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中国の2000年における
鉱工業企業における従業員の死傷事故の低下

(資料出所:ILO-CLS中華人民共和国国家中心出版
「世界安全衛生信息」2001年2月号)


 国家安全生産監督管理局(国家炭鉱安全監察局)が最近発行した2000年の全国死傷事故状況通達によれば、我が国の鉱工業企業における従業員の死傷事故は前年に比べて僅かに低下したようである。具体的な統計は下記の通り。

各種死傷事故の状況

1、鉱工業企業で発生した従業員死傷事故は計10,770回で、死者は11,681人と、それぞれ18.77%および7.19%低下している。そのうち鉱山企業で発生した死傷事故が3,465回で死者が6,563人、それぞれ23.27%および14.82%下がっている(鉱山企業の中では、炭鉱企業で発生した死傷事故が2,863回、死者が5,798人となっており死者数は9.39%低下している)。鉱山企業以外で発生した死傷事故は7,305回で死者が5,118人と、それぞれ16.44%の低下と4.84%の上昇となっている。

2、火災の発生(森林、草原などの火災を含まない)は188,568回で、死者3,021人、負傷者4,404人、直接的な経済的損失は15.2億元である。火災の回数と損失は前年と基本的に大差ない。そのうち大型の火災事故が61回で死者が529人、負傷者191人、直接的な経済的損失が2億13.9万元であり、前年と比べると火災の回数および損失はそれぞれ28.2%および26.7%低下している。しかしながら死者の数は141.6%増、負傷者数は11.0%増である。

3、道路上での交通事故は616,974回発生しており、死者93,493人、負傷者418,721人で、直接的な経済的損失は26.69億元となっている。これは前年と比べてそれぞれ49.4%、11,9%、46.4%、25.7%の上昇である。

4、水上での事故は585回で死者および行方不明者が550人、沈没数は234隻、直接的な経済的損失は1億3596.31万元である。これはそれぞれ29.7%、28.5%、6.0%、45.8%の低下となっている。うち、一回の事故で10人以上が死亡した水上交通事故は7回あり、死者235人とそれぞれ41.67%および48.12%の低下である。

5、鉄道職員の死亡事故は60回で、死者は73人、それぞれ5.3%と27%の低下となっている。全路線で起こった列車の重大事故および大事故は19回で、24.0%下がっている。危険な事故は60回起こっており、5.3%増である。

路線外での死傷事故は13,324回発生し、死者は8,916人とそれぞれ53.9%および61.9%増加している。路線外での重大死傷事故は11回、死者53人で、前年の事故発生数と比べて31.2%減っているが死亡者数は51.42%増えた。

6、民間航空で発生した飛行機事故は5回で死者は52人、それぞれ16.67%および16.13%の低下である。飛行機事故の徴候が現れたのは93回あり、これは28回減った。

7、ボイラー、圧力容器、圧力パイプラインで発生した爆発もしくは深刻な設備の事故は178回で、死者120人である。これを1999年と比べると事故の回数は52.15%下がっているが死亡者数は0.8%上昇した。

重大死傷事故の状況

 2000年に全国で一度に10人以上死亡した重大死傷事故は122回起きており、死者は2,739人である。これは前年と比べ事故発生数は6.15%低下したが死亡者数は9.64%の上昇であった。そのうち一度に30人以上死亡した特に深刻な事故は14回起き、死者は1,123人とそれぞれ7.69%および48.35%上昇した。

 全国の鉱工業企業で一度に10人以上死亡した重大死傷事故は93回発生し、死者2,018人であり、前年と比べると事故発生数は5.10%低下したが死亡者数は25.18%上昇している。そのうち炭鉱企業で発生した重大死傷事故は75回で死者が1,389人、それぞれ9.33%と20.67%の増加であった。

傷事故の主な特徴

1、交通事故による死傷が最も深刻である。次が炭鉱事故となっている。

2、中小企業で発生した死傷事故が最も多い。特に郷鎮企業、私営および「三来一補(原料もしくは見本もしくは部品を外資側が持ち込んで中国側が加工し、外資側が加工費を支払って引き取る方法と補償貿易を指す)」企業の死傷事故が多い。例えば江西萍郷市上栗県私営花火工場では「3・11」火薬爆発事故により33人が死亡した。

3、ほとんどの事故は人災である。規則に反した指導や作業を行った、労働規律に違反したことなどが事故を招いた主な原因となっている。就業形式や雇用形式の多様化、労働力市場の形成などによって兼農労働者の死傷率が高くなっていて、一般に80%以上を占める。彼らは事故の被害者であるとともに、彼らの中に往々にして事故の直接的責任を負う者がいる。

4、資源などの利益の紛争によって起こる事故も明らかに増加している。小さな鉱業企業が境界を超えて採掘したり、違法に油やガスなどを盗むことによって頻繁に事故が発生している。加えて国有大中型企業の利益に大きな損害が出ている。

5、交通事故およびホテル、レストラン、レジャー施設などの公共の場所で発生する重大の悪性事故が比較的多く、社会への影響も大きい。例えば四川省瀘州市合江県榕山建築公司の「6・22」汽船沈没事故では130人が死亡している。武漢航空公司の「6・22」墜落事故では49人が死亡、河南省焦作市小天堂録像庁の「3・29」火災事故では74人が死亡、河南省洛陽市東都商厦の「12・25」火災事故では309人が死亡している。



訳注)「郷鎮企業」 --- 行政区域としての郷と鎮が経営する集団所有制の企業



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