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各国情報・国際関係

イギリスの労働安全衛生協会(Institute of Occupational Safety and Health IOSH)の2月18日付の除細動器の備付け状況調査等に関するニュース 別ウィンドウが開きます

2013年3月29日

AED(Automated External Defibrillator、自動体外式除細動器)備付け状況調査−事業所での心肺停止の関心を高める

心停止救命率に影響するという反響にもかかわらずー英国の半数を超える企業は除細動器を有せず

イギリス労働安全衛生研究所(IOSH)は、英国内の1,000事業所に対して救命機器の備付け状況の調査を実施し、513事業所において救命装置を有していないことが判明した。また、中・大規模事業所の3分の2が「備えていない」と回答した。

全国心臓月間の協賛の一貫として、IOHは企業が電気ショックにより心臓を蘇生するための除細動器を導入することを推奨している。

IOSHの研究情報サービスマネージャーのジェーン ホワイトは、"従業員の数、その年齢階層等及び働く部門の種類をよく考慮し、除細動器をサイトに持つべきかどうか検討するよう要望している。"と話している。

現在、英国では毎年30,000人が病院外において心肺停止になるが、その18.5%が蘇生しているに過ぎない。アメリカの統計では、事業所内の死亡の13%は心肺停止によるものである。

同氏はさらに"倒れてから最初の2〜3分以内に除細動器を使用すれば、救命の機会が大きく、75%まで救命率が向上する。このことは、事業場に除細動器を備えることがいかに大切であるかをということである。"と言っている。

調査対象の小規模企業の327の回答のうち、60.2%すなわち197の事業所が除細動器を備えていないと回答している。中、大及び超大規模事業所の513件のうち、316件−約3分の2−が救命機器を備えていないと回答している。
この調査において備えていないと回答した企業に対するその事由の質問については、45の事業所はそれらの事案は発生していない、56はその必要なし、34は従業員数がきわめて少ない及び31はコストの問題があると回答している。

同氏は、また、"このことは、実際に気がかりなニュースで、特に大きな企業について心配している。機器の価格は約1,000ポンド(約14万円)であり、大企業がこれを備える余裕がないことはないと思われる。"
"若し、仕事中に心肺停止となり救命されなかったときは、家族にとり、友人にとりまた同僚にとって悲惨なことであり、また除細動器を使用しないで心肺蘇生(CPR、Cardio Pulmonary Resuscitation)を行う者にも大きな負担となる。また、会社にとって大切な人材を失うこと、停止時間(downtime)、カウンセリング、配置換え、職員の教育などのコストを考慮する必要がある。このメッセージは単に倫理的なものではなく、財政的な意味を有している。除細動器は人命を救い、健全な事業経営に資するものであり、健康を確保し安全を担保するものであることはいうまでもない。"と言っている。

インマルサット社は世界の最大手の衛生通信のプロバイダーであり、1,700人の職員と多くの請負業者(Contractors)を有している。40歳の請負業者が心肺停止になって以降、イギリス本社に除細動器を備えることとした。

インマルサット社の安全衛生マネージャーロイデス ニューウェル氏は次のように言っている。"当初は管理者側と除細動器の整備について議論するのは、その機器の信頼性に対する懸念と救急サービスが6分以内に到着するという事実のために難しかった。"
"しかしながら、我が社のコントラクターの一人が事務所において同僚と話をしている最中に心肺停止になり、不幸にも30分後に病院において死亡が確認された。このことがすべてを変え、私は会社のトップから直ちに許可を得て、どれくらいの数の除細動器が必要かまたどのように配置するか検討した。職員は除細動器の使用方法について自主的に習うことができ、実際、除細動器の取扱いの教育は法令上義務付けられてないし、使用法は簡単である。"
"我々は、不可欠な人命救助装置であると考えており、我々が同様の経験を今後したとするならば、結果は違ってくると考えている。"

調査結果を分野ごとに見てみると、教育分野が最も悪くて回答86件中61件が職場に除細動器を備えていない。小売業では、58件中20件、ほぼ3分の2がなしと回答している。事務所関係からの回答では、半分以下、約44%が除細動器を備えていると回答している。しかしながら、製造業、技術産業(Engineering Industries)では、実情は改善されており、95件中62、65%が機器を持っていると回答している。

IOSHのホワイト氏は、さらに"小規模事業所で除細動器の必要性を検討する場合には、単に従業員数だけを考慮するのではなく、学校の場合には生徒、介護施設では危険な状態にある入院患者、商店などでは顧客のことを考慮すべきである。そして導入するコストの心配については、各種の支援措置があること。"と言っている。

セントジョーン救急協会(St John Ambulance)は、事業所に除細動器の使用方法を含む救急処置訓練を提供している。

同協会の教育研修担当のクライブ ジェームス氏は"迅速な救急処置と除細動器の使用は、命を失うことと助かることとの大きな違いとなる。除細動器は、被災者の心臓のリズムは電気ショックを必要としているかどうか検知し、電気ショックを必要としない者にはショックを与えないのである。また、この教育コースにおいて受講者は除細動器の使用について自信を持つことができる"

"心肺停止の状態に陥った者が緊急治療を受けないと死亡するということを理解すべきであり、迅速な心肺蘇生措置と除細動器の使用に助かるチャンスがより大きくなるということである。

*詳細は、You Tubeの「Flickr page 」、「Pinterest board」、「fact page on defibrillators」を参照ください。

注:英労働安全衛生協会(IOSH)は安全衛生専門家の公認団体である。世界の85か国から40,000人が会員となっている。1945年に設立された国際NGOとしての登録団体である。

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