この提案は第118 A条に基づくものであり、今日の職場にみられる数多くの危険な化学製品にさらされることから労働者をまもるための最低限の基準を設定することを目的としている。
提案の重要な特徴の一つはは、暴露許容限度を明示的で拘束力のある暴露許容限度数値として設定している一方で、拘束力のある生物学的許容限度としても設定していることである。それは、この段階で明示的な生物学的許容限度の設定はまだ早すぎることを考慮してのことである。
(訳注:この部分は念のため原文を添付します):A
key feature of the proposal is the setting
of exposure limits in the form, on the one
hand, of indicative and binding occupational
exposure limit values and, on the other hand,
of binding biological limit values. It was
considered that the introduction, at this
stage, of indicative biological limit values
would be premature.
欧州委員会は1997年7月16日、“Agenda 2000-For
a Stronger and Wider Union”(2000年の課題:より強力で広範なEUを目指して)を発表した。これはEUをより拡大するための鍵となる戦略書である。同時に発表されたAgenda
2000の第2卷“Reinforcing the preaccession
strategy”(今後の戦略を強化するために)では、特定の拡大事項について更に詳しく述べられており、それらの項目のなかには
安全衛生関連の事項が含まれている。
「内部市場」と「社会政策」観点から安全衛生は重要な役割を果たすであろう。「内部市場aquis(訳注:application of existing body of EU legislation and legal obligation, 既存のEU法規制や義務をacquisと称しているようである)」が十分に適用されないと『市場のゆがみ』が生じるだろう」とAgenda 2000は予測する。この点で幾つかの分野は「要注意」として記載されているが環境・安全衛生保護に対する要求事項もその一つである。職場の安全衛生もまた、 “Community aquis.” 分野の一つとして記述されている。「EU加盟国がCommunity aquisを管理できるかどうかが重要な要素となるだろう。」とAgenda 2000は述べている。同様に「Community aquisに適合させるプロセスとは、長期間を要しまた費用もかかり、重要な投資が必要である。」とも述べている。「Community aquisを採用するためには、加盟候補国はかなりの財政的、行政的な努力が必要であるが、、特に安全衛生部門においてしかりである。あまりにも時間がかかったり不適切に適合すると、aquisそのものの性質を傷つけ、内部市場の機能をゆがめることになる。」とも述べている。さらにAgenda 2000は、「Community aquisを様々な政策分野に採用する際に重大な問題が解決されないまま残されるならば、EU加盟後に内部市場全体の機能が低下することになるだろう。」と警告をしている。
欧州委員会は1997年7月23日、Communication
on the Social and Labour Market Dimension
of the Information Society “People First
- The Next Steps”(情報化社会の社会・労働市場的観点についての通信−人から次のステップへ)を発表した。その中で
欧州委員会は「もし、EUが新しい情報技術、通信技術が、新しい仕事を創り出すこと、繁栄、生活の質という点にもたらす恩恵を
フルに享受しようとするつもりなら、情報化社会のソーシャルな側面をもっと強化する必要がある。」と述べている。通信はまた、
労働安全衛生にとって重要である職業生活の最重要な面に言及し職場における近代的な組織のベースとして、企業の柔軟性と労働者
の安全との間の新しいバランスの概念を紹介した。欧州委員会はまた、次のような意見を持っている:加盟国は、在宅勤務のため
情報を利用する人が、職場で働く人と同じ安全衛生条件を受けられることを確実にするための手段を講じなければならない。
さらに通信は、情報及びコミュニケーションテクノロジーは、安全衛生政策のための手段として発展すると述べている。