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国からの委託事業であった 「国際安全衛生センター(JICOSH)」 が2008年3月末をもって廃止されました。 永らくのご利用ありがとうございました。 同センターのサイトに掲載されていた個別の情報については、中災防WEBサイトの国別、分野別情報にリンクして取り込んでおります。
2008年10月30日
2008年6月−7月に韓国ソウルで開催の第18回世界労働安全衛生会議のために作成された 「死傷災害の克服:安全で健康的な仕事の促進における世界労働機関(ILO)の役割」と題する資料は、 最近の世界における労働安全衛生の動向とILOの活動状況などを簡潔にまとめたものである。
この資料の中の2003年の世界における業務関連死傷病発生件数(地域別内訳を含む)に関する部分を紹介する。
XVIII World Congress on Safety and Health at Work, June 2008, Seoul, Korea
Introductory report - Beyond death and injuries
ILOの世界の業務関連死亡、事故および疾病の新たな推計が2003年の統計を用いて2005年と2006年に実施された。 2003年の業務関連災害による死亡者数の推計は、358,000で2001年に対して若干の増加であったが、 非死亡の業務関連災害件数(休業4日以上)は、大幅に増加して、年間2億6千8百万人から 3億3千7百万人となった。 業務関連の疾病による死亡者数は、203万人から若干減少して195万人であった。
年 | 業務関連非死亡災害 (休業4日以上) (百万) |
業務関連死亡災害 | 業務関連疾病による 死亡者 (百万) |
災害および疾病による 死亡者の合計 (百万) |
---|---|---|---|---|
2001 | 268 | 351,000 | 2.03 | 2.38 |
2003 | 337 | 358,000 | 1.95 | 2.31 |
非死亡災害の増加は部分的には世界的な経済活動人口の増加により、および一部においては就業人口の増加により説明することができる。 計算に使用したデータは、過去のデータよりもより多くの地域をカバーしている。 危険有害物質による死亡者は、651,000人でほとんど2倍に増加した。 これは、分類区分の変化により慢性閉塞性肺疾患が以前の推計よりも増大したことによるものである。 この要因を考慮すれば、全体の数値は大きく変わったものではない。 新たな推計は、従前よりもさらに正確であると考えられる。
業務関連の災害と疾病は、定義、データの収集方法又は情報の質の点から互いに異質のものを外挿する等によって推計されている。 このため、これらの数値は正確さを追究したよりも、業務関連災害および疾病の概略情報を提供することに重点を置いたものである。
多くの国では、業務関連災害および疾病に関するデータ収集の体制が整っていないため、 今後においては、災害および疾病の記録と届け出を改善するとともに、 データの解析方法の整備と職業性疾病のリストの各国間の整合をする必要がある。 これらの分野を改善することにより、各国の安全衛生制度の有効性を明確にするとともに、 安全衛生に関する事案の優先順位付け、少ない人材による多くの安全衛生問題への対処などを推進することが可能となる。
別添 1 業務関連の死亡事故、非死亡事故、疾病および業務関連全死亡者−2003年のデータに基づく地域別世界推計
地域区分 | 経済活動人口(百万) | 全雇用者数 (百万) | ILOに報告された死亡事故2003 | 死亡事故(千) | 休業4日以上の事故 | 業務関連疾病(千) | 業務関連死亡(千) | 危険有害化学物質に起因する死亡(千) |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
Region 注(1) |
Economically Active Population 注(2) |
Total Employment 注(3) |
Fatal Accidents reported to the ILO(2003) | Fatal Accidents 注(4) |
Accidents causing ≧ 4 days absence 注(4) |
Work-related diseases 注(5) |
Work-related mortality | Deaths caused by dangerous chemical substances |
EME | 427.7 | 399.3 | 11210 | 15 | 14.2 | 270 | 285 | 90 |
FSE | 193.3 | 151.2 | 2111 | 15 | 13.6 | 170 | 185 | 57 |
CHN | 740.8 | 740.8 | 180 | 98 | 91.7 | 334 | 432 | 112 |
IND | 473.3 | − | 179 | 47 | 44.1 | 356 | 403 | 119 |
OAI | 457.2 | 285.5 | 1247 | 81 | 75.7 | 270 | 350 | 90 |
SSA | 273.4 | 23.5 | 15 | 58 | 54.3 | 365 | 422 | 122 |
LAC | 222.6 | 190.4 | 2196 | 31 | 29.3 | 107 | 138 | 36 |
MEC | 128.0 | 71.3 | 929 | 14 | 13.4 | 74 | 88 | 25 |
Total | 2916.3 | 1862.0 | 18067 | 359 | 336.3 | 1946 | 2303 | 651 |
注(1) | 世銀による地域区分:EME-既存市場経済 (Established Market Economy)、 FSE-元社会主義経済(Formerly Socialist Economy)、 CHN-中国、IND-インド、SSAサハラ以南−(Sub-Saharan Africa)、 LAC-ラテンアメリカとカリブ海(Latin America and the Caribbean)、 MEC-中東圏(Middle Eastern Crescent) |
(2) | 経済活動人口(2003)は、主としてILOの労働統計および人口統計(欧州連合、世銀、国連等)のインターネット情報から編集。 雇用労働者および自営者を含む。 |
(3) | 就業者数は、上記と同じデータから編集。インドに関しては、資料中にデータなし。 |
(4) | 4番目の欄は、データが入手しにくい開発途上国のデータの外挿による推計値を含む数値である。 この欄の数値は、ILOに報告のあった数値と世界全体の推計値の乖離を示すものである。 |
(5) | 就業者数は、非死亡事故と業務関連疾病の計算に使用。 また、インドのように就業者数のデータを入手できない場合には、経済活動人口を使用した。 |
(6) | 中国およびインドの数値の増加は、主として就業者数又は経済活動人口の増加、 若しくは中国のように災害発生率の増加によるものである。 |