このページは国際安全衛生センターの2008/03/31以前のページです。
国際安全衛生センタートップ国別情報(目次) > フィリピン 労働安全衛生の現状

6.  民間企業の活動

マカティ市における事故を防止し、減らす必要性を理解した当時のマカティ市長、現在のマニラ首都圏開発公社総裁の ジェジョマール・C・ビネイ氏は、各種の建設現場での事故を防止、少なくとも低減するために政府機関に協力する、 民間の非営利組織を設立することが必要だと考えた。建設安全財団(CSFI)はこのアイディアから誕生した。

CSFIは1997年12月17日に設立され、役員が任命された。その定款は1998年1月29日に証券取引委員会によって承認され、 登録された。

事業者、労働者、一般の安全、特に建設業における安全の意識を高めるため、CSFIは労働雇用省労働条件局の規定する 研修課程に従ってセミナーや研修を行っている。またCSFIはマカティ市から必要なOSH基準との適合を審査する第三者監督機関として 認証されている。

CSFIはさらにマカティ市議会が条例99-001を制定する際にも協力し、条例通過に必要な公聴会を開催した。

全国的な規模での組織としては、フィリピン安全協会(SOPI)が安全管理に最も積極的に取り組んでいる。同協会は現在、フィリピン全土に20の支部を置いている。

協会はその綱領注5)に基づいて、他の民間、専門、政府機関と協力し、安全を生活の中に取入れる努力を継続している。

協会は技術ワーキング・グループのメンバーとして、通商産業省製品標準化計画、国家災害調整会議非常事態プログラム、内務自治省消防局火災安全プログラムおよび防火法改訂計画、国家道路安全計画交通管理チーム、放火タスクフォースなどに参加している。

SOPIはその努力の重点をあらゆる安全努力における教育訓練に置いている注6)。年間を通じた活動、セミナー、研修などのプログラムを持ち、各月をそれぞれ、各種の分野の安全と事故防止の特定の目的の活動に当てている。1月は安全の一般的指導、2月は航空輸送の安全、3月は全国火災予防大会、4月は建設安全、5月は道路安全大会、6月は海上輸送の安全、7月は学校の安全、8月は農業の安全、9月は健康と衛生、10月は産業安全大会、11月は環境安全、12月は休日の危険と家庭の安全である。1998年には1,166人がさまざまな安全分野での研修を受けた。

SOPIは資金上の制約にかかわらず、毎年大会やシンポジウムを開催している。こうした催しは情報交流の場となり、安全分野における最新の傾向、慣行を入手する機会になっている。

SOPIはまた安全表彰制度を設け、事故防止に尽くした個人や団体の模範とすべき成果や活動を表彰している。

年間の作業計画としては、安全監督官チームの力によって、法人会員に無料で安全監督や調査サービスを提供している。監督の際には安全映画を上映したり、提案や勧告を行って指導に努めている。

安全ポスター、広報、パンフレットなどの資料も定期的に発行し、またSOPI図書館には安全映画、スライド、機器、書籍、定期刊行物、雑誌、その他の資料が会員の参考に揃えられている。


注5) SOPI綱領:国際的に承認された安全衛生慣行の適用を通じて、生命の保護と資源の保全のため、社会の安全促進のリーダーとなること。

注6) 安全教育は主として、事故防止と資源の保全に関する人々の知識と理解を向上させ、普及させることを重点としている。