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安全衛生委員会

 フィリピンでは労働安全衛生基準(Occupational Safety and Health Standards)に基づき、事業場に安全衛生委員会の設置が義務付けられています。安全衛生委員会についての役割、構成、関係者の義務等について、ご紹介いたします。

資料出所:「THE HEALTH AND SAFETY COMMITTEE」
(訳 国際安全衛生センター)


安全衛生委員会とは
 
  経営者(management)と労働者の代表で構成され、職場の安全・災害防止対策の作成、実行、維持 の責任を負う機関です。


 
安全衛生委員会の設置時期
 
  労働安全衛生基準規則1040は、次のように定めています。

安全衛生委員会は、本基準発効から60日以内、新設の企業においては営業開始から1ヵ月以内に、事業場ごとに設置する。いずれの場合も、翌年以降、毎年1月に安全衛生委員会を再編成する.


 
安全衛生委員会の任務
 

(1)

企業の災害防止対策の立案、作成。

(2)

職場の災害発生を防止するための安全プログラム、安全慣行、政府規制に従った事業所における災害防止対策の指導

(3)

1ヵ月に少なくとも1回安全会議を開催すること

(4)

検査報告、災害調査、プログラムの実施状況の検討

(5)

会議と活動の報告の経営者への提出

(6)

政府の調査官の活動に対し必要な協力を行なうこと

(7)

労働者の安全研修の実施、管理

(8)

災害時の緊急対策の作成、維持。
民間防衛局(Office of Civil Defense)の設置に関する緊急対応マニュアルに沿った災害発生に対処できる緊急行動班の設置


 
 
安全衛生委員会の構成
 
  安全衛生委員会の設置の際の検討事項は、以下の点です。

(1)

構成−企業またはプラントの規模、作業の性格によります。

(2)

委員の任期−委員として安全プログラム策定に参加できる機会を他の労働者にも確保するため、委員は定期的に改選するのが望ましいでしょう。この目的から、部門管理者の委員の任期は1年が適当です。労働者委員の任期は、図示のタイプA、Bの場合は2年、タイプC、D、Eの場合は1年が適当でしょう。議長、産業医または看護師、安全管理者は恒久委員とします。

 
合同委員会
 
議長、委員の任期は1年です。合同委員会の委員は、参加事業所の安全衛生委員会の委員から所属が重複しないよう交替で選任します。
 
タイプA:労働者数400人以上
 
 
(★印は恒久委員)
 
 
タイプB:労働者数200人以上400人未満
 
 
 
タイプC:労働者数100人以上200人未満
 
 
 
タイプD:労働者数100人未満
 
 
 
タイプE:合同委員会
 
 

 

その他の安全衛生組織

 
 
注:ここで記した委員数は最低要件であり、必要な場合は増員できます。
 


 
事業者(employer)の義務
 

(1)

事業者の責任と権限を定めた安全衛生基準に従い、安全に関する実施方針を作成、決定すること

(2)

安全衛生委員会設置から1ヵ月以内に、決定した方針、安全衛生プログラムを実行する安全組織の報告を、規制当局に2通提出すること

(3)

1月から開始して少なくとも3ヵ月に1回、管轄する当局に対し、安全慣行、安全衛生委員会の会議とその勧告、勧告実行のためにとられた措置を含め、安全プログラムの実施状況を報告すること

(4)

安全衛生委員会の勧告に基づき、安全プログラムの内容を生産工程または職場に適用するとともに、勧告を実施しない場合はその理由を委員会に通知すること


労働者の義務
 

(1)

決められた安全慣行と、安全衛生基準に準拠して事業者が決定した基準に従い、作業を行なうこと

(2)

危険な労働条件と慣行を監督者に報告し、災害要因の是正または除去のための提案を行なうこと

(3)

安全衛生委員会の委員を務めること

(4)

安全衛生委員会に積極的に協力すること

(5)

政府機関による安全衛生検査などの活動に協力すること


 
安全管理者(safety man)の義務
 

(1)

安全衛生委員会の書記として、以下の任務を遂行すること
  1. 会議の議事録を作成すること
  2. 勧告の実施状況を報告すること
  3. 委員に会議開催を通知すること
  4. 事業者に、決定された勧告など委員会の活動を報告すること

(2)

助言者としての権限で、安全に関するあらゆる問題について事業者(employer)と労働者に指針を提供すること。

(3)

安全衛生委員会の委員として災害を調査し、事業者に独自の報告と分析を提出すること

(4)

労働者と事業者(employer)の安全研修計画を調整すること

(5)

委員会のメンバーとして安全検査を実施すること

(6)

効率的な災害記録システムを維持し、またはそのための支援を行い、災害原因の排除のために管理者がとる対策を調整すること

(7)

政府機関による安全衛生検査、災害調査、またはその関連事項に協力すること

(8)

専従の安全管理者が必要な職場では、その効果を高めるため、事業者の直属となります



安全衛生委員会が行うべき各種報告
 
1. DOLE/BWC/OHSD/IP-5(安全衛生委員会設置報告)
2. DOLE/BWC/OHSD/IP-6(事業者労働災害・職業性疾病報告)
3. DOLE/BWC/OHSD/IP-6b(年次労働災害・職業性疾病リスク・データ報告)
4. DOLE/BWC/HSD/OH-47A(年次健康管理報告)
5. 月例安全衛生委員会議事録(四半期ごと)
 
 
以上の報告は地域労働事務所を通じて雇用労働省労働条件局に提出されます。