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中央労働災害防止協会(中災防)
教育推進部 業務課
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調査・研究

調査研究概要

製造業務における派遣労働者に係る安全衛生の実態に関する調査研究報告書

Ⅰ.アンケート調査の対象

  • 派遣元事業所
    (社)日本人材派遣協会の会員企業(ホームページで製造業務の労働者派遣を行っていると公表しているもの)及び(社)日本生産技能労務協会の会員企業から500事業所を抽出。
  • 派遣先事業所
    「事業所・企業統計調査」(平成16年)における50人以上の製造業事業所のうち、「別事業所からの派遣又は下請従業者のいる事業所」から3,000事業所を抽出。

Ⅱ.ヒアリング調査の対象

アンケート調査に回答があった事業所から、派遣元は6事業所、派遣先は12事業所を抽出。

Ⅲ.調査結果の概要

アンケート調査結果の数字は、製造業務の労働者派遣を行っている(派遣元)又は受け入れている(派遣先)事業所における割合)

1.安全衛生管理体制

  1. 派遣先においては、安全管理者、衛生管理者及び産業医について9割以上で選任されているが、派遣元においては、それぞれ6割強、8割弱、7割弱と、派遣先より低くなっている。
  2. 労働者派遣法に基づく製造業務専門派遣責任者(製造業務専門派遣元責任者又は製造業務専門派遣先責任者)については、派遣元では7割程度選任されているが、派遣先では3分の1程度。
  3. 安全衛生に関する委員会を設置しているのは、派遣元で4分の3程度、派遣先で約95%。派遣元では、派遣労働者が構成員として参加しているのが約3分の1で、構成員の選任には参加しているのが2割弱。派遣先では約15%と約5%で、8割の事業所は構成員としても選任にも参加していない。
2.安全衛生教育

  1. 雇入れ時の安全衛生教育
    派遣元及び派遣先の双方で行っている比率が相対的に高い(派遣元調査で約半分、派遣先調査で3割強)が、派遣元調査では派遣元のみ(約3分の1)、派遣先調査では派遣先のみ(4割強)とするところも相当あり。(法律上は派遣元の責任であるが、派遣先指針では、派遣元から雇入れ時の安全衛生教育の委託の申入れがあった場合には可能な限り応じるよう努めることとされている。)
  2. 作業内容変更時の安全衛生教育
    派遣先のみで行う場合が大部分(どちらの調査でも7割強)。
    (法律上は派遣元及び派遣先双方の義務)
  3. 危険有害業務に関する特別教育
    派遣先のみで行う場合が大部分(対象者がいる場合、派遣元調査で7割弱、派遣先調査で約4分の3)。(法律上は派遣先の義務)
  4. 派遣先による派遣元に対する協力
    機械・設備・作業内容に関する情報の提供(派遣元調査で9割弱、派遣先調査で8割弱)、教材、資料等の提供(同約4分の3と約半分)、派遣元の委託を受けて派遣先が安全衛生教育を実施(同6割強と4割強)の順で実施されている。
3.健康診断

  1. 雇入れ時の健康診断
    (派遣先・元のどちらの調査においても)派遣元で実施しているのは6割台にとどまっており、派遣元調査では「実施していない」との回答が、派遣先調査では「実施されているかわからない」との回答が、それぞれ2割強。(法律上は派遣元の義務)
  2. 定期健康診断
    派遣元のみで実施しているとする回答が多い(派遣元調査で約3分の2、派遣先調査で約半分)が、双方で実施しているとする回答(同2割弱と約3%)、派遣先のみで実施しているとする回答(同2割弱と3割強)もあり。ヒアリング調査によると、派遣先が実施する際に併せて派遣元が健康診断を実施する(派遣先の健康診断に派遣労働者も組み込んでもらって費用を派遣元で負担する)場合が多い。(法律上は派遣元の義務)
  3. 有害業務従事者の健康診断
    派遣先のみで実施しているとする回答が多く(対象者がいる場合、派遣元調査でも派遣先調査でも6割強)、派遣元のみで実施しているとする回答が続く(同4分の1前後)。(法律上は原則派遣先の義務)
4.労働災害

派遣労働者に関し、過去2年間で1日以上の休業を伴う労働災害が発生した事業所は、派遣元調査で約半分、派遣先調査で2割弱。事故の種類としては、「はさまれ・巻き込まれ」、「切れ・こすれ」、「転倒」等が多く、平成17年の製造業全体の事故の型別の動向(休業4日以上)と同様の傾向。

