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7.事業者と従業員の協力

フィンランドの労働生活における基本的法律の一つは、事業者と従業員の関係を定めた雇用契約法(1970)である。事業者は、雇用契約が1か月以上にわたる場合、書面による契約締結の義務を負う。

労働組合設立の自由を含む結社の自由は、フィンランド憲法において保証されている。フィンランドではこれらの活動は1880年代に始まった。また、労働組合結成および団体交渉の権利に関する国際労働機関の条約も批准している。労働組合結成の権利は、雇用契約法によっても保証されている。従業員の約85〜90%が労働組合に加入している。公的分野の組合化率は、民間部門より若干高い。

団体交渉措置は、主に二つの目的を有する。団体協約は:

  • 従業員が享受できる最低限の給付を定める。
  • 争議継続期間中、これによる休業を保証する。

<事業者>

フィンランドでは、事業者は4つの中央組織に組織化される。二つは民間分野、他の二つは公的分野の組織となっている。さらにより小規模の事業者団体が3つ設立されている。

最も大きな事業者団体は、フィンランド産業・事業者連合(Confederation of Finnish Industry - TT)であり、27の会員組合と5,600の会員団体が加盟しており、産業、輸送、通信建設分野における470,000人の被用者が対象となる。

サービス産業事業者連合(PT)は9つの会員組合から成り、小売店、レストラン、銀行、保険会社およびその他の民間サービス業における300,000人の労働者が対象とされる。

公的分野で最大の事業者団体は地方行政局事業者委員会(KT)であり、452の市と地方行政区および250の行政区内の機関を代表し、400,000人の行政区職員および公務員が対象とされる。

国の労働市場および人事政策分野には国家公務員事務局(The State Employer's Office - VTML)があり、140,000人の職員と公務員が対象とされる。

18,500人の公務員および職員を対象とするフィンランド福音ルター協会事業者組織(Evangelical Lutheran Church of Finland)もある。

<従業員>

労働者の組合化は、主として産業部門原則、部分的には職業または通商政策に基づいており、特に学術専門家および管理職においてはこの傾向が強い。農民など自営業者は、それぞれが強力な組織を有している。

労働組合は3つの中央組織に分けられる。フィンランド労働組合中央組織(Central Organization of Finnish Trade Unions - SAK、1907年設立)は1,111,000人が加入している。フィンランド技術労働組合連合(Confederation of Technical Employee Organization in Finland - STTK、1947年設立)は組合員数が650,000人、フィンランド学術専門家労働組合連合(Confederation of Unions for Academic Professionals in Finland - AKAVA、1946年設立)は、338,000人である。

最も大きなSAKには232,000人の組合員を擁する地方自治体労働者被用者組合(Municipal Workers' and Employees' Union - KTV)および161,000人の組合員を擁する金属労働者組合が加盟している。STTK内で最も大きな組合は保健社会ケアサービス(Union of Health and Social Care Services - They)であり、その組合員は115,000人である。AKAVAでは104,000人の組合員を擁するフィンランド教育労働組合(Trade Union of Education in Finland - OAJ)が最大である。

フィンランド労働者組合には、地域委員会や事務所を有しているところもあり、特に労使関係に関する問題の処理にあたって組合員を支援している。

企業労働者には、一般的に企業内に労働組合が作られている。企業内の組合では、職場委員が専任され、事業者またはそれらの代理人と供に日常的作業を処理する。職場委員制度の存在は、団体交渉における第一次協約(1947)に基づき公的に認められている。職場委員制度の公的分野での確立は遅れている。(1970)

<企業レベルでの協力>

企業レベルでの協力実施は、労働保護管理法(Act on the supervision of Labour Protection )および労働保護に関する不服申し立て手続き(Appeal Procedure in Matters Concerning Labour Protection ,1973)に基づき、事業者の責任とされる。事業者はOSHについての責任も負う。

法律によれば、事業者は職場における利益が異なる団体と協力するため、労働保護管理者(labour protection manager)を指名しなければならない。

大企業においては、安全管理者(safety officers)や内部監督官(internal inspectors)など多様な技術を有する職員のみで構成される一定の具体的職務と、安全が同一視されていることが多い。産業分野では、安全技術者(safety engineers)、人間工学者(ergonomists)、医師、看護師で構成される安全部署が作られている企業もある。

安全委員会は二年毎に選出され、従業員が20人以上である企業に設置される。委員会の半数は肉体労働者の代表、4分の1が事務職員、4分の1が事業者の代表で構成される。委員会の人数は社員数に応じ、4、8、12名とされる。

社員が20名に満たない職場では、OSHに関する問題は、従業員を代表する労働保護代議員(Labour Protection Delegates)または労働保護代表者(Labour Protection Representatives)により処理される。OSH代議員は労働組合の一部とはならない。これらは全ての労働者により別々に選出される。