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各国情報・国際関係

国際労働機関(ILO)が職業性疾病リストを改訂

2010年6月11日

ILO Safework News item 25 March 2010 別ウィンドウが開きます

国際労働機関理事会は、職業性疾病リスト(ILO勧告第194号「職業性疾病のリスト及び労働災害並びに職業性疾病の記録・届出」(2002年採択)の付属書)の改訂を2010年3月25日付けで承認したので、これに関連する情報の概要を紹介する。

1 ILOの「セーフワーク」(Programme on Safety and Health at Work and the Environment (Safe Work) 別ウィンドウが開きます )による発表の概要 ( ILO Governing Body approves new list of occupational diseases 別ウィンドウが開きます )

ILO理事会は、2010年3月25日の会議(議事録下記)において職業性疾病の新規リストを承認した。

PDF Report of the Committee on Sectoral and Technical Meetings and Related Issues 別ウィンドウが開きます -[GB.307/13(Rev.) - pdf 261 KB])

この新規リストは、2002年に採択された「職業性疾病のリスト及び労働災害並びに職業性疾病の記録・届出」に関する勧告第194号(Recommendation concerning the List of Occupational Diseases and the Recording and Notification of Occupational Accidents and Diseases 別ウィンドウが開きます  (No. 194))の付属書と置き換えられるものである。

職業性疾病に関するこのILOリストは、職業性疾病の予防、記録、届出及び必要に応じ、業務起因疾病の補償に役立てるよう設定されたものである。

新規リストは、化学的、物理的及び生物学的因子に起因する疾病から、呼吸器、皮膚及び筋骨格系疾患、及び職業性がんまでの国際的に認められた職業性疾病について取上げている。精神的及び行動障害がはじめて取上げられている。このリストは、また、前述の分類項目にその他の疾病項目(open item)を設けている。その他の疾病項目は、作業者が罹患した疾患と作業行動に起因するリスク因子へのばく露との関係が立証されたときに、リストに掲載されていない疾病を認定することを可能とするものである。

新規リストは、次の注意深い技術的準備作業と政治的交渉の結果である。

  • 政労使三者構成による協議
  • 加盟国からのフィードバック
  • 作業場における新たに発生するリスク因子の解析
  • 職業性疾病認定の各国の状況の検討
  • 職業性疾病の確認(identification)における国際的科学的状況の評価
  • 三者構成による専門家会議での検討
    新たなリストに加えられる疾病を決める基準は、次のとおりである。
  • 特定の物質、ばく露または作業場所との因果関係があること
  • これらの疾病が作業環境または特定の職業との関連において発生していること
  • これらの疾病が労働者のグループにおいて発生しており、その発生は労働者一般の平均を超えていること
  • ばく露と原因との妥当性についての科学的証拠があること

作業及び環境の安全衛生に関するILOプログラム(Programme on Safety and Health at Work and the Environment (Safe Work))の部長 町田静治氏の談話

「安全で健康的な作業条件を創造することは、ILOが1919年に設立されて以来、対応している課題である。我々の世界は発展し続けていることから、新たな技術及び労働様態については課題は変化し、新たなリスクが出てきている。安全衛生対策が行われず、または正しく行われなければ、事故、負傷、疾病及び最悪においては死亡災害さえも発生する。労働災害及び職業性疾病の被災者は、適切な補償を受け、また再発防止のため、その予防活動が必要である。この新たなリストは、今日の世界における職業性疾病の確認と認定に関する最新の状況を反映したものである。本リストは、予防と保護が行われるべきことを明確に示している。世界の労働人口とその家族は、この新たなリストの恩恵を受けることとなろう。」

2 新規職業性疾病リスト
List of occupational diseases annexed to Recommendation No. 194, 2002 別ウィンドウが開きます
PDF List of occupational diseases (revised 2010) 別ウィンドウが開きます (PDF 19KB)

職業性疾病リスト (2010年改正)

