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交替制勤務(シフトワーク)

(資料出所:カナダ労働安全衛生センター(CCOHS)ホームページ(2002年8月))
http://www.ccohs.ca/headlines/text2.html

(仮訳:国際安全衛生センター)



この記事は、最初、カナダ労働安全衛生センター(CCOHS)の雑誌「Canadian Occupational Safety」 の問題相談コラムに掲載された。

質問:

労働者が許容出来る新しい交替制勤務のスケジュールをデザインするための推奨される手順はどのようなものか?

答え:

あなたは、見過ごされることの多いこの問題を質問することによって、重要な第一歩を踏み出した。「不規則な」シフト労働は労働者の自然な体のリズムを混乱させる。特に夜間の労働を含むものはそうである。充分に検討されていないシフトのスケジュールは、社会生活または家庭生活に影響を与えるばかりでなく、急性疲労、睡眠障害、胃腸の不調等の健康問題を起こすことがある。このことは、長期の欠勤や意欲の低下をもたらし、生産性に影響する。

交替制勤務は管理者と労働者の協力によってデザインされるべきである。そのプロセスは以下の通りである:

1. 会社の運営上の要求事項を分析する。

生産性、コスト、節約についての会社の期待は何か? シフトは固定かローテーションか?どのようにシフトでスタッフを配置するのか?コミュニケーションとメンテナンスをどのように処理するか?

2. 労働力を調査する

新しいスケジュールについて労働者から質問があるときは、答えを管理者から得る。労働者は交替制勤務の方針と手続について質問しているはずである。

労働者の好みを調査し、その実現可能性を検討する。労働者は、交替制勤務による負担から健康を守るために必要とする変化に気づかないかもしれない。例えば、12時間交替は割増賃金や長いオフという点で魅力を感じる労働者もいるが、労働者の健康に重大な影響を及ぼす可能性がある。

ある信頼できる研究により、以下に示すような、一般的に受け入れられている交替制勤務の方法が明らかにされている。交替制勤務の方針と手順を定める時には、これらのすべてを参照してみてほしい。

夜勤はなるべく減らす。夜勤が続けば続くほど、次のローテーションの前により多くの休息時間が必要となる。

ローテーションシフトが必要な時は、可能ならば、2または3日ごとにローテーションを組む。ローテーションの周期を短くすることは、ホルモンバランスの崩れを最小化し、疲労が慢性化することを防ぐ。

シフトは常に先へと変更する。シフトは午前から午後へ、さらに夜へと回す。逆にしない。

どのシフトであっても、常に、休息と活動の同じ順番を維持する。体を休め、仕事に備えられるよう、常に、次の勤務の直前で十分な睡眠がとれるようにする。

午前6時前に、シフトを開始しない。日の出の直前には体が最も低い活動状態にある。早い勤務は、より高い事故と誤りの率を示し、睡眠不足や仕事中の疲労の原因にもなる。

十分な休憩で、勤務中に疲労から回復するようにする。労働者は、10分から15分の休憩を与えられなければならない。仕事では、時々労働者が姿勢を変えたり、ストレッチをしたり、数秒間目を閉じたり、まわりを見回したりできるようにする。

できるだけ、スケジュールを簡単にし、予測できるようにする。スケジュール作成に先立ってスタッフによく知らせておく。

できる限り、フレキシブルにする。労働者個々のニーズと好みを考慮しておく。例えば、40才以上の労働者は、夜間勤務に順応しにくい。

仕事に従ってシフトをあつらえる。仕事が、極度の精神力を要する場合や、きつい肉体労働、または有害物への暴露をともなう場合には、より短いシフトと長い休憩時間を計画する。

労働者の安全と快適さを最大にするため、適切な設備を提供する。最低限、よい照明と換気と最低限の隔離されたスペース、そして、応急手当の設備を確保する。

3. 交替制勤務のスケジュールが確立されたら、試験的に実施する。労働負荷、ペース、手順、およびライフスタイルへの順応についてトレーニングをする。

4. 健康と安全を監視して新しいスケジュールを評価する。災害率や健康レベル、特に疲労の変化に注意を払う。


交替制には、完璧なスケジュールといったものはないが、労働者の満足と生産性とは関連し合うものであり、管理者と労働者が協力し合うことで、必ず双方にとって良い結果が生まれるだろう。