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国からの委託事業であった 「国際安全衛生センター(JICOSH)」 別ウィンドウが開きます が2008年3月末をもって廃止されました。 永らくのご利用ありがとうございました。 同センターのサイトに掲載されていた個別の情報については、中災防WEBサイトの国別分野別情報にリンクして取り込んでおります。

 

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各国情報・国際関係

EU-OSHA欧州の企業における安全衛生リスクマネジメントの実施状況の調査結果

2010年8月13日

EU-OSHA Press Release 2010年6月3日 別ウィンドウが開きます

欧州安全衛生機構(EU-OSHA)は、欧州の事業場における安全衛生リスクマネジメントの実施状況に関し、特に社会心理的リスクに重点を置いて調査した結果を公表した。

調査は、電話インタビューによって、欧州圏31ヶ国の従業員数10名以上の事業場の管理者層及び安全衛生代表の合計3万6千人を対象として実施した。

この調査結果に関し、71項目の質問に対する回答を集計した結果が、「新規及び増大するリスクに関する欧州広域企業調査」と題する報告書の全文版及び要約版に掲載されている他、ウェブサイトに掲載された地図表示ツール(Interactive tool)及び表ファイル(excel)により、国別、事業場の種類(製造部門、民間サービス部門及び公的サービス部門)及び規模別の詳細な状況を知ることができる。

企業調査(Enterprise survey (ESENER) 別ウィンドウが開きます )のページが設置され、以下の順に関連情報が掲載されている。

  • 調査の概要 (Methodology)
  • 調査方法   (About the mapping tool)
  • 関連文書他ダウンロードサイト
  • その他の情報 
  • 地図表示ツール (Interactive tool(Mapping tool) 別ウィンドウが開きます )

下記の71項目の質問(日本語英語(原文))に対する回答の集計結果が地図表示ツール及び表ファイルを用いて示されている。

事業場内における安全衛生のマネジメント 日本語    英語(原文) 34
事業場内の安全衛生リスク 日本語    英語(原文) 17
事業場内の社会心理的リスクのマネジメント 日本語    英語(原文) 12
社会心理的リスクのマネジメントにおける障害と対処 日本語    英語(原文) 3
労働安全衛生問題への従業員参加に関する制度 日本語    英語(原文) 5

報告書(全文版及び要約版)

報告書の概要

  1. 調査の概要
  2. 報告書の構成
  3. 調査による主な知見

調査の概要

事業場が安全衛生により効率的に取り組み、従業員の健康と福祉を推進するのを支援することを目的として「新規及び増大するリスクに関する欧州広域企業調査」(European Survey of Enterprises on New and Emerging Risk‚ ESENER)を実施した。この調査は、政策決定者にこの分野における新たな政策の設計と実施に関して欧州内において、横断的に比較が可能な情報を提供するものでもある。

この調査においては、事業場の管理層及び安全衛生代表に対して、特に社会心理的リスクすなわち業務関連ストレス、暴力及びハラスメントに焦点をおいて、安全衛生リスクのマネジメント実施の状況について、2009年春に31カ国(加盟27カ国、クロアチア、トルコ、スイス及びノルウェイ)、28‚649人の管理層及び7‚226人の安全衛生代表に対し、コンピューター支援による電話インタビューを行ったものである。従業員数10名以上の事業場を対象とした。

報告書の構成

  • 背景(Background)
  • 調査による主な知見(Key findings)
  • 労働安全衛生マネジメント(OSH management)
  • 社会心理的リスクとそのマネジメント(Psychosocial risk and their management)
  • 推進及び障害となる要素(Drivers and barriers)
  • 従業員参加(Employee participation)
  • 付属資料
    調査方法(Survey methodology and technical remarks)
    管理層及び安全衛生代表に対する質問票(Questionnaire)など

