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国からの委託事業であった 「国際安全衛生センター(JICOSH)」 別ウィンドウが開きます が2008年3月末をもって廃止されました。 永らくのご利用ありがとうございました。 同センターのサイトに掲載されていた個別の情報については、中災防WEBサイトの国別分野別情報にリンクして取り込んでおります。

 

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各国情報・国際関係

EU-OSHA欧州の企業における安全衛生リスクマネジメントの実施状況の調査結果
(一部詳細データの結果)

2010年9月30日

JISHA海外トピックス2010年8月13日の「EU-OSHA欧州の企業における安全衛生リスクマネジメントの実施状況の調査結果」において、欧州の事業場における安全衛生リスクマネジメントの実施状況に関し、31ヶ国の10名以上の従業員をもつ事業場の管理者層及び安全衛生代表の合計3万6千人を対象に電話インタビュー調査を実施し、その調査結果の概要を紹介した。
この内容には、各国別、企業規模別(従業員数別)、産業別などの極めて多くの情報が含まれているので、その一部詳細データの結果を紹介する。

欧州の企業における安全衛生リスクマネジメントの実施状況の調査結果
一部詳細データの結果
Enterprise survey 別ウィンドウが開きます (ESENER)

71項目の質問の中から選んだ下記16項目の質問について、欧州の中でも先進的と考えられるフランス、ドイツ、イギリスの3ヶ国について、企業規模別(従業員数別)の調査結果データについて、グラフを作成したものである。
表1は、企業規模別(従業員数別)の調査結果データについて、グラフを作成した16項目の質問内容であり、表2から表17 は、16項目の質問についての調査結果データとグラフをそれぞれ示す。これによって、明らかとなった事項の例について下記に示す。

  • 安全衛生方針、マネジメントシステム、行動計画の文書化について、イギリスでは従業員数10-19人の事業場も含めて、ほぼ100%実施されている。
  • リスクアセスメントまたは類似の方法による日常的チェックは、イギリスではほぼ100%、フランスでは250人以上、ドイツでは50人以上の従業員をもつ事業場の90%前後で実施されている。
  • 各国とも「筋骨格系障害」に対する関心の重要性は、「災害」(accident)に対する関心の重要性とさほど劣らない傾向にある。
  • 「作業関連ストレス」に対する関心の重要性は、「筋骨格系障害」、「災害」に対する関心の重要性よりも低くなっている。しかし、フランス、ドイツにおける「作業関連ストレス」に対する関心を重要とする回答は半数程度に達している傾向にある。
  • 「産業医」の利用は、フランスでは従業員数10-19人の事業場も含めて、90%以上となっている。「安全専門家」の利用においては、ドイツでは50人以上、イギリスでは250人以上の従業員をもつ事業場で90%以上となっている。
  • これに対して、「心理専門家」、「人間工学専門家」を利用している事業場は、全体的に半数に達していない傾向にある。
  • 「安全衛生コンサルタント」の利用は、「産業医」、「安全専門家」と比較するとかなり低い傾向にある。
  • 職務関連ストレスへの手続きは、イギリスでは、従業員数10-19人の事業場でも半数近くが有している。しかし、全体的にフランス、ドイツの当該手続きを有している事業場の比率をイギリスと比較するとかなり低くなっている。
  • 病気欠勤の原因分析は、イギリスでは従業員数50人以上の事業場の80%以上で実施されている。職場復帰対策に関しては、ドイツでは50人以上、イギリスでは20人以上の従業員をもつ事業場の80%以上で実施されている。

