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資料EU機械指令付属書 I
機械類の設計と製造に関する必須健康安全要求事項

仮訳<機械指令 (9.6.2006) Annex T: Essential health and safety requirements relating to the design and construction of machinery >
(資料作成 国際安全衛生センター)

掲載日:2008.02.15

3.機械類の移動による特定危険を軽減するための補足的な必須健康安全要求事項(SUPPLEMENTARY ESSENTIAL HEALTH AND SAFETY REQUIREMENTS TO OFFSET HAZARDS DUE TO THE MOBILITY OF MACHINERY)

移動による危険源を有する機械類は、本章に記述されているすべての必須健康安全要求事項を満たさなければならない(一般原則の4事項を参照せよ)。

3.1  一般(GENERAL)

3.1.1 定義(Definitions)
  • (a)「移動による危険源を有する機械類(Machinery presenting hazards due to its mobility)」とは、以下をいう。
    • −作業中の移動または固定作業位置から次の固定作業位置までの間での連続的・半連続的な移動を必要とする機械類、または、
    • −操作時に移動することはないが、ある場所から他の場所への移動ができやすいような装備を有する機械類
  • (b)「運転者(Driver)」とは、機械の移動に対して責任ある操作者をいう。運転者は、機械類によって運ばれる場合、歩いて機械類に追従する場合、機械類を遠隔操作する場合がある。

3.2 作業位置(WORK POSITIONS)

3.2.1 運転位置(Driving position)

運転位置からの視界は、運転者が自身及び露座者の安全を完全に確保しながら、機械類および工具を予見する使用条件で操作できるようにしなければならない。必要な場合、適切な装置を不十分な直接視界を改善するために備えなければならない。

運転者が搭乗する機械類は、運転位置の運転者が車輪または起動に誤って接触するリスクがないように、設計・製作されなければならない。

搭乗運転者の運転位置は、それがリスクを増加させることなく余地があれば運転室(drivers cab)を設けるよう設計・製造しなければならない。その運転室は、運転者に必要な取扱説明書の収納場所を設けなければならない。

3.2.2 運転席(Seating)

特に項目3.4.3または3.4.4で規定される防護構造を備える機械類のように、機械類が転倒した場合に機械類によって運ばれる操作者及び他の人員が、その機械類の部品と大地との間で押しつぶされるリスクがある場合には、運転席は、操作に必要な動き又は構造に関係する動きをシートベルトによって阻害することがなく人を運転席に保持するように設計するか、拘束システム(restraint systems)を備えなければならない。このような拘束システムは、リスクを増大させる場合には備える必要はない。

3.2.3 他の人員の位置(Positions for other persons)

使用条件が、運転者以外の人員が、時々または定期的に機械類によって運ばれ、又は機械類に搭乗し作業する場合には、リスクを伴うことなく輸送または搭乗作業を可能とする適切な作業位置を設けなければならない。

項目3.2.1の第2及び第3パラグラフは、運転者以外の人員に設けられる場所にも適用する。

3.3 制御システム(CONTROL SYSTEMS)

必要な場合、認められていない制御装置の使用を防止するために、階段が設置されなければならない。

遠隔制御の場合には、各制御ユニットはその制御ユニットにより制御される機械類を明確に識別できなければならない。

遠隔制御システムは、次に対して単独に作用するように設計・製造されなければならない:

  • −対象の機械類に対し、
  • −対象の機能に対し。

遠隔制御される機械類は、意図された制御ニットからの信号に対してのみ応答するように設計・製造されなければならない。

3.3.1 制御装置(Control devices)

運転者は、運転場所以外の場所に設置された制御装置を使用することによってのみ安全に操作できる機械類を除いて、運転者は、機械類を操作するために必要なすべての制御装置を運転位置から操作できなければならない。

ペダルを設置する場合、ペダルは誤った操作によるリスクを最小化して、運転者による安全な運転を図るように設計・製造され、取り付けられなければならない。ペダルは、滑りにくい表面を有し、清掃が容易でなければならない。

