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中央労働災害防止協会(中災防)
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お知らせ
国からの委託事業であった 「国際安全衛生センター(JICOSH)」 が2008年3月末をもって廃止されました。 永らくのご利用ありがとうございました。 同センターのサイトに掲載されていた個別の情報については、中災防WEBサイトの国別、分野別情報にリンクして取り込んでおります。
2008年10月16日
EU OSHA News from Board 2008年5月19日欧州安全衛生機構(EU-OSHA)は、 国際間の諸機関および各国政府が策定している中長期の戦略(strategy)を集めた サイト を設置した。 原資料がドイツ語、フランス語のものも、英文の概要が掲載され、世界の全般にわたる状況を知ることができる。
このサイトに掲載された英文の資料の中から、「フランスの職場の健康確保計画(2005−2009)」を紹介する。 なお海外トピックスの別項において、 「EUの2007-2012における労働安全衛生戦略の概要」および「ドイツ労働安全衛生共同戦略の概要」を掲載している。
フランスの職場の健康確保計画(2005−2009)
概要
2005年2月23日、フランスの閣議において採択された、 「職場の健康確保計画」(Plan Sante auTravail-PST)は、職場のリスクを防止するための国の制度に大改革を導入することを目的としている。 この5ヵ年計画においては、また、作業条件改善と職場リスクの未然防止のための一貫した、かつ、ダイナミックな戦略を立てている。
この計画における2つの重要事項:
全体的には職場のリスクは減少する傾向にあるが、減少は一様ではない。 すなわち特定の労働者(若年、低賃金あるいは新規雇い入れの労働者)及び中小企業においては、 逆に増加する傾向を示しており、これに対処する必要がある。 これに加え、職場のリスクは日々変化、進展しているので、労働態様の変化、 遅発性疾病の発生及び新たなリスク要因の増加に対応する為のリスク予防システムに関する組織を必要としている。
この「職場の健康確保計画」は、次の4つの事項に対しての総合的アプローチを提示している。
この4つの事項は、別表(末尾)に示す23項目の活動に区分けされる。
また、本計画は、行動の優先順位を決めることにより関係する6省庁
(労働、健康、環境、農業、輸送及び研究)の協調によって十分な力を発揮させようとしている。
全国レベルのほかに、これらの活動は、地方の労働当局においても行われる。
このプロセスは様々な地域の事情に国家政策を適応するためのものである。
この計画を支援するために新たな人材及び財源が地方分権化された雇用サービスに配置される。
さらに、本計画は、政府の健康一般、環境及び経済政策をも補完している。
他にも政府計画には職場の衛生と密接に関係したものがあり、
それは交通安全運動や、がん対策の活性化や、老年層の雇用問題への協力的活動である。
別表 職場の健康確保計画における4つの目的事項と23項目の活動
-職場の健康確保をシステムに組み込む
-公的資金による調査研究を労働安全衛生に振り向ける
-知識獲得の手段を組織化する
-労働衛生調査研究の公募と調整
-保健の専門家に対する労働衛生教育
-地域総合的チームの創設
-監督能力の地域問題への適応化
-地域における知識開発と監督制度の補強
-監督官に対する労働安全衛生教育の実施
-省庁間の職場リスクの未然防止の協力体制の樹立
-職場リスクの未然防止に関するより高度な審議会の設置
-地域の相談窓口の設置
-法令の規定改正と規定間の調和
-労働衛生部門におけるリスクの未然防止活動の改革と強化
-心理社会的リスクのより効果的な予防のための労働衛生部門の活性化
-再考する姿勢及び雇用の確保
-リスクの未然防止を動機付ける労災保険料金体系の設定
-事業・仕事に適用される研究の促進
-企業におけるリスクの事前評価の援助
-全ての企業においてのCHSCT(衛生安全と労働環境)の促進
-労働交通災害予防の促進
-危険化学物質の代替措置の促進
-大学教育とその後の教育を通じて技術者の労働衛生の重要性の認識の向上