表1 企業規模別(従業員数別)の調査結果データについて、グラフを作成した16項目の質問内容

安全衛生方針等の文書化・リスクアセスメント
MM155 安全衛生方針、マネジメントシステム、行動計画の文書化をしていますか?
MM161 作業場所の安全衛生をリスクアセスメントまたは類似の方法で日常的にチェックしていますか?
関心のあるテーマ
MM2001 「危険物質」に対する関心は、重要、すこし重要、重要でないのどれに該当しますか?
MM2002 「災害」に対する関心は、重要、すこし重要、重要でないのどれに該当しますか?
MM2003 「騒音、振動」に対する関心は、重要、すこし重要、重要でないのどれに該当しますか?
MM2004 「筋骨格系障害」に対する関心は、重要、すこし重要、重要でないのどれに該当しますか?
MM2005 「作業関連ストレス」に対する関心は、重要、すこし重要、重要でないのどれに該当しますか?
安全衛生専門家の利用状況
MM1501 事業場内または外部の「産業医」を利用していますか?
MM1502 事業場内または外部の「安全専門家」を利用していますか?
MM1503 事業場内または外部の「心理専門家」を利用していますか?
MM1504 職場環境設定に関し、事業場内または外部の「人間工学専門家」を利用していますか?
MM1505 事業場内または外部の「安全衛生コンサルタント」を利用していますか?
職務関連ストレス対策
MM250 職務関連ストレスへの手続きがありますか?
MM259 従業員に対し、社会心理的リスクとその安全衛生に対する影響を知らせていますか?
MM152 病気欠勤の原因分析を日常的に行っていますか?
MM153 長期病気欠勤後の職場復帰についての支援対策を立てていますか?

 

安全衛生方針等の文書化・リスクアセスメント

表2
MM155 安全衛生方針、マネジメントシステム、行動計画の文書化をしていますかの質問に対する「はい」と回答があった比率

従業員数 10-19人 20-49人 50-249人 250-499人 500人以上
フランス 55.63% 69.20% 72.20% 81.01% 88.21%
ドイツ 46.70% 58.79% 66.33% 67.24% 77.65%
イギリス 97.62% 96.46% 99.45% 100.00% 100.00%
表3
MM161作業場所の安全衛生をリスクアセスメントまたは類似の方法で日常的にチェックしていますかの質問に対する「はい」と回答があった比率

従業員数 10-19人 20-49人 50-249人 250-499人 500人以上
フランス 55.70% 70.85% 78.77% 85.09% 86.94%
ドイツ 71.37% 82.47% 90.95% 93.85% 94.66%
イギリス 96.66% 96.69% 99.02% 99.44% 99.22%

関心のあるテーマ

表4
MM2001「危険物質」に対する関心は、重要、すこし重要、重要でない、のどれに該当しますかの質問に対する「重要」と回答があった比率

従業員数 10-19人 20-49人 50-249人 250-499人 500人以上
フランス 48.37% 60.38% 56.25% 67.06% 74.23%
ドイツ 43.88% 46.77% 52.26% 60.92% 71.12%
イギリス 26.49% 32.35% 25.45% 29.44% 35.58%
表5
MM2002「災害」に対する関心は、重要、すこし重要、重要でない、のどれに該当しますかの質問に対する「重要」と回答があった比率

従業員数 10-19人 20-49人 50-249人 250-499人 500人以上
フランス 63.55% 80.50% 81.43% 90.18% 86.08%
ドイツ 55.92% 63.41% 70.81% 79.13% 85.75%
イギリス 44.88% 53.98% 49.67% 50.95% 59.09%
表6
MM2003「騒音、振動」に対する関心は、重要、すこし重要、重要でない、のどれに該当しますかの質問に対する「重要」と回答があった比率

従業員数 10-19人 20-49人 50-249人 250-499人 500人以上
フランス 39.37% 43.72% 48.51% 54.13% 44.47%
ドイツ 35.47% 40.29% 38.92% 44.21% 48.97%
イギリス 13.91% 16.53% 17.57% 18.42% 23.01%
表7
MM2004「筋骨格系障害」に対する関心は、重要、すこし重要、重要でない、のどれに該当しますかの質問に対する「重要」と回答があった比率

従業員数 10-19人 20-49人 50-249人 250-499人 500人以上
フランス 54.81% 67.31% 74.36% 86.13% 87.57%
ドイツ 54.17% 57.04% 63.37% 69.35% 77.43%
イギリス 25.92% 40.01% 38.76% 44.82% 63.61%
表8
MM2005「作業関連ストレス」に対する関心は、重要、すこし重要、重要でない、のどれに該当しますかの質問に対する「重要」と回答があった比率

