調査・研究
調査研究概要
働く人に安全で安心な店舗・施設づくり推進運動の先進的な取組事例集
-小売業・社会福祉施設・飲食店の労働災害の減少に向けて-
1 作成目的
第三次産業における労働災害の占める割合が年々増加(図参照)してきており、厚生労働省と中央労働災害防止協会では、小売業、社会福祉施設、飲食店における労働災害の減少を図るため、2017 年から、「働く人に安全で安心な店舗・施設づくり推進運動」を展開しています。
このような中で、本事例集は、小売業、社会福祉施設、飲食店の労働災害の防止対策について、先進的な取組みを行っている8企業の事例を収集して取りまとめ、さまざまな業種・業態の企業で参考にしてもらうために作成したものです。
図 3業種の労働災害発生件数の推移
(資料出所)「労働者死傷病報告(厚生労働省)」
2 本事例集において取り上げている先進企業の取組事例
- 事例1
- 純粋持株会社において、総括産業医を設置するなどのグループ全体の統括安全衛生管理体制を整備して、安全マニュアル、職場巡視チェックリスト、メンタルヘルス不調者の職場復帰マニュアル等を提供すること等により、グループ各社に対する安全衛生活動の支援を行っている事例(イオン株式会社)。
- 事例2
- 作業効率の改善や生産性の向上を目指す「カイゼン活動」の一環として、危険な作業は、非効率で無駄な作業であるとの考え方の下に、本社主導で、4S(整理、整頓、清掃、清潔)、転倒防止、高所での商品保管の禁止、両手腰高作業の推進等の安全・安心の確保のための取組みを行っている事例(株式会社イズミ)。
- 事例3
- 「お客様に喜ばれる売り場を創る」ことを目指す「改善活動」の基本・基盤として、2S(整理、整頓)を推進しており、本社が定めた①2Sの基本ルールである「基準書」、②年間の「2Sスケジュール」、③「チェックリスト」等に基づき、店舗において整理・整頓された状態の維持に努めている事例(ユニー株式会社)。
- 事例4
- パート・アルバイト従業員に対する動画を活用した安全教育、移動させる際にも倒れない安全カゴ車の導入等を行うとともに、毎月の労働災害の発生状況と再発防止に向けてのポイント等を盛り込んだ「安全衛生委員会通信」を全店舗に配布して日常的な安全衛生管理の徹底を図っている事例(株式会社ニトリ)。
- 事例5
- 「次世代型介護」への取組みとして、①介護リフトの積極的活用、②見守りシステム、タブレット端末・インカムの導入等のICTを活用した取組みを行っており、介護職員については、腰痛の軽減や労働時間の削減などの成果を上げているとともに、入居者については、転倒回数の減少や迅速かつ正確な情報提供により一命を取りとめたケースも見られる事例(オリックス・リビング株式会社)。
- 事例6
- ノーリフトケアの導入により、介護職員の腰痛予防のみならず、利用者の過剰な筋緊張の改善などの介護サービスの質の向上という面でも効果を上げており、利用者のための「拘縮ゼロ宣言」を行っている事例(社会福祉法人帝塚山福祉会)。
- 事例7
- 高年齢の職員でも働くことができる介護環境を作るために、ノーリフトケアを導入するとの考え方に基づき、モデル施設での導入の成果を踏まえて、法人の全介護施設での導入に向けて、ノーリフト研修を積極的に実施している事例(社会福祉法人伸こう福祉会)。
- 事例8
- パスタを茹でる際に火傷につながる可能性のあるボイル機を廃止してパスタスチーマーを導入することによる火傷防止対策、野菜スライサー機を廃止してカット済み野菜を活用することによる切傷防止対策等を実施している事例(株式会社セブン&アイ・フードシステム)。
全文(1~16ページ)(PDF 1,439KB)
全文(17~32ページ)(PDF 4,457KB)
全文(33~68ページ)(PDF 3,322KB)
全文(69~102ページ)(PDF 4,938KB)
お問合せ
中央労働災害防止協会(中災防)
教育推進部 業務課
TEL 03-3452-6389
FAX 03-3453-3449
E-mail: kyoiku@jisha.or.jp