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各国情報・国際関係

アメリカ労働安全衛生局(OSHA)の罰金に関する情報2件

2010年10月29日

OSHA News Release 2010年8月12日及び8月5日

アメリカ労働安全衛生局(OSHA)の科した 高額な罰金の事例が、 最近において 続出しており 、これらの中から、次の2件を紹介する。

1
BP(イギリス石油)北米社が罰金5‚060 万ドルを支払うことでアメリカ労働省と和解(OSHA News Relase 2010年8月12日)
2
天然ガス発電所建設工事中の大爆発災害に関し、罰金1‚660万ドルを提示(OSHA News Relase 2010年8月5日)

1 BP(イギリス石油)北米社が罰金5‚060 万ドルを支払うことでアメリカ労働省と和解
BP to pay $50.6 million to resolve US Labor Department litigation
Penalty stems from 2005 explosion at Texas City‚ Texas‚ refinery
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アメリカ労働安全衛生局(OSHA)は、BP(イギリス石油)北米社(以下BPとする。)が、2005年に起したテキサス州テキサス市の石油精製プラントでの爆発事故により15名の労働者が死亡し、170名が負傷した爆発事故による改善命令違反の罰金として、5‚060万ドルを支払うこととなったと発表した。この和解は、2009年のフォローアップ調査の後に発せられた命令について解決をするものである。記録的な額の罰金の支払いに加えて、BPは、最低5億ドルを確保して、石油精製プラントの労働者保護のための対策を即時講じることについても合意した。

「この合意は、石油精製プラントの労働者の保護と重要な安全性の向上を、出来るだけ早く確保するという目的を達成するものである。」とソリス労働長官は述べている。「刑罰の規模は、BPの作業場の安全無視を正しく反映しており、また、OSHAは労働者がその日の仕事を終わって安全に帰宅できるように法規制していることを示している。」と述べた。

この合意に基づき、BPは、直ちに決められた計画により、精製設備の安全審査を行い、恒久的な改善を行うこととなる。合意においては、また、多数の応急手当を必要とする項目を確認しており、会社側は、これらに早急に取組むこと及びこれらの是正措置の確認を第三者の専門家に委嘱することにも合意した。合意は、さらにBPの安全管理計画に対する前例のない監督指導についても取り決めている。 すなわち、OSHAとの定期的会合、頻繁な監督の実施及び四半期に1回OSHAへ報告 書を提出することなどである。最後に、安全を企業全体のものと するため、ロンドン、北アメリカの役員会及びOSHAの間において連絡会議を設置し、最高レベルの管理部門において、法令順守等に関する事項を取り扱わせることとした。

「通常、命令書において確認された問題点の改善により達成される以上に、この取り決めにより、よりよい安全な作業条件がもたらされる。」とマイケルOSHA長官は述べている。さらに「OSHAはBPがこの合意を的確に実施し、労働者保護に遺漏がないことを監視していきたい。」と述べた。

2005年9月、OSHAは、その年の3月にテキサス市の石油精製プラントで起った死亡を伴う爆発事故に対してその当時において記録的な 罰金をBPに通知した。OSHAとBPは、この通知書の発行後、会社が問題点を確認し、改善するという合意をした。しかし、会社は安全に係る多くの変更を行っていたが、 いくつかの合意に係る非常に重要な部分について改善 していなかったことが、OSHAが2009年に実施した追跡調査において判明した。結果として、OSHAは、これを改善命令違反の罰則として5‚060万ドルの罰金を通知し、BPはこの支払いに同意したものである。注1

2009年のフォローアップ調査中に、OSHAは新たに439件意図的違反を確認し、3‚000万ドルを超える罰金を通知している。これらの違反と罰金についての訴訟は継続しており、本日の結果には影響されない。

合意の詳細については、下記サイトを参照
http://www.osha.gov/dep/bp/bpagreement.html 別ウィンドウが開きます

注1:
2009年10月、OSHAは、テキサス市の精製プラントの監督の結果、BPに対する8‚740万ドルの罰金を発表した。このうち、5‚670万ドルは改善違反の罰金である。しかし、609万ドルは重複して科せられていたことが判明したことから、最終的に5‚060万ドルとなったものであり、OSHAが科した罰金の歴史上の最高額であることに変わりはない。

