資料出所:Republic of the Philippines Department of Labor and Employment
Occupational Safety and Health Center
Report of Proceedings #3
22 July 2002
「Safety and Health Concerns of Working Persons with Disabilities」
(仮訳 国際安全衛生センター)
序文
今日、労働安全衛生(OSH)に関して新たに生じている問題のひとつに、働く障害者(persons
with disabilities: PWDs)の問題があります。皆さんはこの報告書の中で、多くのPWDsが賃金労働者として、あるいはその他のさまざまな形態でメインストリーム化されようとしていることに気づかれるでしょう。
4年間、Prescillaは貿易産業省(Department of Trade and Industry)の家内工業技術センター(Cottage
Industry Technology Center)で生活プログラムのトレーナーとして働いている。彼女は2本の足を使い、他のPWDsに古雑誌から装飾品を作る方法を指導している。この仕事でつま先や足に負担がかかるかもしれないことを、彼女は自覚していない。目の酷使によって、目にも問題が生じる可能性がある。
1995年に国立統計局(National Statistics Office)に登録された919,332人のPWDsのうち、総計105,698人の雇用可能なPWDsが、労働雇用省のTULAY
2000プログラムに登録された。地方雇用局(Bureau of Local Employment: BLE)が先頭に立ち、TULAY
2000は、PWDsが固定賃金を得られる仕事を見つけ、生計プロジェクトで訓練を受ける手助けをしている。
全国障害者福祉評議会(National Council for the Welfare of Disabled Persons
: NCWDP)の副局長Mateo Lee氏は、PWDsの安全衛生状態を認識することにおいて、他に先がけて活動を行ったuZAPang
OSHを承認することで、これを証明した。NCWDPの現在の目的は、PWDsが社会の生産的な一員になれるよう支援し、彼らの権利拡大をはかることであるため、労働安全衛生にはあまり重点が置かれていなかった。
しかし、ゆっくりではあるが、障害者のための大憲章(Magna Carta for Disabled
Persons)すなわち国法344(Batas Pambansa 344)を実施する準備が整い、PWDsの安全衛生の問題が社会に提起されるようになっている。
労働安全衛生センター(OSHC: Occupational Safety and Health Center)の長であるDulce
P. Estrella-Gust博士によると、労働安全衛生基準(Occupational Safety and
Health Standard: OSHS)は、すでにいくつかの規則を義務づけている。しかし、多くの法と同様に、OSHSの実施には問題がある。労働雇用省(Bureau
of Working Conditions)のJerry Gatchalian氏によると、年間の事故報告はたった8000件である。国内に800,000以上の会社があることを考えれば、これらの報告書のデータが正確なものではないことがわかる。さらに、事故報告書は、犠牲者が障害者かどうかを明らかにしていない。
同様に、マニラ首都圏開発局(Metro Manila Development Authority: MMDA)の長官であるEdna
Godinez氏によれば、彼らは現在、歩道から障害物をすべて取り除くことに取り組んでいる。これによって、通行人はもとより、歩道の障害物により主要道路を苦労して進まざるをえないPWDsを巻き込む、全ての事故を防ぐことができる。彼女によると、これは、新しくMMDAの議長に任命されたFernando
Bunye氏が、就任直後に指示した最初の指令である。彼らは今、すべての自治体に、歩道から障害物を除くために年間予算の6%を割り当てるよう命じる決議に取り組んでいる。
また、PWDsの精神衛生状態についても、フォーラムで討議された。Gust博士はとくに、障害者となった人々が、みずからの障害にうまく対処できるようになるまでに要した時間を尋ねた。社会福祉開発省(Department
of Social Welfare and Development:DSWD)のEdith Junio氏によると、身体障害者になった事実を受け入れるのに、通常1年を要する。全国のリハビリセンターには、PWDsが自身の状況を受け入れる手助けをするために、精神科医とカウンセラーがいる。さらに重要なことは、DSWDの職業訓練が、障害への対処のメカニズムを早めることである。また、訓練の期間中に他のPWDsと出会うことで、現状を受け入れるための適応力が促進される。
障害者のためのMC(大憲章)の下、技術教育・技能開発当局(Technical Education
, Skills and Development Authority)に割り当てられた助成金の2〜5%が、PWDsのトレーニングに使用される。社会福祉開発省(DSWD)は、PWDsの社会復帰と職業訓練のためにそのプログラムを継続している。一方、BLE(Bureau
of Local Employment)は、雇用の面でPWDsを支援し続けている。DTI(貿易産業省)のCITI(家内工業技術センター)もまた、PWDsの訓練を行っている。貿易産業の専門家であるRomeo
M. Galamgam氏によると、PWDsのトレーニングは機械を使用するため、作業中の安全衛生に配慮している。
一方、労働安全衛生センター(OSHC)は、隔年開催されるGKK(Gawad Kaligtasan
at Kalusugan)のための追加基準として、PWDs用のプログラムに取り組んでいる。GKKとは、労働安全衛生に優れた会社に賞を授与する国家表彰制度である。実際、昨年の第3回GKKの受賞者はすべて、障害者用の設備を設けている。Gust博士は、全国障害者福祉評議会(NCWDP)が障害者の福祉や保護を提唱する手助けをするとともに、PWDsのためのMC(大憲章)を推進すると表明した。