機械類の操作が、危険源を、特に危険な動きを生ずる場合、プリセット位置を有する制御装置を除き、制御装置は操作者が手を放したら直ちに中立位置に戻らなければならない。

車輪の付いた機械類の場合、操縦システムは、ガイド車輪に対する衝撃によって操縦輪または操縦レバーが急激な運動をする力を減少するように設計・製作されなければならない。

差動機構をロックする制御装置は、機械類が動いている時は差動機構のロックが外れるようにしなければならない。

音響的および/または視覚的警告信号について、項目1.2.2の第6パラグラフは、逆の状態の場合にのみ適用する。

3.3.2 起動/運動(Starting/moving)

運転者が搭乗する自走式機械類のすべての走行動作は、運転者が制御装置の位置に居る場合のみ可能とならなければならない。

操作目的のため、機械が正常な余裕領域(clearance zone)を超える装置(例えば、スタビライザー、ジブなど)を装備する場合は、運転者が、そのような装置が安全な運動ができる特定の位置にあるか、機械類を動かす前に、容易に点検できる手段を備えなければならない。

これは、安全な動きをするために特定の位置にあり、必要な場合にはロックされるすべての他の部品にも適用する。

その他のリスクを与えない場合には、機械類の運動は前述部分の安全な位置決めに依存しなければならない。

エンジンが起動中に機械類の不意の運動が起きてはならない。

3.3.3 走行機能(Travellingfunction)

自走式機械類およびトレーラは、道路交通規則に反することなく、許されるすべての操作・負荷・速度・大地・傾斜状態での安全を確保するために、徐行・停止・制動・固定に関する要求事項を満たさなければならない。

運転者は、自走式機械類を主装置によって徐行・停止させることができなければならない。主装置が故障したときまたは主装置を駆動するエネルギー供給が止まったときに安全上必要である場合には、完全に独立し容易に接近できる制御装置を有する非常装置が徐行・停止するために備えられなければならない。

安全上必要である場合、パーキング装置を備え静止中の機械類を固定できなければならない。この装置は、第2パラグラフに規定される装置の一つと組み合わせることができる。

遠隔制御機械類は、次のような状態の場合に、自動的にかつ直ちに運転停止するため、また危険な運転を防止するための装置を具備しなければならない:

  • −運転者が制御不能になった場合、
  • −停止信号を受信した場合、
  • −そのシステムの安全関連部において不具合を検出した場合、
  • −既定の時間内に確認信号が検出されない場合。

項目1.2.4は、走行機能には適用しない。

3.3.4 歩行者が制御する機械類の運動(Movement of pedestrian-controlled machinery)

歩行者が制御する機械類の運動は、運転者が対象の制御装置を操作し続けることによってのみ可能となるものでなければならない。特に、エンジンの起動時に動くことがあってはならない。

歩行者が制御する機械類の制御システムは、機械が運転者に向かって不意に運動することによるリスクを最小化するように設計されなければならない。特に、次の危険である:

  • −押しつぶし
  • −回転工具による傷害

機械類の走行速度は、運転者の徒歩ペースに一致させなければならない。

回転工具を具備する機械類の場合は、逆転制御をしたときに工具が作動してはならない。ただし、機械類の逆転運動が工具の運動の結果起こる場合は除く。後者の場合、逆転速度は運転者に危険な速度であってはならない。

3.3.4 制御回路の故障(Control circuit failure)

パワーステアリングを備えておりその動力供給が故障した場合、機械類が停止するのに要する時間、操舵不能になってはならない。

3.4  機械的危険源に対する防護(PROTECTION AGAINST MECHANICAL HAZARDS)

3.4.1 制御できない運動(Uncontrolled movements)

機械類は、移動支持機構に適切に設置した状態で機械が動いた場合、制御できない重心の振動が安定性に影響しないように、またはその構造に過度な負荷を与えないように設計・製造されなければならない。

3.4.2 運動伝達部品(Moving transmission parts)

項目1.3.8.1の例外として、エンジンの場合、エンジン要素の動く部品への近接を防止するための可動式ガードは、工具またはキーの使用によって開けるか、または運転位置に設置された制御装置によって開けるかのどちらかの場合には、インターロック装置を具備する必要がない。後者の場合は、その運転位置が無許可の接近を防止するためのロック付きの完全閉鎖運転室内に設置されていること。

