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各国情報・国際関係

海外の労働安全衛生統計−イギリスの業務上死傷災害2010/2011

2012年4月17日

イギリス安全衛生庁(HSE 別ウィンドウが開きます )からイギリスの2010/2011年の安全衛生統計が公表されたので、その概要を紹介する。

原資料の所在:

内容

1
概況(Key Facts)
2
業務関連健康障害(Work-related Ill-health)
3
業務上死傷災害(Workplace Injury)
4
労働損失日数(Working day lost)

1概況

1)業務関連健康障害

  • 昨年1年間に働いた120万人の人々が、現在の仕事によりまたは過去の仕事により病気に罹りもしくは悪化したと考えている。このうち、50万人は昨年1年間に罹患し、または悪化した。さらに70万人が昨年1年以前の仕事が原因により病気に罹りまたは病気が悪化した。
  • 2009年には、2,321人が中皮腫により死亡し、さらに数千人が職業がん、慢性閉塞性肺疾患(COPD)に罹患している。

2)業務上死傷災害

  • 171人が労働災害により死亡し、死亡10万人率は0.6であった。
  • 115,379人が業務上負傷したことが死傷病事故報告規則に基づき報告され、負傷10万人率は462.1であった。
  • 一方、労働力調査によれば、200,000人が休業4日以上の業務上負傷し、負傷10万人率では、710となっている。

3)労働損失日数

  • 総労働損失日数は、2,640万人日で、業務上の疾病及び負傷1件あたりの損失日数は15人日であった。
  • 2,210万人日が業務上の疾病、440万人日が業務上の負傷によるものであった。

4)監督指導等

  • 551件が安全衛生庁により訴追され、
  • 129件が地方行政機関により訴追され、
  • 18,290件の執行通知(是正勧告など)が発せられた。

2 業務関連健康障害

1)疾病による死亡

  • 毎年、数千人が業務関連疾病により死亡しており、主に長期間のばく露によるものである。
  • 英国における職業がんによる死亡者は、年間、約8,000人と推計されている。
  • そのうち、約4,000人は過去の石綿へのばく露によるものである。
  • 2009年には、411人の死亡が、石綿肺が原因である可能性が高いとされている。189人の死亡は石綿肺が根本原因であり、158人の死亡が石炭粉じんまたは石英粉じんによるじん肺であるとされている。
  • 慢性閉塞性肺疾患(COPD)の15%は、業務関連である可能性がある。このことは、毎年の4,000人に上る慢性閉塞性肺疾患による死亡者は、ヒューム、化学物質及び粉じんへの過去の業務上の暴露によるものであることを示唆している。
  • 中皮腫の死亡者は、1968年の158人から2009年には2,321人に増加している。2009年における1,933人の男性の死亡者は、2016年には2,100人のピークに達すると予測されている。
  • 中皮腫による死亡者は、過去の産業の状態を反映している。55歳以上の男性の死亡者は、1990年台はじめから減少傾向を示している。
中皮腫による死亡及び労災保険受給

折れ線グラフ:中皮腫による死亡及び労災保険受給

2)健康障害に関する自己申告

  • 2010/2011年、推定180万人が現在若しくは過去の仕事により疾病に罹り、または悪化したと考えている。
  • このうち、120万人は、過去12ヶ月に働いており、また70万人は過去12ヶ月以前に仕事をしていた者である。
  • また、50万人は、新規に発症(悪化を含む)したものである。これらの4分の3は、ストレス、抑鬱症または不安神経症、若しくは筋骨格系疾患である。
仕事が原因または悪化した自己申告による健康障害件数(2010/2011)
仕事が原因または悪化した自己申告による健康障害件数(2010/2011)
健康障害 自己申告数
過去12ヶ月以内に新規発症(過去12ヶ月就業) 495,000
筋骨格系疾患 158,000
ストレス、抑鬱症または不安神経症 211,000
その他 125,000
過去12ヶ月以前に発症(過去12ヶ月就業) 657,000
筋骨格系疾患 351,000
ストレス、抑鬱症または不安神経症 189,000
その他 117,000
過去12ヶ月間病気(過去12ヶ月以前に就業) 692,000
合計 1,844,000

資料出所:労働力調査

3)過去12ヶ月以内の発症した自己申告による健康障害の状況

過去12ヶ月以内の発症した自己申告による健康障害の状況
  過去12ヶ月間働いており、同年中に新規に発症した者 過去12ヶ月間働いており、同年中に新規にまたは過去に発症した者
中央値 95%信頼性範囲 中央値 95%信頼性範囲
疾病総計 2006/07 612 575 649 1384 1328 1439
2007/08 562 526 599 1260 1205 1314
2008/09 549 511 586 1179 1124 1234
2009/10 554 515 593 1265 1206 1324
2010/11 495 455 534 1152 1092 1211
筋骨格系疾患 2006/07 230 207 253 642 605 680
2007/08 178 158 198 539 504 574
2008/09 191 169 212 536 500 573
2009/10 190 166 214 572 532 612
2010/11 158 135 180 508 469 548
ストレス、抑鬱症または不安神経症 2006/07 242 219 265 455 424 487
2007/08 236 213 260 441 409 474
2008/09 229 205 254 414 382 446
2009/10 233 209 258 435 401 468
2010/11 211 186 237 400 365 435

