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調査・研究

調査研究概要

CSRにおける安全衛生の位置付けに関する調査研究

Ⅰ.調査研究の趣旨

最近CSR報告書等のレポート(以下「報告書」という。)を発行する企業が増えているが、これらの報告書は企業経営の考え方を表すものと考えられることから、CSRにおける安全衛生の位置付けを報告書を分析すること及び報告書を作成している企業ヘヒアリングを行うことによって整理したもの。

Ⅱ.調査の方法

1.Ⅱ.1.1.のアンケート調査によると、報告書を発行している企業における発行開始年は、第二次産業が古く(平成13年以前62%)、第三次産業が新しい(同51%)傾向あり。
  1. 東証1部上場企業等のうちアンケートに協力いただいた企業566社。
  2. 1.のうち15、16年度の報告書も入手できた企業(166社)。
2.報告書の名称

  1. 17年度の報告書は、「環境報告書」42%、「環境・社会(社会・環境)報告書」28%、「CSR報告書」16%等であるが、18年度の報告書では、「環境・社会(社会・環境)報告書」32%、「環境報告書」30%、「CSR報告書」25%等と、両年だけでも変化している。 (Ⅱ1.2.の166社の報告書では、15年度時点では80%が「環境報告書」。)
  2. 労働安全衛生分野の記載の有無別には大きな差があり、例えば18年度では、記載のある企業では、「環境・社会(社会・環境)報告書」38%、「CSR報告書」31%、「環境報告書」16%等であるが、記載のない企業では、「環境報告書」74%、「環境・社会(社会・環境)報告書」13%、「CSR報告書」7%等。
  3. 産業別には、第二次産業で「環境報告書」が、第三次産業で「CSR報告書」が多くなっており、例えば18年度では、第二次産業で「環境報告書」34%、「環境・社会(社会・環境)報告書」34%、「CSR報告書」20%、第三次産業で「CSR報告書」46%、「環境・社会(社会・環境)報告書」24%、「環境報告書」14%。
3.労働安全衛生分野の記載

  • 労働安全衛生分野の記載のある企業は、17年度で68%、18年度で75%。
  • この割合を産業別にみると、第二次産業がやや高い(18年度で第二次産業77%、第三次産業70%)。
4.報告書の総頁数及び労働安全衛生分野の記載頁数

  1. 報告書の総頁数
    • 労働安全衛生分野の記載のある企業は、17年度で68%、18年度で75%。
    • この割合を産業別にみると、第二次産業がやや高い(18年度で第二次産業77%、第三次産業70%)。
    • 産業別には、第三次産業の方が第二次産業より平均で10頁弱多い。
  2. 労働安全衛生分野の記載頁数
    • 労働安全衛生分野の記載のある企業の報告書について、その記載頁数をみると、17年度と18年度ではほとんど変化はなく、
    • 産業別には大きな差があり、平均では、第二次産業で1.1頁強。第三次産業で約0.6頁。また、企業ごとの分布をみると、 第二次産業では過半数の企業が1頁以上であるのに対し、第三次産業では過半数の企業は0.5頁未満。
5.労働安全衛生分野の記載項目

労働安全衛生分野の記載のある企業の報告書について、当該分野の項目の記載割合(重複回答)をみると、「メンタルヘルス」(17年度67%、18年度68%)、「災害統計」(69%、66%)、「安全衛生の取組の概要」(57%、56%)、「健康診断」(45%、46%)、「健康管理一般」(45%、46%)等が多く、両年での変化はほとんどない。
産業別にみると、健康管理関係の項目等の記載割合は第三次産業の方が高いが、それ以外の項目については第二次産業の方が高く、特に災害統計(18年度で第二次産業71%、第三次産業41%)及び「安全衛生の取組の概要」(同61%と33%)では大きな差がある。
ヒアリング調査によると、報告書としての分量の制約等から企業として取り組んでいるすべての項目を掲載するのは不可能なので、本社を中心に全社的な取組を行っている事項、労働安全衛生管理体制、災害統計等が中心となり、これに毎年度のトピックス的な内容を加えるとする企業が多かった。

6.報告書発行の際に意識するステークホルダー

Ⅱ.1.1.のアンケート調査によると、CSR報告書等を発行している企業において報告書発行の際に意識するステークホルダー(重複回答)については、「株主」、「消費者」、「取引先」、「従業員」及び「地域社会」が33〜40%であまり差がないが、労働安全衛生分野の記載のある企業では「従業員」(44%)が多く、記載のない企業では「株主」(46%)や「取引先」(44%)が多く「従業員」が少ない(25%)傾向。

7.労働安全衛生分野の報告書への記載と企業・従業員の意識や行動との関係等

ヒアリング調査によると、わからない、あるいは特段変化はない、という企業が多く、他の安全衛生活動の効果の方が大きいなどとする企業があったが、記載することによって幹部クラスの労働安全衛生に対する意識が向上した、従業員の安心感につながっているとする企業もあった。また、記載すること自体による意識や行動の変化にはつながらなくても、啓発の手段としては役立った(多くの企業ではCSR報告書等を従業員の教育に使用していた。)とする企業は多かった。

8.まとめ

  1. CSRの観点から企業がステークホルダー(利害関係者)に対して説明責任を果たすための主要な手段としての報告書(企業が自社の活動内容について公表する報告書)については、当初は主に第二次産業において環境問題を対象とする「環境報告書」という形態からスタートしたが、最近の報告書は、第三次産業においても作成されるようになるとともに、ステークホルダーとしての従業員を意識し、労働・社会的な側面が重視されている。
  2. 報告書の名称や分量、発行の際に意識するステークホルダー等については、労働安全衛生面の記載の有無によって異なることから、企業がどのくらい労働・社会的な側面を重視しているかについては、(産業にかかわらず)労働安全衛生面の記述の有無や当該記載が表す労働安全衛生面の取組状況が1つの重要なメルクマールとなると考えられる。
  3. 報告書に労働安全衛生分野の記載を行うこと自体が直接企業・従業員の意識や行動に影響を与えることが多いわけではないが、報告書の作成の中で何を記載するかについての判断が行われることから、報告書に記載する労働安全衛生分野の内容は、企業の取組状況を端的に反映しており、また、企業のなかでの啓発には役立っているものと考えられる。

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