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フランス 1998年災害統計

資料出所:INRS発行「Travail and Securite(労働と安全)」2000年12月号
(訳 国際安全衛生センター)


職業病の主要疾患と事例数変動




1998年度に補償給付の対象となった職業病の2/3は関節周囲疾患

海外県を除き、当年度中に初めて補償給付の対象となった職業病の数は、1997年度の11,587事例から1998年度には13,419事例になった。つまり1,832件も増加したことになる。右図に、海外県を除く職業病の主要疾患の総事例数とその百分率を示す。この図から、1998年度に補償給付の対象となった職業病の3件に2件が疾患No.57、つまり関節周囲疾患に関連するものであることが分かる。補償給付事例が増加した主なものは、関節周囲疾患No.57(+1551)、アスベスト粉じんの吸引に由来する疾患No.30(+367)と気管支肺がんNo.30b(+31)である。事例数が減少したものは主に、騒音に起因する疾患No.42(-83)とアレルギー性湿疹状障害No.65(-41)である。職業病を原因とし、保険金給付前に死亡した事例は93件である。

この93件のうち、53件はアスベスト粉じんに起因する疾患が原因で、17件がアスベスト粉じん吸引による気管支肺がんが原因である。


通勤事故

全国技術委員会 休業をともなう
通勤事故
一時的就労
不能日数
恒久的就労不能を
もたらす通勤事故
死亡
冶金 9319 502377 1138 90
建築土木 6714 446058 770 86
林業 853 51183 84 8
化学 965 55653 156 3
炭鉱 556 33869 75 6
ゴム・紙・厚紙 1232 67249 151 18
書籍 1143 62154 167 10
織物 438 28292 44 1
衣類 791 47962 96 2
皮革 239 15125 40 4
食品 14872 833742 1431 102
輸送・倉庫 3426 220517 478 45
水道・ガス・電気 176 9101 43 2
食品以外の商業 7850 417888 1013 55
職種間 31133 1578358 3732 161
全技術委員会 79706 4369528 9418 593
事務所その他 2266 175319 348 9
フランス本土 81961 4544847 9766 602
海外県 1064 54549 150 7
合計 83025 4599396 9916 609

住居と勤務場所、あるいは勤務場所と通常の休息場所の往復の途中に発生する事故を通勤事故と呼ぶ(社会保障法典第L411-2条)。

給与所得者人口は4.5%増加したが、休業をともなう通勤事故は海外県を除き、1997年の81,577件から1998年の81,961件へと、あまり変化がない。一時的な就労不能による損失日数はしかし、3.8%上昇し、450万日になっている。一時的な就労不能の平均日数は、職場事故の40日に対し、通勤事故では55日である。恒久的な就労不能をもたらす事故は、1998年においては3%上昇し、9,766件に上っている。海外県以外の通勤死亡事故数は、1997年の544件から1998年には602件に増えている。これは、10.7%の上昇である。通勤途上の死亡数は技術委員会全体でこのように増加しているが、とりわけ顕著なのが冶金(14)、建築土木(14)、輸送・倉庫(13)、商業(10)などの分野である。  


1998年災害統計

死亡事故

死亡事故に関する保険金は、死亡が職業に由来すると認められた年度に給付される。だが、本災害統計においては、確定化の前、つまり恒久的就労不能率と給付額の確定の前に死亡した事故のみが算入される。

海外県を除き、職業リスクのための一般制度からの保険金給付を受けた死亡事故の総数は、1997年の1,659件から1998年の1,788件へと増加している。1990年以降減少し続けてきたこの死亡総数は、1998年に再び上昇したのである。確定化以前、つまり恒久的就労不能率を確定する前に死亡した事故は、1997年の1,329件から1998年の1,378件に増加している。この増加はしかし、死亡数が1997年の544件から1998年の602件へと増加した通勤事故以外では目立たない。職業病に関していえば、確定化前の死亡件数は安定している。これは、本来の意味での労災においても同様である。確定化後に発生する死亡件数は、職業病と通勤事故の両方で増加している。

ャン=クロード・バスティド


死亡をもたらす労災・通勤事故・職業病

海外県を除くフランス(特殊カテゴリーを含む) 労災 職業病 通勤事故 死亡総数
確定化前死亡 683 93 602 1378
確定化後死亡 55 335 20 410
合計 738 428 622 1788

確定化前後を総合した死亡総数グラフ