資料出所:労働力調査

3 業務上死傷災害

1)業務上死亡

  • 2010/2011年の業務上の死亡者数は、171人(速報値)で、死亡10万人率は0.6であった。
  • 10万人率は、その前の年度に較べて増加したが、中長期的には減少傾向で推移している。
  • 2010/2011年度における過去5年間の平均の10万人率は、0.7である。
  • 主な業種のうち、建設業、農業及び廃棄物処理業の率が最も高く、死亡者数はそれぞれ50人、34人及び9人であった。
年別業務上死亡者数の推移

年別業務上死亡者数の推移

被雇用者 自営業者 労働者
死亡者数 10万人率 死亡者数 10万人率 死亡者数 10万人率
2006/07 191 0.8 56 1.4 247 0.8
2007/08 178 0.7 55 1.4 233 0.8
2008/09 127 0.5 52 1.3 179 0.6
2009/10 104 0.4 43 1.0 147 0.5
2010/11p 120 0.5 51 1.2 171 0.6

*2010/2011p:2010.2011年速報

2)休業災害に係る事業者報告

2010/2011年、115,379件の休業災害が事業者から報告された。この10万人率は、462.1であった。

  • このうち、24,726件は重篤災害で、10万人率は99.0であった。最も多い事故の形は、滑り、つまずき(40%)、次いで高所からの墜落(16%)であった。
  • 休業4日以上の災害は90,653件で、10万人率は363.1であった。これらの災害の事故の形で最も多いのは取扱い運搬(36%)で、次いで滑り・つまづき(23%)である。
年別災害率、災害程度別事業者報告休業災害
重篤災害 10万人率 休業4日以上 0万人率
2006/07 28 544 113.5 114 653 455.8
2007/08 28 199 111.1 110 054 433.8
2008/09 27 894 109.4 105 261 412.8
2009/10 26 268 104.8 96 427 384.7
2010/11p 24 726 99.0 90 653 363.1

*重篤災害(Major injuries):骨折、手足の切断、脱臼などを伴う重篤な負傷
資料出所:労働力調査

事業者報告休業災害の推移

事業者報告休業災害の推移

3)自己申告による休業災害

  • 労働力調査における自己申告休業災害は、最近10年間、減少してきている。
  • これら災害のうち、4分の1は休業8日以上であり、3分の1が休業4日以上である。
  • 自己申告による結果は、死傷病事故報告規則に基づく要報告災害件数(休業4日以上)の半数であることを示唆している。
年別災害程度別自己申告休業災害推計(単位1,000)
休業4日未満 4日以上8日未満 休業8日以上
中央値 95%信頼性範囲 中央値 95%信頼性範囲 中央値 95%信頼性範囲
2005/06 545 510 580 83 69 97 223 201 246
2006/07 576 540 613 73 60 85 201 180 223
2007/08 517 482 552 81 67 95 217 195 240
2008/09 478 443 513 72 58 86 174 153 194
2009/10 491 453 528 66 53 80 164 143 185
2010/11 403 367 439 50 37 62 150 129 172

資料出所:労働力調査

災害程度別自己申告休業災害の推移

災害程度別自己申告休業災害の推移

4 自己申告による健康障害及び業務上災害による労働損失日数

新規事案数(単位1,000件) 1事案当りの平均損失日数
中央値 95%信頼性範囲 中央値 95%信頼性範囲
健康障害 2007/08 27,619 24,984 30,254 21.9 20.1 23.8
2008/09 24,510 21,899 27,120 20.8 18.8 22.8
2009/10 23,427 20,878 25,976 18.5 16.7 20.4
2010/11 22,083 19,420 24,745 19.2 17.1 21.3
業務上災害 2007/08 6,248 5,286 7,210 7.7 6.6 8.8
2008/09 4,694 3,927 5,461 6.5 5.5 7.5
2009/10 5,056 4,004 6,109 7.0 5.6 8.4
2010/11 4,358 3,406 5,311 7.2 5.7 8.7
健康障害
業務上災害
2007/08 33,867 31,055 36,680 16.9 15.6 18.2
2008/09 29,204 26,474 31,933 15.9 14.5 17.3
2009/10 28,483 25,698 31,269 14.9 13.5 16.2
2010/11 26,441 23,551 29,331 15.5 13.9 17.1

資料出所:労働力調査

関連情報

  • 2011年12月6日 海外の労働安全衛生統計−イギリスの死亡災害(2010/2011)
  • 2010年12月27日 海外の労働安全衛生統計―イギリス(2009/10)
  • 2010年7月13日 海外の労働安全衛生統計-イギリス(2008/09)

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