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ケニア - 多湿・寒冷状態に関連する職業性疾病
Occupational diseases related to wet and cold conditions in Kenya

資料出所:フィンランド労働衛生研究所
(FIOH:Finnish Institute of Occupational Health)発行
African Newsletter on Occupational Health and Safety
Volume 12, No.3, December 2002 「Work-related diseases」 p.75)

(仮訳 国際安全衛生センター)

原文はこちらからご覧いただけます



はじめに

 過去20年間にわたり、園芸・草花栽培産業は、ケニアにおいて一般的な産業になってきた。ここで生み出される花や野菜は、主にヨーロッパ市場に輸出され、外貨の稼ぎ手の一つであるため、この産業はケニア経済において他の産業分野の発展の基盤となっている。優れた品質のおかげで、ケニアの園芸・草花製品は国際市場において高い支持をうけており、ここしばらく、かなりの成長産業になってきている。
 栽培地域は、ケニアの中心部ナイロビ郊外にあるリフトバレイ地方(Rift Valley Province)に広がっている。
 産業は、栽培・収穫・初期加工を含む様々な仕事から成り、これらの仕事は、機械・道具・手作業によって行われている。園芸・草花栽培は、環境・衛生・不十分な医療サービス・化学物質の危険・低賃金に関連する問題により、関係するすべての人々にとって懸念される分野になっている。これら全ての問題が、労働安全衛生事項にかかわっている。


関連問題

労働者の健康に影響する主な危険は、環境面・仕事の性質・道具や機械・人的要因から生じる。ケニアの園芸・草花栽培において、労働者は、冷蔵倉庫設備の使用により、寒冷・多湿、さらに、貯蔵設備の冷却システムに使用される物質に関連する危険性にさらされている。
 寒冷、多湿状態への暴露は、ますます職業上の危険となってきており、大企業や、小さな家内工業にも影響を与えている。収穫された花や野菜は、通常、航空輸送によって輸出される前に、低温な場所や冷蔵室に保管される。そのような場所内の加工ラインでは包装や仕分けの作業があり、特定の労働者の寒冷、多湿状態の長期に渡る暴露は、凍傷・風邪・肺炎・浸漬足等の疾病を引き起こす結果となる。これらは、寒い部屋や冷蔵室での仕事に就いている労働者によく見られる現象である。
 いくつかの職場を選択して行った調査によると、最も一般的な傷害は、指の凍傷と長引く風邪であることがわかった。寒さと冷えの影響に加え、冷却剤として使用される化合物(フロン・アンモニア・クロロジフルオロメタン(CHCLF2)・ジクロロジフルオロメタン(CCL2F2)等)に関連する危険性も存在する。これらの冷却剤がパイプから漏れた場合、労働者に重大な職業性危害を与える事になる。クロロジフルオロメタンがパイプから漏れ出し、労働者に脅威を与えたというあるケースが報告された。これらの冷却剤は、皮膚や目に凍傷や炎症を引き起こすとして知られている。


これらの職業性危害と疾病の管理・防止

 寒冷・多湿な環境に関連する危険を取り除くことは不可能かもしれないが、このような危険を最小限に抑え、これに伴う疾病を避けるための予防対策をとることは可能である。
予防対策リスト
  1. 防護服、例えば防寒ブーツ、厚手のジャケット、防寒手袋、ヘッドカバーを使用する。
  2. 職業に起因する疾病と疑われる全てのケースついて、医学的調査を行う。
  3. 労働者は、自分たちの仕事に伴って生じる危険に関する教育をうける。
  4. 寒冷・多湿な状況への労働者の暴露時間を最小限に抑える。
  5. 緊急遮断スイッチを設置し、適切な断熱材を取りつけることによりパイプの腐食を避ける。
  6. 冷却された金属は傷つきやすく、破損しやすい部分は氷に包み込まれているため、パイプや冷却装置の氷を取り除く際、決して鋭利な道具を使用してはならない。解氷は、熱したガスや温水によって行う。
  7. 日常点検中、ヒュームや飛沫から目やその他の傷つきやすい器官を保護するために、予防措置をとる。