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「労働安全衛生基準」に関する手引書(改正)

(資料出所:Department of Labor and Employment発行
「PRIMER on the Occupational Safety and Health Standards」)

(仮訳 国際安全衛生センター)


規則1000 -- 通則、ならびに
規則1010 -- 他の安全規則

  1. 「労働安全衛生基準(Occupational Safety and Health Standards: OSHS)」とは?

「OSH基準」とは、フィリピンの「労働規程(Labor Code)」(P.D.442)第IV巻第162条に従って公布された労働安全衛生に関する強制規則です。


  1. 「OSH基準」の目標とは?

安全かつ衛生的な就業環境を通じて、負傷、疾病または死亡の危険から労働者を守ることです。


  1. 本基準の適用範囲は?

本基準は陸上、海上、空の輸送を除くすべての職場に適用されます。しかし、陸上、海上、空の輸送に関わるガレージ、乾ドック、港湾格納庫および修理場は本基準の適用範囲となります。鉱山における安全は適用外とされ、輸送・鉱山における安全は政府の他機関の管轄となります。

しかし、「労働衛生業務基準(Standards on Occupational Health Services)」の規則1960は、すべての事業所に適用されます。


  1. 本基準に基づく事業者の義務とは?

  1. 労動者に、死亡、疾病または身体的危険を及ぼさない、もしくはその可能性のない職場を提供すること。
  2. 全ての労動者、特に経験のない新規採用労働者に対し、労働者がさらされる職場における危険への十分な理解、および緊急時の対策を含むあらゆる職務上の安全指導を行うこと。
  3. 本基準の要求に従うこと。
  4. 自らの職場においては、認証を受けた装置・設備のみを使用すること。

  1. 労働者の義務とは?

  1. 本基準の規定の実施にあたり事業者に協力すること。
  2. 職場で発見されうるあらゆる労働上の危険を監督者に報告すること。
  3. 自分および他者を守るため、支給されたすべての保護具・安全用具を適切に使用すること。

  1. 第三者の義務とは?

建築業者、請負業者または執行機関を含め、事業所または職場を訪問し装置を修繕・設置または業務を行う者は、本基準の規定ならびにこれらに基づく事業者が定めた規則の遵守が義務とされます。


  1. 「OSH基準」の執行者は?

本基準は第14地域労働局(Regional Labor Office)および全国各地のその地区事務所によって執行されます。


  1. 労働者、労働者の代表または関係者が身体的危険もしくは生命への切迫した危険を生じるような「OSH基準」違反があると考える場合、その危険を是正するために行うべきことは?

上記の労働者の代表はそのような違反または危険に関する十分な詳細を提示し、地域の労働局に立入検査を要求しなければなりません。


  1. そのような場合に地域労働局が取るべき措置は?

地域労働局は報告書を評価し、問題の事業所への特別立入検査または調査を直ちに行います。そのような調査または立入検査の結果は、苦情の申立人に書面で通知されます。


  1. 事業所における「切迫した危険(imminent danger)」とは?

「切迫した危険」とは、強制手続に基づく緩和が達成される前に、死亡または重大な身体的危険を生じることが合理的に予想されうる状態または慣行を意味します。


  1. 立入検査手続による切迫した危険の是正方法は?

  1. 検査官が切迫した危険が職場に存在することを発見した場合、関係する事業者および労働者に対してその危険を知らせなくてははりません。また、検査官は操業停止命令を発するか、危険緩和のための適切な行動を地域局長(Regional Director)に勧告します。最終命令が発せられるまでの間も、事業者は労働者を保護するため適切な措置を講じなければなりません。

  2. そのような勧告を受けた場合、地域局長は直ちに危険の存在の有無、操業停止命令および他の適切な行動によって危険が最小化するような性質のものであるかを判断しなければなりません。

  3. 命令はそのような切迫した危険を回避、是正または除去し、そのような危険が存在する場所への労働者の立入を禁止するために必要な具体的措置を要求するものとします。但し、そのような危険の回避、是正または除去または操業継続のために労働者の立入が必要な場合は除きます。操業停止命令が出された場合、その命令は安全かつ秩序立った方法で危険の是正、除去または回避が達成される場合にかぎり、上記の立入により是正措置を許可するものとします。

  4. 操業停止命令が出された場合、地域局長は命令の写しおよび関連書類に是正されるべき作業状態、事業者が違反した安全衛生規則ならびに課された是正措置の詳細説明を添付し、48時間以内に就業条件局長(Director, Bureau of Working Conditions)を通じ大臣(Secretary)に提出しなければなりません。

  5. 大臣は地域局長により発せられた命令を再検査し、5営業日以内に地域局長の命令に対し、解除または支持する旨の最終決定を下さなければなりません。

  6. 命令は、当該危険が除去または是正されるまで有効とされます。

  1. 危険有害作業場とは?

危険有害作業場は以下の職場を意味します:

  1. 作業の性質により、労働者が電離放射線、化学物質、火、引火性物質、有害成分といった危険な環境要素、汚染物質にさらされる場所またはそのような職場環境。
  2. 労働者が建設作業、伐木、消火、採鉱、採石、発破、荷役、港湾労働、深海漁業、および機械化農業に携わる場所。
  3. 労働者が爆発物および他の火工品の製造または取扱に携わる場所。
  4. 労働者が電動工具または爆薬によって作動する工具(explosive powder actuated tools)を使用する、もしくはそれらにさらされる場所。
  5. 労働者が細菌、真菌、ウイルス、原生動物、線虫、および他の寄生生物といった生物体にさらされる場所。

  1. 「規則の執行停止(Suspension of Rule)」とは?

以下の理由で、規則の施行日を延期する一時的命令を、大臣が事業者-申請者に対し発することを意味します。:

  1. 規則の遵守に必要な技術担当人員または資材をそろえることができないため。
  2. 規則遵守に必要な建設または建物の変更が施行日までに完了させられないため。
  3. 事業者が、就業条件局により認可された労働者を保護する新しい技法についての研究に参加しているため。

上記のような場合、事業者は以下を知らせる申請を、地域局長を通して大臣に提出します。:

  1. 申請の理由
  2. 講じる予定の措置
  3. 規則の遵守のために導入予定である計画
  4. 当該申請の労働者への通知

地域局長は申請を評価し、適切な行動を大臣に勧告します。大臣が最終命令を発するまでの間、地域局長は暫定的命令を発することができます。

命令は、遵守可能となるまでに必要とされる期間、または1年のうちの短い方の期間有効とされます。また、取消の保証が条件とされる場合、さらに1年間の延長が可能とされます。


  1. 特例的認可命令(Variation Order)とは何か?

本規則は、事業者-申請者が規則で定められた以外の保護システムを認めています。この場合、労働者の安全が継続的に保証されることを条件として、地域局長は特例的認可命令を発することを、局長を通して大臣に勧告することができます。

関係する事業者は、以下を明記した特例についての申請を、地域局長を通して大臣に提出することができます。

  1. 具体的な安全規則
  2. 事業者-申請者が規則を遵守できないこと、およびその理由に関する技術的な適格者による証言
  3. 事業者が労働者を保護するために講じる予定の、もしくはすでに講じている措置の説明
  4. 事業者が当該申請を労働者に通知していること、および労働者代表に提示された書面の写し

特例的認可命令は、命令が許可される条件を規定し、大臣が取り消すまで有効とされます。