5.その他の安全衛生管理事項

  1. 労働者派遣契約に規定されている安全衛生に関する事項
    安全衛生管理体制、安全衛生教育、健康診断の実施等の事項が多い。
  2. 派遣元から派遣先への健康診断結果の連絡
    派遣元調査では約半分、派遣先調査では4割強が連絡。
  3. 派遣労働者からの安全衛生に関する苦情への対応等
    派遣労働者から安全衛生に関して苦情があったとするのは、派遣元で3割弱。派遣先で1割弱。苦情の内容は、派遣元・派遣先共通して「作業の手順や方法に関すること」が最も多いが、派遣元では「残業や深夜勤務などの労働時間に関すること」、「取り扱う機械や設備に関すること」の順に多く、派遣先では「取り扱う機械や設備に関すること」、「換気、採光、照明等の作業環境に関すること」の順に多い。
    苦情の内容については、派遣元も派遣先も、その約85%が相手方(派遣先・派遣元)に伝えているが、苦情の内容を記録しているのは、派遣元で7割弱、派遣先で半分弱。
  4. 安全衛生に関する派遣元と派遣先の連絡調整
    健康診断、安全衛生教育及び労働者派遣契約で定めた事項の実施状況についてなされているところが多い(派遣元調査で8割前後、派遣先調査で6割台)が、労働災害が発生した場合の内容・対応については相対的に少なく(派遣元調査で6割強、派遣先調査で半分弱)、問題のある状況。
  5. 派遣労働者の安全衛生に関し取り組むべき課題
    派遣元も派遣先も、「派遣労働者の安全衛生に関する意識の向上」を挙げる事業所が最も多く(派遣元で約4分の3、派遣先で約半分)、その次に、「派遣労働者に対する安全衛生教育の充実」及び「派遣労働者に対する安全衛生に関する指導・指示の徹底」が多い(同5割強と4割強)。

Ⅳ.提言等

1.安全衛生管理の充実

  1. 安全衛生管理体制の充実(特に派遣元)
    派遣先に比べ派遣元の安全衛生管理体制は未整備であり、その充実を図る必要がある。また、安全管理については法律上派遣先の責任とされる事項が多いが、派遣元事業所も、雇用する派遣労働者を製造業務に就かせる以上は基本的な知識は必要であり、派遣元事業所の安全衛生スタッフについては安全管理者選任時研修等の受講を勧めていくことも必要。
  2. 安全衛生教育
    雇入れ時の安全衛生教育においても、設備・機械等に関連した教育については派遣先で行うことが現実的であり、派遣先事業所は、派遣先指針に沿って派遣元から委託の申入れがあった場合にはできる限り応じることに加え、更に積極的に関与することが望まれる。
  3. 健康診断
    派遣労働者に係る健康診断が着実に実施されるよう、労働者派遣契約における記載、派遣元と派遣先の連絡調整等が的確に行われる必要。
    また、定期健康診断については、派遣先が健康診断を実施する際に併せて実施することが最も現実的。
    なお、(派遣のたびに雇用契約を締結する)登録型の派遣労働者の雇入れ時健診に係る法の適用については、その実態を踏まえた明確な整理が必要。
  4. 派遣労働者からの安全衛生に関する苦情への対応
    派遣労働者から安全衛生に関して苦情があった場合には、その内容に応じて派遣元又は派遣先が適切に対応すべきであるが、そのためにも、苦情の内容について労働者派遣契約の相手方へ伝えられることが必要。
  5. 行政による指導等
    今回の調査結果からは、安衛法等が求めている事項が必ずしも履行されていない実態も伺えることから、行政による必要な指導等が一層望まれる。
2.業務請負と労働者派遣に関する区分や安全衛生に関する教育

製造業の事業者に対しては、業務請負と労働者派遣に関する区分や、業務請負労働者や派遣労働者に対する安全衛生管理、「製造業における元方事業者による総合的な安全衛生管理のための指針」等について、積極的に講習会を開催して周知を図る必要。また、これらの事項を盛り込んだテキストの普及等にも取り組む必要。

3.業務請負と労働者派遣との関係の適正化

安全衛生の面からは、業務請負であるか労働者派遣であるかにより労働者の安全衛生管理を誰が行うかが異なるという重大な問題があることから、両者の関係の適正化対策も一体的に進められることが不可欠。

  1. このため、派遣元及び派遣先双方に対する製造業務に特化した指針が策定され、業務請負と労働者派遣に関する区分や安全衛生に関しそれぞれが講じなければならない事項を盛り込んだものとすることが必要。
  2. (ヒアリング調査において、派遣元の事業者が労働者派遣事業と並んで業務請負を行っており(過去には行っていて)、当該事業者自身が、業務請負の方は請負としての要件を満たしていない(満たしていなかった)ことを認識している事例もあったこと等を踏まえ、)労働者派遣事業の許可を受けた派遣元の事業者に求められている定期報告の中に業務請負に関する実施状況を報告させること等も、偽装請負を把握する上では効果があると考えられる。

全ての働く人々に安全・健康を 〜Safe Work , Safe Life〜

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