教育、セミナー・研修会

健康づくり・からだの安全

2022年度 「心とからだの健康づくり指導者等のための実務向上研修」研修内容

実務向上研修Aコース(新規)

【講義】『身体を守る免疫の話 ~ストレス下での感染対策~』

<講師>順天堂大学大学院医学研究科 研究基盤センター 細胞機能研究室 准教授竹田 和由(たけだ かずよし)

長寿社会となり健康寿命の大切さが語られ始めてから、病気を防ぐ免疫が注目されるようになりました。加えて、2020年初頭からの新型コロナウイルス(COVID-19)の感染拡大により、免疫の重要性が語られる機会はさらに増えています。免疫は色々な因子により影響されますが、世の中に広まっている誤解を解消しつつ、感染防御に役立つ日常での免疫活性化法について解説します。

【講義・演習】『職場ではぐくむレジリエンス:測定、理論、実践』

<講師>レジリエ研究所株式会社 代表取締役市川 佳居(いちかわ かおる)
 レジリエ研究所株式会社 主任研究員宮澤 有里(みやざわ ゆり)

レジリエンスとは、うまく適応する能力のことです。「回復力」、「しなやかな強さ」ともいわれ、仕事を円滑に進めるうえで必要な力として注目されています。職場でこの力を育むにはどうしたらいいのか、どのように活用すればいいのかなどを、本研修では学びます。レジリエンス力の測定方法、レジリエンスの6つの要素、レジリエンス力を向上する具体的な方法について、職場での応用例を参考にしながら、グループワークを用いて学びます。

実務向上研修Bコース(2021年度より継続)

【講義】『労働者のストレス対処とポジティブ・メンタルヘルス』

<講師>桜美林大学リベラルアーツ学群 領域長 教授種市康太郎(たねいち こうたろう)

労働者のメンタルヘルス不調の予防には、組織の職場環境改善と個人のストレス対処の両面の対策が重要です。また、不調の予防だけでなく、生き生きとした職場や個人を支援するためには、ワーク・エンゲイジメントなどのポジティブ・メンタルヘルスに焦点を当てた支援も必要です。この講義ではストレス心理学の観点から労働者個人に焦点を当てて、ストレス対処とポジティブ・メンタルヘルスを「身につける」「伝える」ための方法を説明します。途中で簡単な個人ワークを交えて、体験的に学習してもらいます。

【講義・演習】『行動経済学とナッジの健康づくりへの応用:理論と実践』

<講師>帝京大学大学院公衆衛生学研究科 教授・研究科長福田 吉治(ふくだ よしはる)
 帝京大学大学院公衆衛生学研究科 非常勤講師杉本 九実 (すぎもと くみ)

近年、人々を無意識のうちに望ましい行動に導く「行動経済学」および「ナッジ」がさまざまな分野で注目され、それらの健康づくりへの応用が期待されています。本研修会では、行動経済学とナッジの基本的理論・考え方とその応用について解説し、さらに、グループワークにて、職域等における具体的な応用事例を検討・立案します。

実務向上研修Cコース(午前科目は2021年度より継続、午後科目は新規)

【講義】『高齢期の健康維持・増進のために』

<講師>桜美林大学大学院 老年学総合研究所 所長 大学院教授鈴木 隆雄(すずき たかお)

日本の高齢者はこの30年で健康状態の著しい改善がなされ、生活機能も高くなってきました。高齢者、特に前期高齢者の就労も含め社会資源としても期待されています。一方で、生活習慣病予防の意義の変容や、後期高齢者を中心としてフレイルや認知症などの頻度が急増している現実があります。今後必要となる科学的根拠に基づく有効な予防対策について解説します。

【講義・演習】『テレワーク時代の上司のコミュニケーション』

<講師>株式会社FeelWorks 代表取締役前川 孝雄(まえかわ たかお)

新型コロナウィルス感染拡大は、意図しない形でテレワークを浸透させることになりました。コロナ禍終息後も働き方が元通りに戻ることは考えにくく、企業側も従業員側も、テレワークを前提とした働き方にシフトしていくことを考える必要があります。テレワーク下で、部下のマネジメントをする管理職は、考え方や行動をどう変えていけばよいのか。「上司力」提唱の第一人者である講師が、テレワーク下での上司のコミュニケーションのポイントについてひも解いていきます。

実務向上研修Dコース(新規)

【講義】『こころの応急処置:メンタルヘルス・ファーストエイドの職場での活用』

<講師>九州大学大学院医学研究院精神病態医学分野 准教授加藤 隆弘(かとう たかひろ)
 島根県立心と体の相談センター 所長小原 圭司(こばら けいじ)
 岩手医科大学医学部神経精神科学講座 教授大塚 耕太郎(おおつか こうたろう)

職場や家庭で身近な人が心の不調になることは珍しいことではありません。メンタルヘルス・ファーストエイド(MHFA)は、こうした状況でのこころの応急処置の方法を実践的に習得する教育研修プログラムです。2000年にオーストラリアで開発され、日本を含む様々な国に普及しつつあります。本研修では、MHFA-Japanのトレーナーが、職場におけるうつ病の予防と早期支援に関するMHFAのエッセンスを紹介し、実際にロールプレイでMHFAに基づく支援法を体験します。

【講義・演習】『人生100年時代を迎えて~若年層からのフレイル予防~』

<講師>立命館大学 スポーツ健康科学部 教授真田 樹義(さなだ きよし)

人生100年時代を迎えて、運動・身体活動の重要性がますます注目されています。フレイル予防のためには、筋量や筋力を維持するための運動・栄養に関する支援が有効となりますが、そもそも運動や身体組成は健康とどのようなかかわりがあるのか。地域の実例やこれまでの研究成果をもとにわかりやすく解説します。職域での健康づくり対策に活用していただけます。

実務向上研修Eコース(2021年より継続)

【講義】『改正THP指針に基づく効果的な健康保持増進対策の進め方』

<講師>産業医科大学 産業生態科学研究所 産業保健経営学研究室 教授森 晃爾(もり こうじ)

令和2年3月にTHP指針が改正され、令和2年4月1日から適用となりました。従来の指針では、健康測定結果に基づく健康指導の実施など定型的な健康保持増進措置内容が規定されていましたが、この度の改正では、事業場の特性に応じてPDCAの各段階で取り組むべき項目を明確にし、事業場が健康保持増進対策に取り組むための進め方を規定する指針に改められました。「THP指針の見直し検討委員会」の座長を務められた講師から、指針改正の経緯と意義及び改正指針のポイントを解説いただき、これからの産業保健活動において期待される健康づくり専門スタッフの役割を考察します。

【講義・演習】『職場の健康・スパイラルアップ!~自社の健康関連情報をフルに活かして~』

<講師>産業医科大学 産業生態科学研究所 産業保健経営学 特任助教小田上 公法(おだがみ きみのり)

改正THP指針では、各事業場がそれぞれの実情に応じた健康保持増進対策を主体的に計画し、実施することが求められています。この計画は、年中行事的なものではなく、職場の健康関連情報から現状を把握し、これを改善するための目標を定め、この達成に向けたPDCAサイクルを回して、職場の健康をスパイラルアップするための戦略的なものでなければなりません。この一連の取り組みについて実例による演習を行い、これからの働く人の健康づくりのスタンダードを学びます。