従業員数 10-19人 20-49人 50-249人 250-499人 500人以上
フランス 45.79% 49.27% 53.83% 56.38% 72.22%
ドイツ 49.65% 48.12% 56.42% 54.74% 50.08%
イギリス 18.89% 26.41% 24.81% 26.22% 44.91%

安全衛生専門家の利用状況

表9
MM1501事業場内または外部の「産業医」を利用していますかの質問に対する「利用している」と回答があった比率

従業員数 10-19人 20-49人 50-249人 250-499人 500人以上
フランス 90.75% 93.21% 94.32% 98.51% 99.29%
ドイツ 54.64% 70.12% 87.76% 94.88% 99.20%
イギリス 25.30% 28.43% 56.75% 69.97% 86.75%
表10
MM1502事業場内または外部の「安全専門家」を利用していますかの質問に対する「利用している」と回答があった比率

従業員数 10-19人 20-49人 50-249人 250-499人 500人以上
フランス 38.59% 53.11% 60.00% 74.18% 83.33%
ドイツ 62.92% 75.50% 92.60% 99.00% 100.00%
イギリス 65.58% 71.50% 86.22% 91.40% 96.87%
表11
MM1503事業場内または外部の「心理専門家」を利用していますかの質問に対する「利用している」と回答があった比率

従業員数 10-19人 20-49人 50-249人 250-499人 500人以上
フランス 8.69% 17.00% 18.61% 24.73% 31.62%
ドイツ 4.67% 5.89% 10.95% 20.65% 29.17%
イギリス 5.92% 9.29% 17.13% 24.08% 34.64%
表12
MM1504職場環境設定に関し、事業場内または外部の「人間工学専門家」を利用していますかの質問に対する「利用している」と回答があった比率

従業員数 10-19人 20-49人 50-249人 250-499人 500人以上
フランス 12.39% 18.24% 31.75% 49.41% 54.88%
ドイツ 15.53% 19.91% 25.70% 43.30% 40.74%
イギリス 17.46% 28.45% 50.18% 65.97% 75.04%
表13
MM1505事業場内または外部の「安全衛生コンサルタント」を利用していますかの質問に対する「利用している」と回答があった比率

従業員数 10-19人 20-49人 50-249人 250-499人 500人以上
フランス 13.27% 24.42% 27.21% 28.43% 35.81%
ドイツ 54.00% 64.93% 69.63% 76.60% 83.10%
イギリス 60.49% 72.09% 67.40% 69.25% 68.51%

職務関連ストレス対策

表14
MM250職務関連ストレスへの手続きがありますかの質問に対する「ある」と回答する比率

従業員数 10-19人 20-49人 50-249人 250-499人 500人以上
フランス 12.05% 17.84% 21.19% 24.89% 39.58%
ドイツ 13.60% 14.16% 20.22% 23.33% 35.19%
イギリス 48.25% 58.56% 76.44% 82.11% 94.14%
表15
MM259従業員に対し、社会心理的リスクとその安全衛生に対する影響を知らせていますかの質問に対する「はい」と回答があった比率

従業員数 10-19人 20-49人 50-249人 250-499人 500人以上
フランス 26.80% 36.55% 43.03% 44.39% 57.27%
ドイツ 32.81% 40.38% 47.47% 49.94% 57.14%
イギリス 47.35% 49.94% 62.48% 64.44% 80.11%
表16
MM152病気欠勤の原因分析を日常的に行っていますかの質問に対する「はい」と回答があった比率

従業員数 10-19人 20-49人 50-249人 250-499人 500人以上
フランス 34.37% 50.38% 54.79% 64.38% 64.79%
ドイツ 29.70% 32.55% 52.32% 58.64% 72.86%
イギリス 55.86% 73.12% 81.08% 86.35% 91.80%
表17
MM153長期病気欠勤後の職場復帰についての支援対策を立てていますかの質問に対する「はい」と回答があった比率

従業員数 10-19人 20-49人 50-249人 250-499人 500人以上
フランス 50.14% 66.81% 75.01% 79.78% 83.85%
ドイツ 56.67% 67.82% 82.73% 93.42% 97.91%
イギリス 78.47% 86.91% 95.64% 97.16% 100.00%

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