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過去のZAP訓練参加者のその後・・・
ZAP訓練の後は?

資料出所:Occupational Safety and Health Center(OSHC)発行
「Phil-OSH NEWSLETTER」 No.2 Series of 2001 p.3, p.14
(訳 国際安全衛生センター)



著者 エンジニア Allan B. Cuya

ZAP (ゼロ災プログラム、Zero Accident Program) 訓練を受けたさまざまな業界に属する約1,000人の職業人は、現在この疑問に直面している。 これを受け、フィリピン全土で30以上の地域訓練プログラムを実施してきたZAPの原動力であるOSHセンターも、同じことを自問している。

ZAP訓練プログラムで体験した新しい戦略を学ぶことの楽しさや興奮、ワークショップや数々のプレゼンテーション、 そしてユーモラスで考えぬかれた挑発的な最初のガイダンスさえ、すべてが参加者の記憶に残っているはずだ。 そして今、訓練プログラムで学んだことを実行に移すためにそれぞれの職場に戻った参加者は、現実に直面している。 結局、彼らが直面する最大のテーマは今何をしているかである。

OSH関連問題の調整にあたるJoey氏

フィリピントヨタモータ(株)チーム・リレーション・オフィスのJoey Zulueta氏は、ZAP訓練に参加した後、 同社の安全検査員とともにOSH関連問題の調整を行うようになったと述べている。

「私がZAP訓練に参加する以前から、部門ごとにすでに定期的なハザードアセスメントが行われていた」とZuleta氏は多少皮肉を交え、 「しかし、まだいくつか問題領域があり、これらは現在安全衛生委員会で議論されている。会議で集められた情報は、 承認を得るために経営者側に提案されることになる」と述べた。

Zulueta氏は、OSHセンターとは絶えず連絡を取り合っており、今後の訓練プログラムなどの諸活動にいつでも出かける用意がある、としている。

約束を果たすJerry氏

フィリピンColliers Jardine社の管財部長、Jerry Casuga, Jr.氏は、自社の安全衛生委員会を立ち上げることになっている。 氏は、今後事故記録の維持管理に中心的に関わることになる。

Casuga氏は現在、ZAP訓練で学んだすべてを盛り込んだセーフティ・オペレーション・マニュアルを作成中である。 「経営者側にマニュアルの承認と採用を求めるつもりだ。年末までには実行に移されると楽天的に見ている」と誇らしげに報告している。

ZAPを強調するNorman氏

「われわれは現在、現場プロジェクトにおいてZAPに関するオリエンテーションを行っているところだ」と Jardine Davies社の土木技師であるNorman Velasques氏は語る。 氏は引き続き建設業安全訓練(Construction Safety Training) のようなOSHC訓練プログラムを上司に推奨している。

BOSH (Basic Occupational Safety and Health) やZAPのようないくつかのOSHC訓練プログラムに参加したことで、 Velasquez氏はセーフティ・マニュアル作成に必要とされる重要な情報を得た。 今日、Velasquez氏の努力のかいあって、安全衛生に関する現場の視察は、Jardine Daviesのさまざまなプロジェクトにおいて広範囲に実施されている。 現在Velasquez氏はOSHC訓練プログラムに参加するビサヤ諸島およびミンダナオ島の現場責任者を選考中である。

ZAPの積極的推奨者であるDulce氏

ZAP訓練プログラムで注目に値する収穫を得た一人はアンチポロ市のポンデローサ皮革製品会社の社内看護師のDulce Nunez氏で、 彼女はワークショップ中に制作されたZAPのテレビコマーシャルに登場した。

「あっというまにスターになったような気がしました」とNunez氏はニコニコ顔で述べた。本人よりも先に友人がTVコマーシャルを見たとのことだ。 Nunez氏はZAPワークショップに参加した後に基本OSH訓練プログラムに参加した。彼女は、その後WEM (作業環境測定、Work Environment Measurement)と グッド・ハウスキーピング・オリエンテーション (Good Housekeeping Orientation) を要請した。 これまでに、彼女は自分の勤務する会社で聴力保護プログラムを実行することができたという。

「わが社の従業員はオリエンテーションセッションをよく理解できている」とNunez氏はOSHの基本に関する最近の一連の従業員オリエンテーションを評価して述べた。 「私たちは、変わろうとしています」と指摘している。Nunez氏によれば、会社は経営者側の積極的な支持を受けて、熱心にゼロ災環境を追求し、 職場環境を改善しようとしているという。

他に何ができるか?

一部のZAP受講生は絶えず活動しているが、まだ暗中模索の状態にある人もいる。真剣に取り組み始めた人もいれば、まだどのように行動してよいか迷っている人もいる。 しかし、どんな段階にあるにせよ、過去のZAP参加者はしっかりと可能性を見出しており、経営者側の支援があれば、 彼らは職場におけるゼロ災を達成するための戦略の実施にあたり、何らかの方法を講じることが可能となっている。

「従業員教育を決して怠ってはならない。実際のところ、精通している従業員が危険な行為や危険な状況を防止することができる」と上級指導者は示唆する。

OSHセンターは、ZAP訓練ワークショップの現場実施を通じて、さまざまな地域と接触している。 同センターは、訓練参加者からフィードバックを得て経験を共有したり、彼らから学ぶことができることは間違いない。

将来的に、第二のJoey氏、Jerry氏, Norman氏やDulce氏が現れることになろう。 すべての過去や将来のZAP訓練参加者は彼らの経験に奮起し、直ちにゼロ災を目指すに違いない。

ゼロ災は、追求する価値のある目標である。このような目標を設定するうえで、人は会社がそれを達成できると心から信じる必要がある。 唯一の阻害要因は遠慮やためらいである。 断固として安全性を表明することで、会社は多くの面で利益を得る。安全に向かって積極的なアプローチをとることは良い結果につながるのである。

ゼロ災に向けて訓練を受けよう。大いにZAPを目指そう!!