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インド全国安全協会の健康、安全、環境日誌1999年

家庭内の安全

家庭内の安全とは、あなたの家族全体を事故から守ることを意味します。家庭内の安全は態度と行動の両方に左右されます。たとえば、(a)家庭内での危険な要素を見つけ出して正す(b)常に安全に気を配る(c)緊急時に何をすれば良いかを知っておく、などといったことです。

あなたとあなたの家族の安全のために、家庭内の安全についての知識をつけておくことが大切です。

リスクは多大です。毎年、家庭内の事故で何千万人という人が負傷しています。中には致命傷を負った人もいますし、負傷者の多くが子供です。

事故はいろいろな意味で高くつきます。医療費や給料として得られる収入の減少などはすぐに累積し、年間何千万ルピーという出費になります。

肉体的・精神的な苦痛は金額で測れるものではありませんが、事故によって家族の被る苦痛、不安、悲しみ、精神的緊張などは非常に大きいと言えましょう。

家庭内の事故は、適切な注意を払うことによって防ぐことが可能です。

火災

家庭での火災は多くの致命的な事故を引き起こします。家と家族を火災から守りましょう。火災を予防し、負傷に対して身を守るために出来ることを始めましょう。

火災の危険のある場所を確認し、その危険を取り除きましょう。その際には以下の点を確認しましょう:

  • オーブンや湯沸器(風呂などの瞬間湯沸器)が効率的に、安全に作動しているかどうか。毎年少なくとも一回は、資格を持つ電気技師などの専門家による点検を受けましょう。
  • ストーブ、持ち運びできるヒーター、扇風機などが正しく据え付けられているかどうか。
  • 可燃性の液体が正しく保管され、片付けられているかどうか。保管する際には火の元から遠ざけ、可能なら家の外に置くようにします。
  • トースター、アイロン、エアコン、ヘアドライヤーといった電気装置が、正しく作動し、安全に使われているかどうか。

火の用心を常に実践する

  • マッチ、タバコ、喫煙道具などは毎回安全に片付けるようにします。家庭で発生する致命的な火災の最大の原因は、これらの処理を怠ったことによるものです。灰皿は大きくて深いものを使用しましょう。
  • 調理用ストーブ(ガスレンジ)は特に危険です。ストーブはこまめに掃除し、油汚れがついていないようにします。使用中は、ガスレンジは常に専用の台の上に置くようにしましょう。調理中はひらひらした衣服は着用しないようにしましょう。衣服は綿のものを着用するようにします(ナイロンなどの化繊は、燃えると溶けて皮膚に付着し、重度の火傷につながります)。常にABC消火器を手の届く場所に置いておくようにします。油による火災には、絶対に水をかけてはいけません。鍋などの取手は、ストーブの前面に向けないようにしましょう。

万一の火災に備える

  • 煙探知機は正しく据え付け、定期的な点検を受けましょう。
  • 消火器は製造者の指示通りに点検と交換を行いましょう。
  • 火災時の非難計画を立てておけば、万一のときに家族が何をすべきかを正確に把握することができます。たとえば、どうやって家の外に脱出するか、外ではどこで落ち合うか、などといったことです。計画は頻繁に練習しておくようにします。
  • 小さい子供、高齢の家族や障害を持つ家族など、火災のときに誰かの特別な助けが必要な家族がいる場合は、そのことを念頭において計画を立てておきましょう。

スリップ、転倒、転落など

  • 歩く場所には傷害物を置かないようにし、散らかしたりしないようにします。収納用の箱やおもちゃなどは屋根裏か押入にしまうようにし、階段や通路に置かないようにしましょう。
  • 特に階段や踊り場などは、適切な照明を取りつけて十分明るくしておきましょう。
  • 階段にはすべて手すりをつけ、点検しましょう。人一人の体重を十分支えられるかどうかを確認しましょう。
  • こぼしたものはすぐにふき取り、床はいつも乾いた状態にしておきましょう。
  • 階段や浴室の床などには、すべり止めを取り付けましょう。水や石鹸などは、表面を特に滑りやすくします。

電気

電気製品の取り扱いには十分気を付けましょう。電気の事故は危険で、被害も大きく、また頻繁に発生しています。

  • ヒューズが飛んだり光が弱くなったり、あるいは製品に触って感電したりといった電気的なトラブルが発生した場合は、資格を持つ電気技師などを呼んで修理してもらいましょう。
  • 電気機器や電気のコード、延長コードなどはすべて定期的に点検し、特にプラグや器具の差込口の近くなどに、磨耗や破れがないかどうかをチェックします。必要な個所は修理するか交換するかしましょう。
  • プラグの差込口に負荷をかけすぎないようにしましょう。一箇所の口にコードを繋ぎすぎすると、負荷がかかりすぎて危険です。
  • 使っていないプラグ差込口は、とくに低い位置にあるものはダミープラグピンなどで塞ぐようにしましょう。小さい子供には、プラグ、コード、差込口などに触らないように教えましょう。年長者には、コードの抜き差しを安全に行う方法を教えましょう。
  • ヒューズの代わりにコインや、より大きな電流が流れても溶解しないような部品を取りつけることは絶対にやめましょう。
  • 水中や濡れた床に立っていたり、手が濡れていたりするときに、コンセントを繋いだ電気製品のスイッチを入れることは絶対に避けましょう。
  • 健康上の理由から、テレビは十分離れて見るようにしましょう。近すぎると目が疲れます。
  • オーディオ装置を大きな音量で聞くのはやめましょう。騒音はあなたや家族、そして近所の人々の健康を損ないます。

