このページは国際安全衛生センターの2008/03/31以前のページです。
国際安全衛生センタートップ国別情報(目次) > 韓国労働研究院(KLI)事業内容

研究分野と関連活動

  1. 研究分野



    韓国労働研究院の研究プログラムは、韓国の労働市場、労使関係、労働法、労働者の福祉といった数多くの主要分野を網羅しています。理事会が決定する研究テーマは、韓国労働研究院の任務のガイドラインに沿い、現在の政策環境が示す必要性や機会を検討評価した結果を反映したものとなっています。

    設立当初の数年間は、労働市場の動向分析(すなわち雇用と失業、賃金、労働条件)、労働法および労使関係に関わる研究活動に重点を置いてきました。

    国家的重要度を有する問題に焦点を合わせた研究は、次の5分野に大別できます。

    1. 労働市場

    2. 人的資源管理

    3. 労使関係

    4. 労働動向分析

    5. 社会保障と労働者の福祉

    国の政策課題は絶えず変化するため、それに伴って優先順位も変化し、新たな政策課題が生じれば特定のテーマが追加されることもあります。労働動向分析は、そうした研究課題の変更に関係なく、継続プロジェクトとなっています。



  2. 労働市場



    この分野では、現在および将来の雇用構造と、それが政策に与える影響を意欲的に研究しています。過去数十年間の産業構造改革がわが国の雇用構造や労働のあり方に大きな変化(すなわち多様化)をもたらした一方、世界的な趨勢として、技術革新が進んだために熟練労働者の需要が高まりました。こうした変化に伴い、国と職場双方のレベルにおける労働者の教育・訓練が、現在大きな政策上の関心事となっています。経済の国際化と国際競争の拡大によって、多くの韓国企業が経営のスリム化(ダウンサイジング)に踏み切りました。企業レベルでの雇用調整と経済全般にわたるリストラが、労働者の雇用の安定を脅かしているのです。

    したがって、韓国労働研究院では、リストラ過程における労働市場の情勢とわが国の失業構造の特徴を十分視野に入れた研究を行うことで、政策課題を特定し、その解決策を提案します。また、これを中・長期的な失業対策の立案や失業対策予算の効果的な配分につなげてゆくことも考えています。



  3. 人的資源管理



    人的資源管理に関わる問題を詳細に研究することによって、企業の競争力強化に寄与することを目指します。この熾烈な競争の時代において、人的資源管理は急激なリストラを敢行中の企業にとっての最重要課題であるからです。詳細な研究テーマには、21世紀の人的資源管理、企業構造と労使関係の変化、在韓外資系企業における労使関係などが含まれます。

    さらに、国際化時代の世界市場における韓国の国際競争力強化を目指し、人材育成の分野においても、人的資源管理や給与体系、人事考課方式の変革をはじめとする様々な研究がなされています。



  4. 労使関係



     労使関係は、韓国労働研究院設立当初からの主要研究課題でした。政治の民主化が進む中では、労働者の権利意識の高まりを反映するような、新たな労使関係の実現が特に求められています。労働者の経営参画、職場改革、作業手順の改善などは、今後取り組むべき新たな課題です。わが国に健全な労使関係を根付かせるため、韓国労働研究院では、先進工業国の労使関係/人的資源管理モデルを比較研究しています。政策担当者と経営者、労組の指導者が国際化時代にふさわしい健全な労使関係の政策と慣行を築き上げることに寄与する所存です。
     

    1997年3月と1998年2月に、労使関係法と集団的労使関係法の大改定を伴う労働基準法改正案が国会で可決され、法律の上においても労使関係の新たな時代の幕開けとなりました。今後数年間、この法改正が職場での団体交渉や労働条件の慣行にどのような影響を与えるかを綿密に観察し評価していきます。
     

    先頃、韓国労働研究院は労使政三者委員会の発足に積極的に関わりました。今後も引き続き労使政三者委員会と密接に協力しながら、21世紀に向けて、韓国の労使関係のさらなる進展と、実りある相互協力に基づく新たな労使関係の文化を築くことに邁進していきたいと考えています。
     

    労使間相互の利益を基盤とする労使関係の新たな文化を創造する政策の立案に特に力点を置き、これにより、リストラ過程で生じる労働争議を仲裁し、かつ労働関連分野で政府の「第二建国運動」を支援していく構えです。



  5. 社会保障と職業生活の質



    韓国労働研究院では、社会保険プログラム、特に労働者災害補償保険制度(Industrial Accident Compensation)と雇用保険制度(Employment Insurance System , EIS)の機能や効果を検討評価しており、わが国で雇用保険制度を立案・実施する際には主要な役割を果たしました。また、職場の安全衛生を向上させる政府の取り組みにも密に関わり、労働災害補償保険法の改正に関する詳細な研究を行いました。
     

    さらに、労働者の職業生活の質(Quality of Working Life , QWL)を向上させるために必要な政策案や制度改革を特定するため、わが国の労働者の職業生活の質を比較的見地から評価しています。労働者に生涯学習の機会を与えるため、韓国労働研究院全体として職業生活の質についての研究に取り組んでおり、「生涯学習社会」(Life-long Learning Society , LLS)の実現にどのような制度上の整備が必要かを提案するための研究プロジェクトが、近く開始されることになっています。



  6. 労働動向分析



    この継続プロジェクトでは、現在の国内外の労働市場の動向と将来の見通しについて分析しています。また、下記の定期レポートの発行、労働市場に関するデータベースの管理も行います。
     

    • 「季刊労働動向調査」季刊

    • 「韓国労働研究院 労働統計」年1回発行

    • 「韓国労働研究院 海外労働統計」隔年

    • 「韓国人的資源の分類:労働統計」年1回

    • 韓国労働研究院 DB―労働市場データベース、年1回更新




  7. セミナー・会議



    韓国労働研究院では、セミナーや会議のほか、政策評価・討議のための様々な討論会を開催しており、学者や政府の政策担当者の参加を得ています。

    また、年に2、3回国際セミナーを催し、変わりゆく労働市場や世界を視野に入れた雇用や労使関係、社会福祉政策に関する国内外の問題を検討しています。



  8. 対外活動



    韓国労働研究院では、共同研究や情報交換を通じて海外の研究機関と密接な関係を保つよう努めています。現在、JIL(日本労働研究機構)、ILO(国際労働機関)、OECD(経済協力開発機構)、FES(エーベルト財団)などから、積極的な協力を得ています。