気、電子機器 159 150 165 165
 紙、加工品、印刷 110 147 462 563
 非金属鉱物 108 201 2‚348 4‚277
 石油製品 98 77 195 155
 家具 95 101 826 962
 ゴム、合成樹脂 88 67 629 453
上下水道、廃棄物処理 88 69 822 697
物流、運輸業 470 507 548 573
ホテル、レストラン 699 768 368 425
動物医療 S S S S
造園等 46 S 517 S
医療 288 212 435 339
その他 3‚733 3‚306
 卸小売 649 429 166 105
 管理、支援サービス* 365 184 197 131
 不動産 209 132 277 195

S:10未満の数値

*:造園等が含まれる。

4.職業性疾病

2010年は、432件の職業性疾病が確認され、2009年の468件に較べて減少した。労働者10万人当りの職業性疾病数は、17.2で2009年の19.3に較べて減少した。職業性疾病数は、製造業でもっとも多く、全体の45%を占めている。製造業における職業性疾病のうちの68%は、金属加工業および輸送用機器業で発生している(表8)。

疾病の種別では、騒音性難聴が最も多く、全体の84%(364件)を占めている。これらのうち358件(98%)は、早期型と診断されている。また、自動車修理、整備業では、騒音性難聴が2009年の14件から52件と大幅に増加した(表9)。

表8:確認職業性疾病、10万人率(2010年/2009年)
  確認職業性疾病数 職業性疾病10万人率
2010年 2009年 2010年 2009年
全産業 432 468 17.2 19.3
建設業 20 31 5.1 8.1
造船業等 52 29 48.5 24.8
製造業 195 285 45.3 67.0
 金属加工* 108 144 89.8 129.5
 輸送用機器 24 70 135.6 333.3
 石油製品 15 13 29.9 26.2
 電気・電子機器 13 5 13.5 5.5
 医薬品 9 3 96.8 41.7
紙、紙加工品、印刷 7 9 29.4 34.5
医療機器 6 11 42.9 66.7
上下水道、廃棄物処理* 12 3 112.1 30.3
物流、運輸業* 27 56 31.5 63.3
ホテル、レストラン 5 7 2.6 3.9
動物医療*
造園等*
医療 1 6 1.5 8.0
その他 120 52
 自動車修理、整備 52 14 数値不明 数値不明

*:10万人率は、自営労働者数を除外しているため、推計値

表9:職業性疾病の種類別の状況(2010年/2009年)
職業性疾病の種類 2010 2009
合計 432 468
騒音性難聴 364 380
 早期型 358 375
 進行型 6 5
皮膚疾患 43 56
化学物質の過度の吸入 15 16
化学物質による中毒
高気圧障害 2
気圧障害 1 1
筋骨格系疾患 4 3
中皮腫 2 3
肺疾患 1 3
その他 0 6

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