2 天然ガス発電所建設工事中の大爆発災害に関し、罰金1‚660万ドルを提示
US Labor Department's OSHA proposes $16.6 million in
fines in connection with fatal Connecticut natural gas explosion
Federal agency warns natural gas power plant operators against deadly practice
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アメリカ労働安全衛生局(OSHA)は、2010 年2月に発生したコネチカット州ミドルタウンのクリーンエネルギーシステムLLC社の発電所建設現場の大爆発災害の調査結果に基づき、建設会社3社及び14の現場請負業者に対して、371項目の安全基準違反容疑を通知するとともに、総額1‚660万ドルの罰金を提示した。この爆発災害により労働者6人が死亡し、50人が負傷した。

「数百万ドルの罰金は、6人の生命を奪い、その他の多くの労働者に負傷をもたらしたことに比べれば見劣りのする額である。」、「罰金と罰則は、現場の作業を管理する会社により作り出された致命的な不安全状態の重大さを反映しているものである。常識的な安全手順を省略できるようなどんな作業や、期限もあり得るはずがない。労働者が、その生活のために生命を犠牲にすることなどありえない。」とソリス労働長官は述べている。

2010年2月7日、燃料ガス配管内の金属片などを除去するために、高圧の可燃性天然ガスを注入する吹込み作業が行われていた。この作業中、容易に拡散しないほどの膨大な量のガスが付近に放出された。しかも、付近では溶接などの作業が行われており、極めて 危険な状況であった。ガスが点火源に接触したとき、爆発が起った。

「これら関係事業者は、明らかに火災や爆発危険に労働者をばく露させる ガス吹込み作業を行うに当たって 、すでに周知された広く受け入れられ る業界手順及び指針を無視した。」、「仕事を早く終わろうとし意図的に安全作業手順を無視したときにこのような大災害が発生し、結果的に労働者が死亡し、重篤な負傷を受けることが産業界を通じて起っているのを何回となく経験した。」と マイケルOSHA長官はコメントしている。

この爆発事故に関連して、OSHAは、この工事の元請のO&G社、配管とガス吹込み作業を請け負っているキーストーン建設保全社及び試運転とプラント起動を請け負っているブルーウォ ーターエネルギー社を召喚した。

これらの3社は、労働者を爆発火災危険にばく露させる ガス吹込作業を行ったことに対し、また、足場及び付近の構造物に近接してガス放出管を配置し、関係者以外の付近への立入を禁止しなかったことにより召喚された。ガス吹き込み中に溶接作業を許可する機器に対するリストアップとラベリングを怠ったこと、ガス吹き込み作業に伴う危険の認識に関して関係労働者の教育訓練を怠ったことについても召喚された。

O&G社には、119件の意図的違反、17件の重大違反、3件の重大以外の違反とともに8‚347‚000ドルの罰金が通知された。キーストーン建設保全社に対しては、94件の意図的違反、16件の重大違反、1件の重大以外の違反とともに6‚686‚000ドルの罰金が通知された。ブルーウオーターエネルギー社に対しては、12件の意図的違反、8件の重大違反とともに896‚000ドルの罰金が通知された。

これら3社への違反通知に加えて、14の下請け社に総額686‚000ドル罰金が、 通知された。

OSHAは、意図的違反を労働者の安全衛生についての明らかな又は意図的な無視によるものと定義している。

各社への違反通知は、下記サイトを参照
http://www.osha.gov/doc/kleen_energy/kleen.html 別ウィンドウが開きます

クリ−ンエネルギー発電所建設工事の大災害の結果、OSHAは、天然ガス発電所に対して、天然ガスを使用する危険な方法による配管の清掃について、これらの大災害を防止する安全な作業手順と方法についての警告書を発することとしている。安全な作業手順と方法としては、ガスを垂直上方に放出、すべての点火源を除去、関係者以外の立入禁止、作業中のガス濃度の測定などが含まれる。より安全な代替方法としては、配管の清掃に当っては、不燃性、非爆発性の媒体を使用する。

各事業者は、この通知を受理した日から15事業日以内に応じるか、OSHAに出頭し意見交換するか、若しくは独立安全衛生調査委員会(Independent OSH Review Commission)に異議申し立てをすることが出来る。

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