6.人の持ち上げによる特別な危険源を伴う機械類に関する補足的な必須健康安全要求事項(SUPPLEMENTARY ESSENTIAL HEALTH AND SAFETY REQUIREMENTS FOR MACHINERY PRESENTING PARTICULAR HAZARDS DUE TO THE LIFTING OF PERSONS)
人の持ち上げによる危険源を伴う機械類は、本章に記述されているすべての必須健康安全要求事項を満たさなければならない(一般原則の4事項を参照せよ)。
6.1 一般(GENERAL)
6.1.1 機械的強度(Mechanical strength)
上げ蓋を含む荷台は、当該荷台に許される最大人数及び最大作業負荷に対応する広さと強度を与えるように設計・製造されなければならない。
項目4.1.2.4 及び4.1.2.5 に規定され構成部品に対する作業係数は、人を持ち上げることを意図する機械類に対しては不適当であり、一般的規定として、2倍の値としなければならない。人または人と物品の持ち上げを意図する機械類は、適切な総合的安全水準を確保するように、また、荷台の落下のリスクを防止するように設計・製造された荷台の吊り下げ装置または支持システムを具備しなければならない。
ロープまたはチェーンが荷台を吊り下げるために使用される場合には、一般的規定として、少なくとも2本の独立したロープまたはチェーンが必要とされる。それらは、個別に固定されていなければならない。
6.1.2 人力以外の動力で動く機械類の負荷制御(Loading control for machinery moved by power other than human strength)
項目4.2.2 の要求事項は、製造者が過積載または転覆モーメントのリスクが存在しないことを実証できない限りは、最大作業負荷および転覆モーメントに関係なく適用する。
6.2 制御装置(CONTROL DEVICES)
安全要求事項が他の解決法を強制しない場合には、荷台は、一般的規定として、当該荷台の中にいる人が昇降運動と、適切な場合は荷台の他の運動も制御できる手段を持つように設計・製造されなければならない。
操作中、この制御装置は、非常停止装置を除いて、同じ運動を制御する他の装置に優先するものでなければならない。
これらの運動の制御装置は、当該荷台自体が完全閉鎖されている場合を除き、ホールド・ツゥ・ラン型でなければならない。
6.3 荷台内または荷台上の人員に対するリスク(RISK TO PERSONS IN OR ON THE CARRIER)
6.3.1 荷台の運動によるリスク(Risk due to movements of the carrier)
人を吊り上げるための機械類は、荷台の加速・減速が人に対するリスクを発生させないように設計・製造・装備されなければならない。
6.3.2 荷台からの人の落下のリスク(Risk of persons falling from the carrier)
荷台は、機械類および荷台が運動しているときを含み、搭乗者の落下するリスクを生ずる程度まで傾斜してはならない。
荷台が作業場所として設計された場合は、設備(provision)は、安定性を確保しおよび危険な運動を防止するように作らなければならない。
項目1.5.15に規定する方策が十分でない場合、荷台は、許容搭乗者数に対応する十分な数の適切な固定箇所(anchorage point)を備えなければならない。固定箇所は、高所からの落下に対する個人用保護具の取付けのために十分な強度を有さなければならない。
床又は天井に備えた上げ蓋、または側面の扉は、不意の開放を防止するように設計・製造されなければならない。また、突然に開いた場合に、落下のリスクを除去する方向に開かなければならない。
6.3.3 荷台への落下物によるリスク(Risk due to objects falling on the carrier)
荷台および危険にさらされる人への落下物によるリスクがある場合は、荷台は保護天井を備えなければならない。
6.4 固定した着荷場所を扱う機械類(MACHINERY SERVING FIXED LANDING)
6.4.1 荷台内または荷台上の人に対するリスク(Risk to persons in or on the carrier)
荷台は、荷台内または荷台上の人や物品が固定されたまたは運動中の要素部品に接触することによるリスクを防止するように設計・製造されなければならない。この要求事項を満たすために必要な場合は、荷台自体は、扉が閉じられていない状態での危険な運動を防止するためのインターロック装置付き扉を備えた完全閉鎖式のものでなければならない。
扉は、荷台からの落下のリスクがある場合は、着荷場所の間の途中で荷台が停止した時に閉鎖が維持されなければならない。
機械類は、荷台の無制御の昇降運動を防止するように設計・製造し、必要ならばそのための装置を備えなければならない。これらの装置は、最大作業負荷状態で、または予見可能な最大速度状態で、荷台を停止することが可能でなければならない。
停止動作は、どのような負荷条件であっても、搭乗者に対して危険な減速度を生じてはならない。
6.4.2 着荷場所における制御(Controls at landings)
非常時の使用以外では、着荷場所における制御は、以下の場合において荷台の運動を起動してはならない;
- −荷台内の制御装置が操作された場合、
- −荷台が着荷場所にない場合。
6.4.3 着荷場所への接近(Access to the carrier)
着荷場所におけるおよび荷台上のガードは、持ち上げられる物品や人の予見可能な変動を考慮して、荷台へのおよび荷台からの安全な異動を確保するように設計・製造されなければならない。
6.5 表示(MARKING)
荷台は、以下の事項を含み安全を確保するために必要な情報を表示しなければならない。