3.4.3転倒及び転がり(Roll-over and tip-over)

操作者または他の人員などの搭乗者がある自走式機械類で転倒や転がりのリスクがある場合には、機械類はリスクを増大させることのない適切な防護構造を装備しなければならない。

この構造は、転倒または転がりが発生した場合に、搭乗者に十分なたわみ限度容積を与えなければならない。

構造が第2パラグラフに規定する要求事項に適合することを検証するために、製造者またはその代表者は、当該構造の各タイプに対し、適切な試験を実施しまたは実施させなければならない。

3.4.4 落下物(Falling objects)

操作者または他の人員などの搭乗者がある自走式機械類で落下する物体や材料によるリスクがある場合には、機械類はこのリスクを考慮して設計・製造しなければならない。また、機械の大きさが許すならば、適切な防護構造を装備しなければならない。

この構造は、落下する物体や材料が発生した場合に、搭乗者に十分なたわみ限度容積(adequate deflection-limiting volume)を与えなければならない。

構造が第2パラグラフに規定する要求事項に適合することを検証するために、製造者またその代表者は、当該構造の各タイプに対し、適切な試験を実施しまたは実施させなければならない。

3.4.5 近接の手段(Means of access)

手すりおよび踏み台は、操作者がそれらを本能的に使用できるようにして、制御装置を近接の手段として使用しないように、設計・製造し、配置しなければならない。

3.4.6 牽引装置(Towing devices)

牽引するためまたは牽引されるための機械類は、使用中に偶発的に外れないように、連結や開放が容易・安全にできる方法で設計・製造・配置された牽引・連結装置を装備しなければならない。

牽引棒の負荷がそのように要求する場合には、そのような機械類は負荷と地面に適した座面を有する支持具を備えなければならない。

3.4.7 自走式機械類(または牽引機)と牽引される機械類との間の動力伝達(Transmission of power between self-propelled machinery (or tractor) and recipient machinery)

自走式機械類(または牽引機)を牽引される機械類に保持する第一番目の連結をするための取り外し可能な機械的伝達装置は、操作中に運動するすべての部品がその全長にわたって防護されるような方法で設計・製造されなければならない。

自走式機械類(または牽引機)の側においては、設置されている取り外し可能な機械的伝達装置への動力取り出しは、固定されて自走式機械類(または牽引機)に結合されたガードによるか、または同等の防護装置によってかのいずれかによって防護されなければならない。

このガードは、取り外し可能な機械的伝達装置へ近接するために開けなければならない。このガードが設置される場合は、機械類(または牽引機)が作動しているときに伝動軸がそのガードに損傷を与えないように十分な余裕空間を確保しなければならない。

牽引される機械類の側においては、入力軸は機械類に固定した防護ケースに収納されなければならない。

トルクリミッター又はフリーホイールは、駆動される機械類に隣接する側だけの自在継ぎ手の伝動部に装備してもよい。取り外し可能な機械的伝動装置は、そのように表示されなければならない。

操作上、自走式機械類(または牽引機)に連結される取り外し可能な機械的伝達装置を必要とするすべての牽引される機械類は、機械類が連結していない場合に、取り外し可能な機械的伝達装置およびそのガードが地面や機械類の部品に接触して損傷しないように、取り外し可能な機械的伝達装置を取り付けるためのシステムを備えなければならない。

ガードの外側の部品は、取り外し可能な機械的伝達装置と一緒に回転できないように、設計・製造・配置されなければならない。そのガードは、簡易自在継ぎ手の場合は内側あご部まで、“広角(wide-angle)” 自在継ぎ手の場合は外側結合部の少なくとも中心部まで、伝動軸を防護できなければならない。

作業位置への近接の手段が、取り外し可能な機械的伝達装置へ近接するために備えられている場合は、軸ガードが踏み台として使用できないように設計・製造されなければならない。ただし、設計・製造がその目的にかなっている場合を除く。

3.5  その他の危険源に対する防護(PROTECTION AGAINST OTHER HAZARDS)

