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労働災害統計について

資料出所:国際安全衛生センター海外調査より


労働災害の考え方は基本的に日本と同じである。1998年までは労働部の情報統計センターが労働災害データを取りまとめていたが、今回の改革で経済貿易委員会が所掌することになった。

災害は年度、月毎に集計しており、実際の集計作業は国家経済貿易委員会の傘下の安全科学技術研究センターの一部門である災害統計調査分析センターが行っている。

災害統計データは国家経済貿易委員会が管理しているが、データの検索が可能なシステムとなっている。統計データは、1996年までのものは法令により原則として非公開であるが、1997年からは対外開放政策により一般公開されている。なお、衛生関係の災害統計の取り扱いについては現在衛生部と協議中である。

「労働災害に関する報告に関しては、企業従業員死傷災害統計管理業務を強化する労働部の通知(1989.7.10)」、「企業従業員死傷災害報告と処理の規定(1991.3.1)」、[「企業従業員死傷災害統計報告表制度」関係事項に関する労働部弁公庁の通知(1992.10.26)]などの定めがあり、これらに基づいて、軽傷災害、重傷事故、死亡事故について企業が行政機関に報告することとなっているが、実際には死亡事故のみが報告されている。

災害の報告は、地方の行政機関から国家経済貿易委員会に報告されるもの(縦の報告、これが災害データの基礎となる)と、各部で把握した重大災害などが各産業担当部から報告されるもの(横の報告、参考データとして用いる)とがある。例えば、建設業関係の災害は、地方政府の建設庁からなされるものを建設部建築管理司安全処が業種統計としてまとめている。死亡災害は被災人数により、4段階に分けており、

(1)1級:死亡30人以上、
(2)2級:10人から29人、
(3)3級:3人から9人、
(4)4級:2人

という区分で、2級以上が重大災害という区分である。災害の報告に関する建設部と国家経済貿易委員会との関係も、建設部の安全処が業種別管理を行い、国家経済貿易委員会は総合的管理の見地から、建設部を指導・監督している。

統計に係る問題としては、労働部時代、災害統計に関する部局として、労働部の中に職業安全衛生・ボイラ圧力容器安全監察局(工場関係の災害)、鉱山安全監察局(鉱山関係の災害)、安全生産管理局(その他の産業の災害)があり、災害統計を所掌する統計処が置かれていたが、今回の改革で安全生産局に統合され、これが国家経済貿易委員会に移管された際に統計処が廃止となったことが挙げられる。

現在、統計関係は国家経済貿易委員会の安全生産局の総合処が担当しているものの、実際のとりまとめは同委員会の傘下の安全科学技術研究センターの一部門である災害統計調査分析センターが行っている。また、災害把握の問題点として、市場経済化が進展する中、各種の性格・規模の企業が次々に誕生し、郷鎮企業などの災害を必ずしも把握できていない状況がある。このような問題に加え、災害統計の根本的問題として、

(1)統計報告の根拠となる法律がないこと、
(2)地方の行政機関に災害を取りまとめて中央に報告を行う専門の組織が置かれていないこと、
(3)企業では災害報告そのものを重視していないこと

が挙げられる。