1.作業活動から生じる因子へのばく露に起因する職業性疾病

1.1. 化学的因子による疾病

1.1.1.
ベリリウム及びその化合物に起因する疾病
1.1.2.
カドミウム及びその化合物に起因する疾病
1.1.3.
燐及びその化合物に起因する疾病
1.1.4.
クロム及びその化合物に起因する疾病
1.1.5.
マンガン及びその化合物に起因する疾病
1.1.6.
砒素及びその化合物に起因する疾病
1.1.7.
水銀及びその化合物に起因する疾病
1.1.8.
鉛及びその化合物に起因する疾病
1.1.9.
フッ素及びその化合物に起因する疾病
1.1.10.
二硫化炭素に起因する疾病
1.1.11.
脂肪族または芳香族炭化水素のハロゲン誘導体に起因する疾病
1.1.12.
ベンゼンまたはその同族体
1.1.13.
ベンゼンまたはその同族体のニトロ誘導体またはアミノ誘導体に起因する疾病
1.1.14.
ニトログリセリンまたはその他の硝酸エステルに起因する疾病
1.1.15.
アルコール、グリコールまたはケトンに起因する疾病
1.1.16.
一酸化炭素、硫化水素、シアン化水素またはそれらの誘導体などの窒息性物に起因する疾病
1.1.17.
アクリロニトリルに起因する疾病
1.1.18.
窒素酸化物に起因する疾病
1.1.19.
バナジウム及びその化合物に起因する疾病
1.1.20.
アンチモン及びその化合物に起因する疾病
1.1.21.
ヘキサン及びその化合物に起因する疾病
1.1.22.
鉱酸に起因する疾病
1.1.23.
医薬品に起因する疾病
1.1.24.
ニッケル及びその化合物に起因する疾病
1.1.25.
タリウム及びその化合物に起因する疾病
1.1.26.
オスミウム及びその化合物に起因する疾病
1.1.27.
セレニウム及びその化合物に起因する疾病
1.1.28.
銅及びその化合物に起因する疾病
1.1.29.
プラチナ及びその化合物に起因する疾病
1.1.30.
錫及びその化合物に起因する疾病
1.1.31.
亜鉛及びその化合物に起因する疾病
1.1.32.
ホスゲン及びその化合物に起因する疾病
1.1.33.
ベンゾキノン等の角膜刺激物に起因する疾病
1.1.34.
アンモニアに起因する疾病
1.1.35.
イソシアン酸に起因する疾病
1.1.36.
農薬に起因する疾病
1.1.37.
硫黄酸化物に起因する疾病
1.1.38.
有機溶剤に起因する疾病
1.1.39.
ラテックスまたはラテックス含有物に起因する疾病
1.1.40.
塩素に起因する疾病
1.1.41.
前各号に掲げられていない化学的因子に起因する疾病であって、作業活動から生じるこれらの因子へのばく露と作業者が罹患する疾病の間の直接的関連が科学的に立証され、または、国の実態に応じた方法により決定されているもの

1.2. 物理的因子による疾病

1.2.1.
騒音に起因する聴力障害
1.2.2.
振動に起因する疾病(筋、腱、骨、関節、末梢血管または末梢神経の障害)
1.2.3.
圧縮空気または減圧空気に起因する疾病
1.2.4.
電離放射線に起因する疾病
1.2.5.
レーザー光線を含む光学的放射線(紫外線、可視光線、赤外線)に起因する疾病
1.2.6.
異常温度環境へのばく露に起因する疾病
1.2.7.
前各号に掲げられていない物理的因子に起因する疾病であって、作業活動から生じるこれらの因子へのばく露と作業者が罹患する疾病の間の直接的関連が科学的に立証され、または、国の実態に応じた方法により決定されているもの

1.3. 生物学的因子及び伝染性または寄生虫性疾病

1.3.1.
ブルセラ症
1.3.2.
肝炎ウィルス
1.3.3.
HIV
1.3.4.
破傷風
1.3.5.
結核
1.3.6.
細菌、菌汚染物質関連中毒または炎症性症候群
1.3.7.
炭疽病
1.3.8.
レプトスピラ症
1.3.9.
前各号に掲げられていない生物学的因子に起因する疾病であって、作業活動から生じるこれらの因子へのばく露と作業者が罹患する疾病の間の直接的関連が科学的に立証され、または、国の実態に応じた方法により決定されているもの

 

2.標的臓器系職業性疾病

2.1. 呼吸器系疾患

2.1.1.
繊維形鉱物性粉じんに起因するじん肺(珪肺、石炭沈着珪肺、石綿肺)
2.1.2.
珪肺結核
2.1.3.
非繊維形鉱物性粉じんに起因するじん肺
2.1.4.
鉄沈着
2.1.5.
硬質金属粉じんに起因する気管支肺疾病
2.1.6.
綿、亜麻、麻、サイザル麻、砂糖黍に起因する気管支肺疾病(綿肺、砂糖黍肺)
2.1.7.
認められている感作物質または作業工程特有の刺激物に起因するぜんそく
2.1.8.
作業活動から生じる有機粉じんまたは微生物汚染エアロゾルの吸引に起因する外因性アレルギー性肺胞炎
2.1.9.
作業活動から生じる石炭粉じん、石材採石場の粉じん、木材粉じん、穀物及び農業粉じん、家畜小屋の粉じん、繊維粉じん及び紙粉じんに起因する慢性閉塞性気管支疾患
2.1.10.
アルミニウムに起因する肺疾患
2.1.11.
認められている感作物質または作業工程特有の刺激物に起因する上気道疾患
2.1.12.
前各号に掲げられていない呼吸器系疾患であって、作業活動から生じるリスク因子へのばく露と作業者が罹患する疾病の間の直接的関連が科学的に立証され、または、国の実態に応じた方法により決定されているもの

2.2. 皮膚疾患

2.1.1.
作業活動から生じる他の項目に含まれないその他の認められているアレルギー誘発性因子に起因するアレルギー接触性皮膚疾患及び接触性じんましん
2.2.2.
作業活動から生じる他の項目に含まれないその他の認められている刺激物に起因する刺激物接触性皮膚疾患
2.2.3.
他の項目に含まれない作業活動から生じる認定されている因子に起因する白斑
2.2.4.
前各号に掲げられていない皮膚疾患であって、作業活動から生じるリスク因子へのばく露と作業者が罹患する疾病の間の直接的関連が科学的に立証され、または、国の実態に応じた方法により決定されているもの