子供に安全な家庭を心がける

家の中を、子供にとって危険な場所ではなく、格好の遊び場にしてあげられるように心がけましょう。

  • 子供の首に巻きつく恐れのあるカーテンコードや電気の線などのコードは、短くしておきましょう。
  • 階段にはすべてゲートを取り付けましょう。子供が安全に階段を上り下りすることが出来るようになるまでは、転落から身を守ってあげる必要があります。
  • 小さいもの、尖ったもの、先の鋭いものが子供に触れないようにしましょう。ビニール袋は被って窒息する恐れがありますから、子供の手の届かないところに置きましょう。小さい子は何でも試したがるものです。
  • 子供を一人で風呂桶や水を張ったバケツのそばに放置しないようにしましょう。子供は深さ数センチの水でもおぼれることがあります。液体は子供の手の届かないところに保管しましょう。
  • たとえ子供が寝ているときでも、絶対に一人で鍵のかかった部屋に放置してはいけません。

高齢者や障害を持つ人々

  • 高齢者や障害を持つ家族には、特に注意が必要です。
  • 浴室やトイレには手すりを付け、楽に立ったり座ったりできるようにします。緊急の場合を考え、ドアの鍵は外からでも開けられるものを取り付けましょう。
  • 寝室は可能なら1階に設け、火災のときにもすぐに外に出られるようにしておきます。

毒物

どんな家庭にも毒物はあります。それらを把握しておきましょう。殺虫剤、除草剤、処方薬や処方箋なしで買える薬など、わずかな量でも危険な物質があります。

  • 元の容器から出さないようにして、鍵のかかる戸棚に保管しましょう。残った薬品はトイレに流すようにしましょう。
  • 子供には、決して薬をお菓子(キャンディー)だと教えてはいけません。大人の見ていないところで、もっと食べようとするかもしれません。毒物は子供の手の届かないところに置くようにしましょう。
  • 毒でなくても、大量であったり誤用したりすると危険な物質もあります。アスピリン、エアゾール、洗剤、クリーナー、つや出し剤、ある種の塗料などがそうです。掃除用具はまとめて、食品とは別のところに保存しましょう。

排気ガス

排気ガスの中にも毒性のあるものがあります。

  • 部屋などのヒーターが正しく調節され、換気されているかどうか確かめましょう。製造者の指示にはきちんと従いましょう。
  • 閉まったガレージの中では、必ず車のエンジンを切りましょう。一酸化炭素は急速に充満し、死に至る可能性もあります。
  • ガスレンジや石炭こんろなどを、部屋を暖めるために使用しないようにしましょう。また、特に閉め切った室内では絶対に使用してはいけません。

応急手当

基本的な手当の方法を挙げておきます:

  • 軽い火傷
    • 火傷した個所に冷水をかけます。清潔な綿の布で覆い、バター、油、軟膏や家庭の治療薬は塗らないようにします

  • 感電:感電は呼吸停止や火傷などを引き起こします(呼吸や心臓が停止した場合に蘇生させるには特別な技術があり、資格のある指導員のもとで訓練を受けることができます)。
    • 被害者は横にします。被害者の意識がない場合は、横向きに寝かせ、液体などがのどに詰まらないようにしましょう。
    • 首や背骨を負傷している恐れのある被害者は、明らかに必要な場合以外は動かさないようにします
    • 体を覆うものは、体温を保つに必要なだけの量にとどめます。
    • すぐに医療機関に連絡をします。

  • 出血
    • 傷を清潔な綿の布で覆い、傷を直接、強く押さえます。
    • 手足の傷は、骨折していなければ心臓より高い位置に持ち上げます。

  • 中毒
    • 吐き気がない場合は、被害者に水または牛乳を飲ませます。
    • 病院に連絡し、毒物が何であるかを伝えます。
    • 病院の指示に迅速に従います。
    • 服用したと思われる毒物と、吐き出されたものの一部を取っておきます。
    • 吐根シロップを常備しておき、毒を吐き出させるのに使います。必ず、指示通りに使用するようにします。


感電

  • 電源を切り、被害者を絶縁物(乾いた木、ロープなど)で電気から離すまでは、被害者の体には触れないようにします。
  • 必要なら呼吸を回復させ、感電に対する手当を行います。

緊急用の電話番号

各電話機のそばに、電話番号のリストを貼っておくようにしましょう。リストには、警察、消防署、病院、かかりつけの医師、救急車または緊急医療サービス機関、近隣の親戚などの番号を書いておきます。


後悔する前に、安全を心がけましょう。



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