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各国情報・国際関係

アメリカ労働安全衛生局:改正クレ−ン、デリック安全規則の解説書を公表

2011年5月31日

OSHA News Release 2011年3月8日 別ウィンドウが開きます

アメリカ労働安全衛生局(US OSHA 別ウィンドウが開きます )は、2011年3月8日、改正クレ−ン、デリック安全規則(連邦規則集29−1926)に関する小規模事業所のための建設用クレ−ン、デリック(以下「クレ−ン等」)の解説書(Small Entity Compliance Guide for Cranes and Derricks in Construction 別ウィンドウが開きます )を公表した。

この改正規則は、1971年に制定された規則を最近のクレ−ン等の技術進展により発生する労働災害の防止に対応させるために、2010年8月に改正されたものである。

「過去40年にわたって、我々は多くの労働者がクレ−ン等の操作に伴う感電、押しつぶされ、または激突されにおける危険により負傷し、死亡するのを見てきた。この解説書は、これらの危険事象、時には死亡に結びつく事象から労働者を保護するために事業者が何をなすべきか示したものである」と労働安全衛生局長官は述べている。

この解説書は、「序言」および「事業者の責務」に引続いて連邦規則集のクレ−ン等に関する事業者が直面する最も一般的な事項について、逐条的に解説している。

以下、「序言」、「事業者の責務」及び「解説書の目次」について紹介する。

1.
序言
2.
事業者の責務
3.
解説書の目次

1.序言

この解説書は、建設用クレ−ン等に係る安全規則順守について小規模事業所の手助けとなるように作成されたものである。この解説書は、事業者が直面する最も一般的な事項について有用な解説書として活用するための詳細事項を提供するようにしている。しかしながら、クレ−ン等規則の全条文(29 CFR 1926. 1400−1442)について、ふれているわけではない。

州によっては、OSHAの認可を受けた州計画が施行される。その計画はOSHA規則または規則を上回る独自の規則でなければならない。

誰が規則を順守しなければならないか?

建設工事においてクレ−ン等を使用する事業者は、この規則を順守する義務がある。さらに、クレ−ン等が使用されている建設現場の他の事業者は、彼らが雇用する労働者がクレ−ン等による危険に曝されることに対して責任があり、故にそれらの労働者に関係する規則の要求事項について知っている必要がある。運転者と保全担当者を提供するクレ−ン貸与者もこの規則の適用がある。

この解説書が対象とする読者は?

この規則を順守する義務を有する事業者がこの解説書を読むべきである。さらに、クレ−ン等の運転者およびクレ−ン等の作業に従事し、またはその付近で作業する労働者もこの解説書から必要な情報を得ることができる、それらはクレ−ン等による危険源についてであり、また、これらの危険源について事業者が取るべき措置についてである。

この解説書をどのように活用するか?

この解説書は、規則を逐条的に解説している。また、解説書は最も厳しい危険源に関係する条項について説明し、また、事業者が最も頻繁に直面する事項について取上げている。さらに、ある部分においては特別な事案について詳細な解説をしている。
この解説書において、「あなた(you)」としているときは、特に文中において記述しない限り、建設現場においてクレ−ンを稼動させている事業者を指している。ただし、上述から分るように、他の事業者もこの規則のもとで責任があることがある。

この改正規則の主な事項は?

  • 2014年11月以降、クレ−ン等の運転者は公式に必要な資格要件を満たし、または、資格証書を持たなければならなくなる。
  • クレ−ンの組立て・解体中の安全確保に関する事項が新たに規定された。
  • 送配電線とクレ−ン等との安全離隔距離について規定され、また、必要な感電防止についても規定された。
  • タワ−クレ−ンの組立て前の検査、クライミング中の繊維スリングの使用とその他の組立て作業、これらの作業に対する有資格の玉掛け者(Rigger)についての規定が定められた。
  • 浮きクレ−ン等、旧規則での要求事項が少なかったものについて規定が整備された。
  • 杭打ち機等、旧規則では適用されていなかったものについて必要な規定が整備された。

2.事業者の責務

建設現場においてクレ−ン等を使用する事業者は、規則のすべてについての順守義務があり、また、その他の事業者についてもそれぞれの作業に応じて責務を有する。これらの事業者の義務については、労働安全衛生局の混在作業解説書と同様であり、労働安全衛生法は、①危険源を発生させまたは、これを制御する事業者、②雇用する労働者がこれらの危険源に曝される事業者、③現場全体について統括管理権限を有する事業者に分けてそれぞれの義務を課している。

以下の質疑応答は、各種の状況におけるそれぞれの事業者の順守義務について解説している。

問1
私は、クレ−ンを所有し、建設現場においてクレ−ンを使用しており、クレ−ン運転者は私が雇用する労働者です。規則上の私の責務は何ですか?
答1
あなたはクレ−ンにより生じるすべての危険源について制御するのですから、規則のすべての要求事項を順守しなければなりません。

