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調査・研究

調査研究概要

事業場における産業保健活動の実態及び対応等に関する調査研究報告書のポイント

Ⅰ 本調査研究の目的・手法

今後の事業場における産業保健活動が適切に実施されるようにするため、事業場における産業保健活動へのニーズおよびそれに対する事業場内での体制や対応などの現状についてアンケートおよびヒアリング調査で明らかにし、今後望まれる対応等について検討を行うことを目的として、本調査研究を実施した。

このうち、アンケート調査は、中災防の賛助会員の中から2,000事業場を抽出し、アンケート調査票を郵送により発送し707事業場から回答を得た(平成21年2月および4月、回収率35.4%)。また、産業保健活動に特長的な取組みを行っていると思われる8事業場を選定し、企業を訪問して、産業医、衛生管理者等に対して質疑応答を行った。

本調査研究の実施にあたっては、櫻井治彦氏(中災防労働衛生調査分析センター技術顧問)を委員長とした委員会を設置し、都合5回の委員会を開催し、意見をいただきながら、検討を行った。

 

Ⅱ 本調査研究で明らかになった主な事項

アンケート調査において回答のあった707事業場の集計結果および8事業場に対するヒアリング調査結果から、事業場における産業保健活動の実態についてまとめるとア〜オのとおり。

なお、アンケートに回答のあった707事業場の労働者数は、10人未満が2.7%、10〜49人が26.5%、50〜299人が45.6%、300〜999人が15.7%、1,000人以上が7.2%、不明(無回答)が2.3%であった。また、事業場の業種の主な内訳は、製造業が62.7%、建設業が14.9%、商業等が4.1%、運輸交通・貨物取扱業が2.4%であった。

産業保健スタッフの体制
アンケートに回答のあった707事業場において、嘱託を含む何らかの産業保健スタッフがいるのは95.9%、どのスタッフもいないのは4.1%であった。
産業医がいる事業場は76.2%、保健師または看護師がいる事業場は29.7%で(表1)、後者は前者と比較して、嘱託でなく事業場に属する者の割合が高かった。衛生管理者または衛生推進者(「衛生管理者等」)がいる事業場は88.5%であった。いずれかの産業保健スタッフがいるとした678事業場のうち心理相談担当者がいる事業場は15.0%、運動指導担当者、産業栄養担当者がいるのはそれぞれ5%程度であった。
 
産業保健スタッフの活動頻度と満足度
アンケートで産業医の活動頻度を聞いたところ、産業医がいる539事業場において、活動頻度が1か月に1日程度以上である割合は66.9%であった(図1)。6か月に1回未満の活動頻度である割合も10.4%あり、ヒアリング調査でも、1年に1度も事業場に来ていない嘱託産業医が少なからずいるようであった。
保健師、看護師、衛生管理者等がいる事業場において「1週間に3日以上」の活動をしている保健師は50.0%、看護師は74.0%、衛生管理者等は24.8%であった。衛生管理者等は事業場に専属の者であるが、他の業務と兼務となっているため、産業保健に係る活動の頻度は必ずしも高くないと見られる。運動指導担当者等がいる事業場において「1か月に1日程度以上」の活動をしている運動指導担当者は31.4%、心理相談担当者は70.7%、産業栄養担当者は44.1%であった。
アンケートで、事業場からみた産業医の活動の満足度について聞いたところ、産業医がいる539事業場において、「非常に満足している」と「まあ満足している」の合計の割合が74.8%であった。
産業医の活動頻度と事業場の満足度の関係を見ると、産業医の活動頻度が高いほど事業場が満足している割合が大きく(図2)、「1か月超から1年に1日程度」の活動では、「あまり満足していない」と「満足していない」を合わせて39.0%であった。
同様に他のスタッフに対する事業場からみた満足度をみると、保健師、看護師の活動に満足しているのは、それぞれ84.8%、84.0%、衛生管理者等は66.9%、運動指導担当者等は57.1%、心理相談担当者等は75.5%、産業栄養担当者等は67.6%であり、保健師、看護師の活動の満足度が高かった。活動頻度と活動の満足度についてみたところ、産業保健スタッフの活動に非常に満足している事業場での活動頻度は「1週間に3日以上」が多かった。
 
