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企業内の労働災害の防止組織

中災防内部資料より


責任者

責任者は、作業手順をきめ、機器を選択する権限と資源を持つため、作業現場の安全を保証できる唯一の人です。 従って、この人が従業員の安全に責任をもつことになります。特定の状況に応じて、責任者はその権限の一部を部下に委譲 できます。

事業者の責任原則を確認する一方で、1991年12月31日の法律では、フランスの法律に新しい原理が導入されました。従業員は 自らと現場の自分たちの活動や省略によって影響を受ける人々の安全衛生を保護するためにでき得るすべてのことを行う義務が 定められました。

この義務は、事業者により設定された社内規則のフレームワークを満たすものでなければなりません。責任者は自分たちのイニシアチブで設立された部門によりその役目を支援してもらうことができます。これは、安全部門です。

この部門は法的な根拠のない技術的な組織です。これは、雇用者に責任をもち、純粋に機能的な役割を果たします。 これは事務所管理者の責任を免責することはできず、また他の階層の人たちからも安全に関する責任を免責するものではありません 。さらに、安全衛生労働条件委員会の特権を侵害することもできません。

主な仕事は事業者が企業の防止策を策定したり、 実施する上で支援、助言を行うことです。労働法の下では、企業の安全部門の長または安全担当官は助言する能力をもって、安全衛生労働条件委員会の会合に参加します。



労働衛生サービス

  • 労働医療に関する最初の法的規制は1940年と1942年に制定されました。1946年10月11日の指令では、労働法の対象となる企業に 労働衛生サービスの設定を要求し、そのようなサービスが遵守しなければならない一般原則を設定しました。

    • 労働医療は純粋に防止サービスです。ただし、医師が緊急時に関与することは妨げません。

    • これは事業者の完全な費用負担で提供され、産業医は従業員側に立つものとします。

    • 中央政府の役割(労働医療検査機関など)は、民間分野で提供されるサービスを監督するものです。その後、種々の規則が労働法に組み込まれ、業務上の手配、運用法、労働衛生サービスの役割が設定されました。この法律は最初産業と商用にのみ適用され、次第に運送、炭坑、採石、農業分野にも適用されるようになりました。産業医は労働衛生を監視し、労働環境を改善する上で支援します。


  • 労働衛生の監視

    • 採用時に産業医は従業員の新しい職場での適応性について検査します。これには、必要と見なされるすべての検査が追加されます。 彼らはまた、年に一度、健康診断を実施し、それぞれの仕事への従業員の適応性を引き続き確認します。

    • 従業員の中には、その仕事の内容、さらされる危険の度合いや特別な環境のために、特別な医療チェックが必要なものも あります(長期休職後、妊婦、若年労働者などの検査)。

    • 従業員が医学的に職務に適切でないことが認められた場合(一時的または永久に)、産業医は特別な提案を行います (異動、転職など)。

  • 作業現場での産業医の活動産業医は作業現場で約1/3の時間を過ごさなければなりません。彼らは経営者、従業員、およびその代表に対して、労働衛生及び労働条件に関連したすべての問題について助言します。 たとえば、照明、騒音、換気、作業場所のレイアウト、新技術の導入などです。彼らは又、安全衛生労働条件委員会の会合にも 助言者として出席します。




労働災害防止への従業員の関与

  • 労働災害防止における従業員の関与の主要フォーラムはComitéd'hygiène, de s écurité et des conditions de travail (CHSCT - 安全衛生労働条件委員会)です。

    • 安全衛生に関する委員会は1947年にはじめて設立され、1982年12月23日の法律の下で再編成されました。

    • 従業員50人以上の場合にはCHSCTを必ず設立しなければなりません。

    • CHSCTでは責任者が座長となり、労働委員会が指名した従業員の代表者から構成され、権限委譲されたスタッフが支援しています。

      産業医と安全部門の長または企業の安全担当者が助言を行うために会議に出席します。

    • CHSCTは四半期に少なくとも1回と重大な結果をもたらすか、潜在的にもたらす可能性のある災害が起きた場合はその直後に会議を 開きます。

    • CHSCTの主な仕事は次のとおりです。


      • 企業の従業員と外部事業者により派遣されている人の安全衛生を保護する上で支援し、その労働条件を改善する。 これには、一時的被雇用者も含まれます。

      • 従業員がさらされる労働上の危険と労働条件を評価します。また、妊婦がさらされる可能性のある労働上の危険も評価します。

      • 定期的な検査を実施します。産業の事故や災害を調査します。

      • 作業現場で労働災害の防止を促進し、これに貢献するイニシアチブを支持します。CHSCTは、特に職業の重大な変更や新技術の導入など、労働上の安全衛生、または労働条件に影響を与える重大な変更を行う前に それに対し助言を与えます。

      • 従業員50人以下の企業やCHSCTがいない場合には、この委員会の責任は権限委譲されたスタッフにより行使されます。


  • 労働委員会

    • Comite d'enterprise (CE - 労働委員会)は、すべての問題について通知を受け、助言を受けます。 たとえば、経済、社会の、企業の一般的な機能に関する問題です。 特に、労働条件(労働時間、シフト制、現場のレイアウトなど)に影響を与えることや新技術の導入について助言を受けます。 さらに、CHSCTに送る従業員の代表者の任命に関与し、その委員会からアドバイスを受けます。


  • 従業員の役割

    • 1982年8月4日の法律では、すべての従業員に特に企業の労働条件の改善について、直接、あるいは団体で意見を表明する権利が 与えられました。

    • 1982年12月23日の法律では、労働法の対象となるすべての従業員に対して、重大または明白な危険が存在する状況の警告を受け、 その状況から抜けることができる権利が与えられました。

    • 1991年12月31日の法律は、1989年6月12日の枠組み指令No. 89/391の内容を導入するもので、労働法に、各従業員に対し 「企業の規則の中で事業者が与えた指示にしたがった訓練に基づいてできるかぎり自らの安全衛生に気を配り、自分たちの活動や 省略によって影響を受ける人々の安全衛生を保護する(L.230-3項)」ことが導入されました。

    • 政府がはじめて労働における安全性に関与して以来、これ迄のべてきた仕組みが次第に導入されていきました。これら数年間、労働条件と労働現場での衛生の改善の要求と「危険の克服」の概念のみならずコミュニティ法の考え方が、 労働監督機関や地方健康保険公庫の役割や慣行の新しい発展の中に組込まれていくはずです。


データの一部 - 1995
労働監督官(地方事務所)

432

労働監督官補佐(地方事務所)

862

CRAMコンサルティングエンジニア

270

CRAM 安全監督官

461

産業医

6300