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5.OSH行政機関の権限

OSH監督官およびOSH管轄区に与えられる権限は、労働監督法(Labour Inspection Act,1973)に規定されており、それらには以下の内容が含まれる。:

<権利>

  • 監督および質問のため、昼夜を問わず常識的な時間に職場に入る権利。
  • OSHおよび労働状況に関する事項について、事業者および従業員に質問をする権利。しかし、この権利には書面の報告書を要求する権限はない。
  • 法律により保管が求められる全ての登録項目および他の書類の調査を求める権利。
  • 分析のため作業に使われる原料や物質のサンプルを採取する権利。
  • 写真撮影および測定する権利。

<権限>
  • 検査記録または改善通知を発する権限。通知は違反している法律を特定し、問題の性質を示し、それらの是正措置を提案する。また、期限を定め、それまでに事業者はOSH管轄区に対して対策行動を示さなければならないとすることもできる。
  • 管轄区長官の権限に基づき、監督報告により好ましい結果が得られない場合に法的に拘束力を持つ命令を発する権限。通知は求める作業の完了期限を定め、期限が守られない場合に支払うべき罰金を定めることができる。事業者は地区の行政裁判所に控訴する権利を有する。
  • 監督官が生命または健康に対し差し迫った危険があると考える場合(30-40件/年)、禁止通告を発する権限。通告は直ちに効力を有する。主任担当監督官は管轄区の長官に通告の写しを提出し、長官はそれを受諾するか撤回するかを判断する。事業者は行政裁判所に控訴する権限を有する。事業者が通告に従わない場合、その問題は確実に遵守させるための必要な権限を有する警察に委ねられる。この手続きが取られるのは非常に希な場合のみといえる。

故意または過失の場合、災害発生後、監督官は警察の調査を指揮する検察官宛に報告書を作成する。(約300件/年)その後のいかなる刑事訴追においても、被告は罰金または懲役が科せられる。法律上会社に対する訴訟が認められていないため、訴追は企業に属する個人または複数個人に対してなされる。