問2
私は、建設現場でクレ−ンを使用しています。クレ−ンの貸与者は、このクレ−ンは規則に適合していると言っています。貸与者の言葉を信用し、このクレ−ンが規則に適合していると見なしていいでしょうか。
答2
いいえ、クレ−ンを使用する事業者として規則のすべての要求事項を順守しなければなりません。貸与者がクレ−ンは規則に適合すると申し立てていても、この申し立てを検証しなければなりません。貸与者の申し立てを検証する1つの方法は、貸与者に最近の月例および年次検査の記録を要求することです。この記録により修理が必要かまたは、今後チェックが必要かについて検査員により発見された事項を確認することができます。この書類は、規則に基づき検査を実施する検査員全員が確認することができるものでなければなりません、勿論、検査には、あなたが稼動中に実施しなければならない受け入れ検査(shift inspection)も含まれます(1412条(K)および1413条(E)を参照)。若し、貸与者が必要な検査書類を持たないときは、あなた自身が年次検査を行い、クレ−ンの使用前に書類を整えなければなりません(規則に規定されている1412条の検査関係条項を参照)。

問3
運転者付きでクレ−ンを建設請負業者に賃貸しています。現場では、運転者は、もっぱら借り受け者の監督者の監督下に置かれています。私は、規則により何らかの義務がありますか?
答3
はい、あなたは事業者であり、あなたの労働者である運転者はクレ−ン操作の結果による危険に曝されることになりますから、規則の要求事項すべてを順守しなければなりません。さらに、あなたはクレ−ン運転者に起因する如何なる法違反についても責任があります。なぜならばあなたは運転者を雇用している事業者であり、借り受け者はクレ−ン操作が安全に行われることを確保するのは運転者の知識・技能に依存しているからです(第1427条(a) 運転者資格および運転証書を参照)。

問4
私は、クレ−ンを建設請負業者に貸与していますが、運転者は提供していません。しかし、借り受け者がクレ−ンの保全と修理が必要であるということから、保全技術者を派遣しました。私は、規則による何らかの責務があるでしょうか?
答4
はい、あなたは保全技術者の事業者ですから、第1429条(保全、修理者の資格について)に基づく規定を順守する必要があり、また、保全技術者の活動により現場における他の作業者が曝される危険源に対しても責務があります。さらに保全技術者が作業中に犯す法違反についても責務があります。

問5
私は、クレ−ンを建設請負業者に貸与していますが、運転者は提供していませんし、クレ−ンが現場で稼働中に検査または修理を行う者も提供しておりません。このような場合、規則によるどのような責務があるでしょうか?
答5
クレ−ンを貸与(販売)し、現場に何ら自分の労働者を派遣していなければ、規則の適用はありません。しかし、借り受け者は答2でお答えしたようにクレ−ンの状態に対して責任があり、あなたに過去のクレ−ン検査記録およびその他の情報提供を求めることがあります。

問6
私は、建設現場における請負業者で、他の請負業者がこの現場でクレ−ンを使用しています。私の仕事は、クレ−ン作業には関係していません。この場合、規則に基づく責務がありますか?
答6
あなたの労働者は、クレ−ン操作による危険源に曝されることから、一定の責務があります。例えば、クレ−ンが過負荷により倒壊した場合には、付近の関係者は負傷し、死亡するなど被災する可能性があります。クレ−ンが送配電線に接触した場合には、クレ−ンに接触することにより感電することがあります。あなたがクレ−ンを使用していなくとも、あなたはクレ−ンの潜在的危険に留意し、合理的に予見可能な危険源に対してあなたの労働者を保護する責務があります。あなたは、あなたの労働者を保護するための合理的な措置を講じる責務があります。例えば、あなたが過負荷、軟弱地盤、または強風によりクレ−ンの安定性を心配する場合には、あなたはクレ−ンが倒壊したときに危険となる箇所であなたの労働者を作業させる前にクレ−ンが安定であることについて納得する必要があります。一つの方法として、クレ−ンを使用している会社または現場を統括している請負業者にクレ−ンの安定性を確保するための必要な措置が講じられているかどうか確認することです。また、あなたは、あなたの労働者に対して、クレ−ンの近くでの仕事による危険を含め、仕事に伴う危険について教育する責務があります。

問7
労働者に対してどんな教育をしなければならないでしょうか?
答7
クレ−ン等の運転者、合図者、保全・修理担当者、その他の要資格者および装置の付近で作業する労働者に対する教育については、第1430条に原則的なことが規定されています。さらに、連邦規則集第1962部第21条(b)(2)項において、事業者は、建設労働者が仕事に伴う危険源について認識し、これらをどのように除去するかについて教育するとともに、状況に応じてクレ−ン等の規則に掲げられていないトピックスについても教育することを要請できることとされています。

