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国際安全衛生センタートップ国別情報(目次) > フィンランド 労働安全衛生行政と労使関係
4.労働安全衛生行政

OSH行政は、労働組織の機能および労働環境に対し次のような観点から貢献している、すなわち、職場の安全衛生および労働者の仕事に対する満足度の改善、労働市場にある組織と他の利害関係者の協力関係の構築とそれによるより良い労働機会を創出することなどである。労働保護法(1958)は労働災害や職業性疾病に対する保護原則を定める基礎的法律である。

OSH活動は省内のOSH局と管轄区が分担して行う。

OSH分野の実際の監督およびその他の活動は、労働安全衛生管轄区により実施される。フィンランド国内は11のOSH管轄区に分けられる。各管轄区には中央事務所と複数の地区事務所が設置される。

管轄区の行政組織の職員数は約460名である。職員は異なる専門分野における専門家であり、修士および学士の学位(技術、化学、法律、建築技術、看護)を有する者、森林監督官、農業経済学者、専門技術者、土木技術者、主任建築士(master builder)などがいる。

OSH管轄区別にその構成は異なる。通常は各グループが一つまたはそれ以上の産業およびサービスを担当するグループ制を採用している。監督官は割り当てられた産業の専門家とされる。

Usimaa地区は異なる構成を作っている最中である。一つのグループは災害調査、職業疾患の調査、被用者からの苦情、他の労働法との矛盾など顧客への対応作業を全て処理する。もう一つのグループは、建築、小売、衛生、陸上輸送、食品製造など産業界で生ずる問題を処理する。残りの職員は様々なプロジェクト毎にグループに振り分けられる。これらのプロジェクトは一般的に災害発生時に組成または何らかの問題の処理を行うもので、産業から生ずるものではない。従って監督官は限られた産業分野における多様な危険ではなく、幅広い産業にわたる具体的危険を処理する。

通常監督官は一度に複数のプロジェクトに関与している。ひとつのプロジェクトでは監督官がチームリーダーであり、別のプロジェクトではチームの一員である場合もある。この作業方法は開発途中であり、監督官および管轄区運営者双方の柔軟性が必要とされる。

しかしながら、この方法は作業場での災害および職業性疾患の予防において、従来の方法より大きな効果を与えると考えられている。

これまで最も重要とされるOSH監督官の現地監督の対象は、作業環境における問題点の観察と労働環境における危険の除去、災害および労働関連の疾患の低減のための措置であった。

今日、監督方法はより洗練されたものとなっている。OSH管轄区の中心的職務は、OSH法規の遵守の監視と職場でのOSH管理制度の開発の支援と奨励となっている。指導は事業者および被用者の双方になされる。

いわゆる「システム監督(system inspection)」方法とは、労働安全システム、健康保持システム、化学的衛生、人間工学、品質管理システムなどの監視が、機能的かつ経済的面での顧客への製品とサービスを達成するために、同時に実施されることを意味する。

OSH管轄区の主な機能は以下の通り:

  • OSH法規および労働法の職場における遵守の管理、年に30,000回の現地監督の実施。
  • 企業レベルでの作業中の安全性向上活動の促進
  • OSHおよび労使関係に関する指導および助言の提供、年に60,000件措置

現地監督の種類、頻度、検査の徹底度は労働状況および建物の種類に加え、発生する可能性のある危険により異なる。

要請があった場合、OSH監督官は設計段階において建物、工場および手段について意見または助言を述べる。事業者、被用者、設計者、機械の製造業者または輸入業者、その他の機関はこのような助言を請求できる(年に約3000件)

職場の監督では、雇用契約、危険物質または作業方式、労働者の健康または他の安全事項を考慮する。監督官は監督に関する報告書を作成し、職場で発見された問題点を記録する。監督官は問題点修正および除去のための指示および助言を与える。事業者と被用者の代表は、法律に従い職場検査の間常に立ち会っていなければならない。

監督官はまた、給与賃金、労働時間、若年者の雇用、年間および週あたりの休日、雇用契約、雇用の終了についても調べる。(年に8000件)監督官は労働市場の組織と密接に協力して監督を進める。

情報の重要性はOSH行政活動の中でも増している。情報の作成と配布はOSHの基本的機能の一つである。企業における労働環境計画とそれらの改善において、作業上職業上の危険と健康の関係を理解することが重要である。さらに、作業で使用する原料、化学物質その他の製品などに関する新しい知識は、迅速化つ効率的に伝達されなければならず、それにより不要な暴露が防止できる。

特に中小企業においては、簡潔かつ明確なOSH情報の提供が重要とされる。OSH行政機関は多様な情報を文書で公表している。それらには検査報告書、調査書、統計データシート、パンフレットなどがある。

OHS局は労働時間、機械の安全、生産管理、会社レベルでの安全協力、安全政策、メンタルヘルス、安全の収益性などについて70以上のパンフレットを作成している。パンフレットは2年毎に改訂され、印刷される4,000から15,000部はOSH監督官によって配布される。毎年総数で200,000冊ものパンフレットが配布されている。

中小企業のためのOSH研修は、複数のOSH団体、事業者組織、労働組合により実施されている。教育および情報のため、1996年に150回の研修がOSH行政機関により実施された。

環境保護はフィンランドの労働安全衛生行政の職務には含まれない。これは環境省の管轄となる。