2.3. 筋骨格系疾患

2.3.1.
手首の繰り返し動作、無理な動作及び異常な姿勢による橈骨茎状腱滑膜炎
2.3.2.
手首の繰り返し動作、無理な動作及び異常な姿勢による手及び手首の慢性腱滑膜炎
2.3.3.
肘部の長期間の圧迫による肘頭部滑液包炎
2.3.4.
長期間の中腰の姿勢による膝蓋滑液包炎
2.3.5.
繰り返し強制動作による上顆炎
2.3.6.
中腰またはしゃがんだ姿勢での長期間の作業による半月板障害
2.3.7.
繰り返し強制作業、振動、手首の異常姿勢またはこれらの組み合わせによる手根管症候群
2.3.8.
前各号に掲げられていない筋骨格系疾患であって、作業活動から生じるリスク因子へのばく露と作業者が罹患する疾病の間の直接的関連が科学的に立証され、または、国の実態に応じた方法により決定されているもの

2.4. 精神及び行動障害

2.4.1.
外傷性ストレス障害
2.4.2.
前号に掲げられていない精神または行動障害であって、作業活動から生じるリスク因子へのばく露と作業者が罹患する疾病の間の直接的関連が科学的に立証され、または、国の実態に応じた方法により決定されているもの

 

3. 職業性がん

3.1 下記因子に起因するがん

3.1.1.
石綿
3.1.2.
ベンジジン及びその塩
3.1.3.
ビスクロロメチルエーテル(BCME)
3.1.4.
六価クロム化合物
3.1.5.
コールタール、そのピッチまたは煤
3.1.6.
β‐ナフチルアミン
3.1.7.
塩化ビニル
3.1.8.
ベンゼン
3.1.9.
ベンゼンまたはその同族体のニトロまたはアミノ誘導体
3.1.10.
電離放射線
3.1.11.
タール、ピッチ、瀝青、鉱物油、アントラセン、またはこれらの化合物、製品若しくは残留物
3.1.12.
コークス炉排出物
3.1.13.
ニッケル化合物
3.1.14.
木材粉じん
3.1.15.
砒素及びその化合物
3.1.16.
ベリリウム及びその化合物
3.1.17.
カドミウム及びその化合物
3.1.18.
エリオン沸石
3.1.19.
エチレンオキシド
3.1.20.
B型肝炎ウィルス及びC型肝炎ウィルス
3.1.21.
前各号に掲げられていない因子に起因するがんであって、作業活動から生じるリスク因子へのばく露と作業者が罹患する疾病の間の直接的関連が科学的に立証され、または、国の実態に応じた方法により決定されているもの

 

4. その他の疾病

4.1. 鉱夫眼振

4.2. この欄に掲げられていない職業または工程に起因する疾病であって、作業活動から生じるリスク因子へのばく露と作業者が罹患する疾病の間の直接的関連が科学的に立証され、または、国の実態に応じた方法により決定されているもの

 

3 専門家会合の報告書について
下記に掲載されており、新規リストに追加または追加が見合わせられた項目が記載されている。

専門家会合において追加するか否かを検討した事項と結論

  • Point 1.2.5. 高周波に起因する疾病(Diseases caused by radio frequency radiation):追加しない
  • Point 1.3.7. マラリア(Malaria):追加しない
  • Point 2.1.8. 作業活動から生じる有機粉じんまたは微生物汚染エアロゾルの吸引に起因する外因性アレルギー性肺胞炎( Extrinsic allergic alveolitis caused by the inhalation of organic dusts arising from work activities to include mists from contaminated oils):追加する
  • Point 2.3.7. 繰り返し強制作業、振動、手首の異常姿勢またはこれらの組み合わせによる手根管症候群(Carpal tunnel syndrome due to extended periods of repetitive forceful work, work involving vibration, extreme postures of the wrist, or a combination of the three):追加する
  • Point 2.4. 精神及び行動障害の心理的障害への変更(Mental and behavioural disorders to be replaced by psychological disorders ): 「精神及び行動障害」のままとする。
  • Point 3.1.20. フォルムアルデヒド( Formaldehyde):追加しない
  • Point 3.1.21. HBV 及びHCV(Hepatitis B virus and hepatitis C virus ):追加する
  • Point 3.1.X. 結晶シリカ(Crystalline silica):追加しない

4 専門家会合に関連するその他の資料

その他の専門家会合で使用された下記の資料が、情報/会合資料(Information resources/ Meeting documents 別ウィンドウが開きます)のページに掲載されている。

関連情報

ILOの「セーフワーク」( Programme on Safety and Health at Work and the Environment (Safe Work) 別ウィンドウが開きます)のウェブサイトには、次の情報が掲載されている。

ILO エンサイクロペデア、CISデータベース、労働安全衛生用語集、国際化学物質安全カード、職業別ハザードデータシート

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