EUにおける展開
■社会問題評議会 − 1998年4月7日
職場の安全衛生は、4月にルクセンブルクで開かれた社会問題評議会において3度特別議題となった。
イギリスは2回の評議会のうち第1回めの議長を務めた。
いくつかの議長国によって長年にわたり多くの活動がなされた結果、
今評議会において「化学物質指令」(Chemical Agents Directive) が採択された。
この指令は、職場で化学物質を使用したり化学物質に関係する仕事をした結果もたらされる安全衛生上の危険から労働者を保護
するための最低限の要求を確立している。指令がOfficial
Journalに発表された日から3年以内に、メンバー国はこの指令を各国の国内法に盛り込むことになっている。
評議会での第2の議論項目は労働者の石綿からの保護をさらに進める必要性についてであり、この評議会決議は全会一致で承認
された(OJ CI42, 1998年5月7日)。
決議は、仕事中に偶然に石綿にばくろされる建設労働者や保全労働者保護の基準を強化するための行動を起こすことを欧州委員会に
求めている。
第3に、Padraig Flynn雇用・社会問題欧州委員は評議会において、欧州委員会が「発ガン性物質に関する指令」
(Carcinogens Directive) (OJ CI23, 1998年4月22日)の第二回改正を求めているということを発表した。
イギリスは、議長国任期の後半期間中にこの要求に取り組む予定である。
■EUROSTATからの統計
Eurostatは1998年2月に災害統計についての最新のレポートを発表した。「EU内で1994年に発生した職場での災害」(Accidents
at Work in the European Union in 1994) は、Eurostatの中の、人口と社会状況に関するStatistics
in Focus レポートの中で発表されている。
この統計はEU内の雇用人口の90%を対象にしている。レポートによれば、1994年には4日以上(訳注:more than three days)の休業を必要とする災害が500万件近く発生した。平均22人中1人の労働者がこのような災害を負ったことになる。この数字は建設業、林業、金属業においては倍になっている。
1994年には6,423件の死亡災害が発生しており、16,000人中1人の割合になる。
この割合は、建設業、農業、運輸、通信業では7,000人中1人になる。
こうした統計には第三者によって引き起こされた災害、勤務時間中の道路での交通事故、急性中毒は含まれるが、通勤途上に発生
した事故や職業性疾病は含まれていない。レポートに付いている「方法論についての注釈」ではデーターの集め方や術語の違いが
説明されている。レポートはEurostatで入手可能である。
- 希望者は以下に連絡をすること:
- D.Dupre, Eurostat, L-2920 Luxembourg,
- Tel:+352 4301 35034,
- Fax: + 352 4301 35399
■EUの1998年重要日程
- 6月11−12日:イギリスと欧州委員会の共催によるEU内の安全衛生責任者のためのセミナー(ルクセンブルク)
- 10月13−16日:アメリカ/EU安全衛生会議(欧州委員会)
- 11月5−6日:職場の安全・衛生・健康保護に関する諮問委員会(欧州委員会)
- 11月11−12日:上級労働監督官委員会(SLIC)(欧州委員会)
注意:特記のないすべてのミーティング、会議、セミナーは招待による。
■DG V/F ホームページ
労働安全衛生を担当する欧州委員会の理事会、DG
V/F は現在インターネット上にホームページを開設している。アドレスは
http://europa.eu.int/en/comm/dg05/hs/mainhs.htm.
このホームページには直接アクセスすることもできるし、欧州安全衛生機構のホームページ上でDG
Vのホームページ(Section “Legislation and
Standards”) を見ることもできる。
この“Europe”
サーバーの新しいセクションでは理事会による安全衛生活動の概要と、SAFEプログラム
(Safety Actions for Europe Program)、EUの安全衛生委員会、重要人物、発行物の説明を見ることができる。
それらの中で興味深いセクションは「国内対策」(National
measures) の概要で、そこではヨーロッパの安全衛生法制がそれぞれの国内法の中でどのようにとりこまれているかということが
示されている。ホームページ上での表をここに再掲する。
■欧州議会がRSIについての聴聞をおこなう
1998年3月19日、Stephen Hughes氏が議長を務め、欧州議会の雇用・社会問題委員会は反復的負荷傷害について専門家の意見を聞いた。すべての専門家が、ヨーロッパ全体で職場における反復的負荷傷害に取り組む必要があるということに同意し、反復的負荷傷害に関する具体的な法律作りを要求した。Stephen
Hughes議長は会議の終わりに、「雇用・社会問題委員会は安全衛生分野における今後の活動のなかで、専門家によるこのアドバイスに
ついてのフォローアップを行う」と述べた。
- 詳しくは:
- Committee on Employment and Social Affairs, Euorpen
- Parliament Rue Wietz B- 1047 Brussels, Belgium
■第3回ヨーロッパフィルム&マルティメディアフェスティバル
1998年5月6−8日、欧州委員会とイギリスの共催による第三回ヨーロッパフィルム&マルティメディアフェスティバルが行われた。
フェスティバル開催の目的は、安全衛生に関するコミュニケーションが重要であるという意識を高めること、
高品質の製品と新しいアイデアを宣伝すること、そしてアイデアと情報交換を行うためのフォーラムを開くことであった。
情報専門家、フィルム・マルティメディア制作者らは、フェスティバルに参加した1,000人以上の安全衛生専門家−安全管理者、
安全責任者、コンサルタント、労働看護師および医師、訓練者、教師およびインストラクター、人材管理者、政策決定者に彼らの
製品についての説明を行った。
フェスティバルにはヨーロッパ全土から146ビデオ作品と37マルティメディア作品が出品されたが、
最優秀賞は「チャンスは一度しかない」(No Second Chance) と題された農業上の安全に関するHSEのビデオ作品に与えられた。
フェスティバルでは、欧州安全衛生機構のHans-Horst Konkolewsky局長が「情報社会とマルティメディアに関するヨーロッパの
政策」というワークショップで発表を行い、参加者には機構についての情報資料を提供した。
- 詳しくは:
- Claire Swift, HSE
- Tel: +44 151 951 3185
- Fax: +44 151 951 4913
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