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国際安全衛生センタートップ国別情報(目次) > フィリピン 労働安全衛生の現状

4.  政府の取り組み

1996年8月7日、労働雇用省政令23号に基づいて、労働災害・労働関連緊急対策チーム(Work-ALERT)が設けられた。これはOSHに関する法律、規則、基準の管理と執行を改善することを目的とした措置で、労働条件局(BWC)、従業員補償委員会(EEC)、労働安全衛生センター(OHSC)、情報広報局(IPS)、地域事務所がチームを構成した。Work-ALERTを通じて、労働雇用省は大規模な事故や災害に機敏に対応し、同じ種類、規模の事故/災害の再発を防止するための適切な措置を勧告することになった。

1998年中に労働雇用省は35件の事例について適切な措置を取るべきだとの報告を受けた。 そのうち26件は各種の建設業、6件は製造業、2件はサービス業、1件は電気産業の現場で発生し、31人の死者と19人の負傷者を出した。 1999年の1月から7月5日までの期間には、32の事例(製造業8件、サービス業4件、鉱業2件、電気1件)が報告されている。

チームによって報告された事故報告によると、事故が多いのは、転落9件(死者19人、負傷者6人)、 物品との衝突・打撃(hit/struck by objects)10件(死者14人、負傷者4人)、感電7件(死者5人、負傷者2人)、火災3件(死者3人、負傷者1人)、窒息2件(死者3人、負傷者1人)となっている。その他の事故の種類としては、鋼鉄トラス、足場の崩壊や自動車事故などである。

労働雇用省はさまざまな監督関連の活動、プログラム、戦略を開始、実施しているが、なお多くのOSH問題が未解決のまま残されている。こうした必要に対応するため、労働条件局(BWC)は職場安全衛生監督イニシアチブ(WISH)を開始した。これは労働安全衛生基準の目標を達成する上で、事業者の重要な役割を再認識、向上させるための計画である。計画では、安全衛生委員会が社内または工場内の安全衛生監督を定期的に実施し、それを通じて労働者の安全衛生管理を積極的に推進しようというものである。WISHは労働安全衛生基準の達成には、事業者と労働者の両方が重要な役割を持っていることを認識している。

ジョゼフ・E・エストラダ大統領は1998年10月8日、10月を労働安全衛生月間とする宣告書26号に署名した。この法律は政府機関および民間企業などの雇用者に、OSHの意識を高め、作業場における疾病、事故、死亡者を低減する可能性に関心を向けるため、最低一つのOSHプログラムを策定することを奨励している。

この法律は作業場における安全衛生の水準が低いために生じる経済的および社会的コストに注意を呼びかけ、同時に社会のすべての分野にすべての労働者のための生産的で安全な年を確保することを訴えている。

労働雇用省は政府、自治体、全国の民間企業のすべてのOSHプログラムと活動の組織化と調整を指導している。