問8
私は、材木置場を運営しており、建設現場に様々な資材(シ−ト資材(乾式壁、合板など)、梱包資材(屋根板、セメント袋、屋根用フェルトのロ−ルなど))を配送しています。配送には屈曲ジブ式トラッククレ−ンを使用しています。現場では、クレ−ンを使用して、これらの資材を地面に下ろし、または建築中の構造体に取り付け(place onto)ます。この場合、規則の適用があるでしょうか?
答8
あなたが、資材をつり上げのためにアレンジすることなく単に置場に保管しているだけならば、建設業に従事していることにはならず、規則による義務はありません。しかしながら、あなたが資材を配送し、構造物に取り付ける(place onto the structure)のであれば、建設業に従事していることとなり、規則があなたの仕事に適用されます。しかしながら、あなたが建築資材を配送し、構造体上に置くだけであり、あなたの屈曲ジブ式/関節ジブ式トラッククレ−ンが適切に機能する過負荷防止装置を搭載していれば、これ以上の規則による義務は発生しません。そうでなければ、資材をクレ−ンを使用して構造体に取り付けるときは、規則のすべての規定を順守しなければなりません。

問9
私は、屈曲ジブ式トラッククレ−ンを使用して事前に組立てられた屋根組(prefabricated roof trusses)、と壁板を建築現場に配送しています。現場では、クレ−ンを使用して、これらの資材を地面に下ろし、または建築中の構造体に取り付け(place onto)ます。この場合、規則の適用があるでしょうか?
答9
あなたが資材を構造体にこれらの資材を下ろす(unload)のであれば、規則が適用されます。あなたが資材を地面に下ろすのみであり、資材をつり上げのためにアレンジするのでなければ建設の仕事に該当しないので、規則は適用されません。

問10
私は、住宅建築工事の総合工事業を営んでいます。組立ての下請け業者が構造体に屋根組をつり上げるために現場にクレ−ンを持ち込みたいといってきました。私は、規則による何らかの責務があるでしょうか?
答10
あなたは、クレ−ンが水平、堅固な地面上で安全に稼動するかどうか見ておく責任があります(第1402条 地盤条件を参照)。さらに、あなたは、当該下請け業者にクレ−ン据付付近の危険源(空洞、貯槽、電気ガス水道等)の位置について通知しなければなりません。これらの危険源は、書類(現場図、竣工図または地盤分析)により確認し、またはその他の方法で確認します。若し、現場に複数のクレ−ンが持ち込まれ、クレ−ンの作業半径が重複している場合には、あなたはクレ−ン操作を管理するシステムを定めなければなりません(第1424条の(b)を参照)。さらにこれらの特定の義務に加えて、現場の統括管理請負者として、あなたは現場における法違反を防止し、法違反がないよう監視する合理的な注意を払う義務があります(労働安全衛生局指示CPL. 2−0.124 「下請け混在作業解説書(Multi−Employer Citation Policy)」のXE項(労働安全衛生局のWebサイトで参照可能)を参照)。

問11
私は、規則の規定がクレ−ン運転者などの労働者に対する義務を規定していることを知っております。このことについて事業者として何らかの義務があるでしょうか?
答11
規則では、クレ−ン運転者、クル−メンバ−、その他の関係労働者に一定の行動をとることを要求しています。第1400条は、あなたが作業規程を定め、関係者間の連絡調整を実施することを要求しています。

3.解説書の目次

序言
 
事業者の責務
 
連邦規則集29−1926
 
1400条−
範囲
1401条−
定義
1402条−
地盤条件
1403条−
1406条−組立て及び解体
1407条−
1411条−送配電線
1412条−
検査
1413条−
ワイヤロ−プの検査
1414条−
ワイヤロ−プ−選定及び取り付け基準
1415条−
安全装置
1416条−
操作支援装置
1417条−
運転
1418条−
操作停止の権限
1419条−
1422条−合図
1423条−
落下防止
1424条−
作業範囲の管理
1426条−
自由降下及び動力降下
1427条−
クレ−ン等の運転資格及び資格証書
1428条−
合図者の資格
1429条−
保全及び修理担当者の資格
1430条−
教育
1431条−
人のつり上げ
1432条−
共つり
1433条−
設計、建設(設置)及び試験
1434条−
装置の改造
1435条−
タワ−クレ−ン
1436条−
デリック
1437条−
浮きクレ−ン及び台船クレ−ン
1438条−
天井走行クレ−ン及び橋形クレ−ン
1439条−
専用杭打ち機
1440条−
サイドブ−ムクレ−ン
1441条−
定格(つり上げ)荷重2‚000ポンド以下の装置
付属書:
承認労働安全衛生計画を有する州一覧

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