3.5.1 電池(Batteries)

電池格納部は、転倒または転がりが発生した場合に操作者の上に電解液がかからないように、また、操作者の居る場所に蒸気が溜まらないように設計・製造されなければならない。

機械類は、容易に接近できる備えられた専用器具によって電池が接続を外せるように設計・製造されなければならない。

3.5.2 火災(Fire)

製造者が予想する危険源に応じて、大きさが許せば機械類は次を満たさなければならない。

  • −装備される消火器に容易に接近できること、または
  • −内蔵の消火システムを備えること。
3.5.3 危険物質の放出(Emissions of hazardous substances)

機械類の主たる機能が製品の噴霧である場合は、項目1.5.13の第2及び第3パラグラフは適用しない。しかしながら、操作者はそのような危険物質への暴露のリスクに対して防護されなければならない。

3.6  情報及び表示(INFORMATION AND INDICATIONS)

3.6.1 標識、信号及び警告(Signs, signals and warning)

すべての機械類は、人員の健康及び安全を確保するために、使用・調整および必要なら保守に関する標識および/または取扱い指示板を備えなければならない。これらは、明確に見えて認識できるように選択・設計・製造されなければならない。

道路交通規則の規定に反することなく、運転者が搭乗する機械類は、次の機器を備えなければならない:

  • −人に警告するための音響警報装置、
  • −意図する使用条件に関する光信号システム;後者の要求事項は、地下作業専用で電源を有しない機械類には適用しない。
  • −必要に応じて、牽引される機械類と機械類との間の信号の操作のために適切な接続がなされなければならない。

遠隔制御機械類であって、正常使用時に人を衝撃・押し潰しのリスクにさらすものは、機械の運動を知らせる適切な手段を備えるか、又はそのようなリスクに対して人を防護するための手段を装備しなければならない。同じことが、単一軸上で前進・後退を常に繰り返す機械類で使用中に機械類の後方が運転者から直接見えない場合に適用される。

機械類は、警告および信号装置が偶発的に機能不全にならないように製造されなければならない。安全上重要な場合には、そのような装置は作動が良好であることを点検する手段を備えなければならない。また、それらの不具合が操作者に分かるようにしなければならない。

機械類またはその工具の運動が特に危険な場合には、作動中に機械の接近を警告するために、機械類上の標識が備えられなければならない;その標識は、周辺にいる人の安全を確保するために、離れた所からも読めなければならない。

3.6.2 マーキング(Marking)

次の事項は、すべての機械類上に明確に見えて消えにくく表示しなければならない:

  • −キロワット表示での公称出力(kW)、
  • −キログラム表示での最もよく使用する構成での質量(kg);

また、該当する場合:

  • −ニュートン表示での連結フックにおける牽引棒の最大引張力(N)
  • −ニュートン表示での連結フックにおける最大の垂直荷重(N)
3.6.3 取扱説明書(Instructions)
3.6.3.1振動(Vibrations)

取扱説明書は、機械類から手支持システム(hand-arm system)または全身へ伝達される振動に関する次の情報を与えなければならない:

  • −手支持システムが受ける振動総合値が2.5m/s2を超える場合はその値。この値が2.5m/s2を超えない場合はその旨を記載しなければならない。
  • −全身がうける重力加速度の最高の二乗平均値が0.5m/s2を超える場合はその値。この値が0.5m/s2を超えない場合はその旨を記載しなければならない。
  • −測定の不確定性。

これらの値は、対象の機械類について実際に測定されたものか、または、製造された機械類を代表する技術的に同等な機械類についての基本的な測定によって確立されたものでなければならない。

整合規格が適用されない場合、振動のデータは、その機械類に関する最も近似する測定規則を使用して測定されたものでなければならない。

測定中の運転条件および測定に用いた測定規則が、明示されなければならない。

3.6.3.2複数の用途(Multiple uses)

使用される機器に応じて複数の用途が許される機械類の取扱説明書および交換可能機器の取扱説明書は、基本の機械類と取付けられる交換可能機器の安全な組立て及び使用のために必要な情報を含まなければならない。

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