調査による主な知見

労働安全衛生マネジメント・リスクアセスメント

  • 76%の事業場が労働安全衛生方針(Documented OSH Policies)、マネジメントシステムまたは行動計画を有していた。国別には、イギリス(98%)、スペイン (97%)、アイルランド(96%)が高いの に対し、ギリシャ(38%)、トルコ(38%) 、ルクセンブルグ(46%)などが低くなっている。
    労働安全衛生方針等を有している事業場は、労働安全衛生方針等が安全衛生向上のために、33%が極めて有効、52%がある程度有効としている。
    労働安全衛生方針等を持たない事業場は、その理由として、OSHリスクの観点から必要性がない(54%)、または専門的知識がない(51%)ことを挙げており、小事業場及びいくつかの国において特に多く見受けられる。ただし、興味深いことに法令の複雑さが障害になるとする回答は少ない。
  • 労働安全衛生に関する事項が経営に関する上層会議で定期的に報告される事業場は、40%にとどまった。国別で高いのはスウェーデン(66%)、イギリス(60%)、オランダ(60%)で、低いのはリトアニア(14%)、エストニア(22%)であった。
  • ライン管理者の安全衛生マネージメントへの参加は、75%の事業場で行われていると報告されており、ライン管理者の参加が良好な安全衛生への取り組みの重要な要因であることが分かる。
  • リスクアセスメント若しくは類似の対策の実施は、87%の事業場において実施されている。特に安全衛生代表を有する事業場及び大事業場並びに有害物質等取扱い事業場においてよく行われており、安全衛生代表は、OSHに取組む重要な推進力となっている。国別では、イタリア(99%)、イギリス(97%) スペイン (95%) において高く、産業別では、鉱業(99%)、製造業(91%)、建設業(91%)などが90%を超えている。なお、定期的な実施をしていない事業場は12%であった。
  • 外部専門家にリスクアセスメントを委託している事業場は、36%に達し、特に小事業場に多かったが、国による差異が大きい。例えば、デンマーク、イギリス、スウェーデンは、10%前後である。
  • 傷害、筋骨格系障害及び業務関連ストレスが、欧州事業場の安全衛生面における最大の関心事である。暴力及び特にいじめ、嫌がらせも、かなり多くの事業場の重要な関心事である。

社会心理的リスクとそのマネジメント

  • 社会心理的リスクのマネジメントは、医療及び社会福祉部門において、特に頻繁に出てくる問題であるが、欧州南部(スペインを除く)では、これらに対する関心は低い。
  • 病気欠勤の原因を分析している事業場は、回答者の半数に過ぎず、中及び大規模の事業場並びに医療及び社会福祉部門に限られている。
  • 管理層においては、社会心理的リスクに関連する要素として、時間の制限、従業員の仕事の進め方の自由度、仕事の安定性が重要視されている。
  • 制度化された社会心理的リスクマネジメントが広く実施されているのは、アイルランド、イギリス、オランダ、スカンジナビア諸国などのいくつかの国々、大事業場、金融、教育、医療及び社会福祉部門に限られている。
  • 事業場は、一般に教育の実施、作業組織の変更により社会心理的リスクに取組んでいるが、回答者の半数が社会心理的リスクとその健康・安全への影響を従業員に知らせているにすぎない。
  • 法令の義務及び従業員からの要求が安全衛生及び社会心理的リスクに取組む主たる推進力となっている。
  • 事業場において社会心理的リスクに取組むことに際しての主な障害は、認識の欠如と方法論等の欠如とともに事案に対する感受性である。
  • 管理層は、従業員の参加が安全衛生及び社会心理的リスクマネジメントの重要な要因であることを認識している。さらに、これに加え、関連する諸機関・団体等の役割が対策の効果的実施のために極めて重要である。

関連情報

欧州においては、労働条件、作業環境等に関する大規模な調査が、従前から多く行われているので、その例を示す。

全ての働く人々に安全・健康を 〜Safe Work , Safe Life〜

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