産業保健活動の現状と今後の取組み
アンケートで、事業場における産業保健活動の実施状況について聞いたところ、行っている割合が高かった活動は、(1)計画の企画・立案、(2)衛生委員会の調査審議、(3)職場巡視、(10)喫煙対策・快適職場づくり、(11)健康診断の実施で、7割程度以上であった(表2)。
一方、行っていると回答した割合が低かったのは、(9)衛生に係るリスクアセスメント、(14)生活習慣改善のための健康教育、(17)(18)メンタルヘルス教育・不調者対応、(20)新型インフルエンザ対策などで、4割程度以下であった。
産業保健活動の担当者については、(13)〜(15)については、他のスタッフに比し、産業医が主担当である割合が最も多く、その他の活動においては、全般的に衛生管理者等または労働衛生担当者が主担当である割合が最も多かった。保健師・看護師がいる事業場においては(13)、(14)について保健師・看護師が主担当である割合が高く、心理相談担当者等がいる事業場では(17)(18)について心理相談担当者等が担当している割合が高かった。今後新たに、または強化して取り組んでいきたいと考えている産業保健活動は、(9)、(13)、(14)、(17)、(18)、(20)、であった。
また、今後強化(今後主担当または関与)したい活動の担当者としては、産業医に対して、(1)〜(4)、(6)、(13)〜(15)、(17)、(18)、(20)などの多くの項目で割合が高く、事業場は多くの産業保健活動において、今後は産業医に、より大きな関与を望んでいる傾向がみられた。
他に、(13)、(14)、(17)、(18)等について今後強化したい活動の担当者として、保健師、看護師、運動指導担当者、心理相談担当者などの専門職の割合が高かった。
活動好事例としては、次のようなものがあった。
  • 健康診断後、有所見者に対して「医療機関受診状況確認書」を渡して受診を促す。これによって、二次健診の受診率を上げることができ、産業医が次に働きかける労働者の優先順位をつけやすくなった。
  • 生活習慣病対策およびメタボリックシンドローム対策として、面談を行った後、適切な運動をしてもらい、その記録を数カ月ごとに振り返るよう保健指導している。
  • 企業グループ独自のメンタルヘルス対応ガイドラインを作成し、メンタルヘルス教育とメンタルヘルス支援を実施している。
  • 中高年齢者の転倒防止のために、労働者の体力面での転倒災害要因について分析した上で、オリジナル体操を考案して実施し、効果をあげている。
 
産業保健活動を行う上での問題点
アンケートで産業保健活動を行う上での問題点の有無を尋ねたところ、707事業場のうち、問題点があると回答した事業場が53.2%あった。
問題点があると回答した376事業場に、問題点を解決するためにどのようなことが必要であるか複数回答で尋ねたところ、労働者の意識を高めることが52.7%で最も高く、労働者が衛生教育や指導等を受ける時間の確保が47.6%、管理監督者が衛生教育や指導等を受ける時間の確保が39.9%と続いた。トップの理解は15.7%であった。
 
外部支援のニーズ
アンケートで、産業保健活動を実施する上で受けている外部支援の機関を複数回答で尋ねたところ、健康診断機関(企業外労働衛生機関)が最も多く45.7%で、中災防、労働基準協会、医療機関、親会社が続いていた。労働者50人未満の小規模事業場のうち、地域産業保健センターの支援を受けているのは17.5%であった。
外部からの支援で必要なものを複数回答で尋ねたところ、生活習慣・ストレス等のセルフチェックの実施およびその結果を活用しての健康づくりへのアドバイス、健康づくり社内研修会の開催、メンタルヘルスに関する社内研修会、メンタルヘルスカウンセリングなどで2割を越えていた(図3)。
また、産業保健活動に関する情報をどこから得ているか複数回答で尋ねたところ、「中災防」が最も多く69.3%であった。労働者50人未満の小規模事業場のうち、地域産業保健センターから情報を得ているのは31.6%であった。
ヒアリング調査においては、産業保健関連の学会等を通じて日ごろの産業保健活動の意識向上に役立てている例があった。

報告書では、以上の調査結果を踏まえて、事業場における産業保健活動の活性化のための方策について示している。

表1 産業医、保健師、看護師の有無(N=707)

表1 産業医、保健師、看護師の有無(N=707)
保健師又は看護師
産業医
いる いない 合計
いる 常勤産業医 94
(13.3)
63
(8.9)
157
(22.2)
539
(76.2)
嘱託産業医 114
(16.1)
268
(37.9)
382
(54.0)
いない 2
(0.3)
166
(23.5)
168
(23.8)
210
(29.7)
497
(70.3)
707
(100)

図1 産業医の活動頻度の割合(N=539)
図1 産業医の活動頻度の割合(N=539)

図2 産業医の活動頻度と活動の満足度
図2 産業医の活動頻度と活動の満足度

表2 産業保健活動の実施状況(N=707)

産業保健業務・活動 行っている(%)
(1)安全衛生計画・健康管理計画の企画・立案 71.9
(2)衛生委員会の調査審議 70.2
(3)職場巡視 77.8
(4)健康障害が発生した場合の原因の調査、再発防止策 61.1
(5)救急処置 59.0
(6)職業性疾病等の予防教育の実施 42.9
(7)作業の評価及び改善 61.7
(8)作業環境の評価及び維持・改善 66.9
(9)労働衛生・健康管理のリスクアセスメント・OSHMS 38.8
(10)喫煙(分煙)対策などの快適職場づくりの推進 69.6
(11)健康診断の実施 99.2
(12)健診の結果に基づく就業上の措置 64.4
(13)健康診断の結果、必要がある者に対する保健指導 64.6
(14)健康保持増進等のための健康教育、栄養管理、健康相談 41.6
(15)過重労働による健康障害防止に関する面接指導 50.6
(16)過重労働による健康障害防止のため必要な措置 43.3
(17)メンタルヘルス教育の実施 36.6
(18)メンタルヘルス不調者が出た場合の対応 40.3
(19)心身の疾患での休業者の職場復帰の支援 45.3
(20)事業者・職場における新型インフルエンザ対策の検討 32.0
(21) その他労働者の健康に関する危機管理対策の検討 29.0

図3 産業保健活動の外部支援で必要なもの(複数回答)(N=707)
図3 産業保健活動の外部支援で必要なもの(複数回答)(N=707)

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