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SJS (スティーブンス・ジョンソン症候群) との戦いに関する最新情報

資料出所:Occupational Safety and Health Center(OSHC)発行
「Phil-OSH NEWSLETTER」 No.2 Series of 2001 p.15
(訳 国際安全衛生センター)


著者 Veronica B. Tongio

・・・皮膚障害・・・多臓器不全・・・そして死。

  1998年に、ある地方紙がパンパンガの電気工場で労働者を襲った原因不明の病気の発生を報じた。 少なくとも5人の労働者が健康を損ない、1人が死亡した。やがて人々は、台湾の工場で57人のフィリピン労働者が同じように苦しんでいたことを知った。 4人の死亡が報告された。この困惑させる病気の正体は何であろうか。

  この原因不明の病気は極度のアレルギー反応の一種であるスティーブンス・ジョンソン症候群 ( Stevens Johnson Syndrome, SJS) であることが判明した。 薬品、生物学的因子、化学製品など様々な物質に起因すると考えられている。 報告された症例は重度の粘膜および皮膚の損傷、結膜炎、口内炎、尿道炎、気管支炎、発熱、頭痛、そして心臓や腎臓や脳などの多臓器不全で、死に至ることもある。 病気に耐えた人でも、失明や神経疾患のような生涯にわたる廃疾を患う可能性がある。

  SJSについてより多くを知ろうというニーズに応じて、OSHセンターは先頭に立ってカヴィテ経済水域 (Cavite Economic Zone, CEZ) の労働者向けに、SJS健康監視プログラムを発足する予定である。 このプログラムは、「能力向上」「調査」「照会システム作成」という3つの要素で構成される。

  「能力向上」要素は、SJSに対する労働者の意識を高めることを目的とする。 経済水域にある工場の特定の従業員を対象とする情報普及キャンペーンが、2001年10月から11月にかけて行われる。

  「調査」要素は、健康診断に基づきSJSに罹患しやすいと思われる労働者を識別するものである。 CEZの医療従事者は、初期のSJSの徴候を示す労働者が適切な治療を受けるように定期的にこれらの労働者を監視する。 「調査」要素の一部として、積極的な監視メカニズムが導入される。 この監視措置は、OSHセンターや他の機関が直ちに危険な職場を特定し、存在する危険を減らすか、労働者が危険にさらされないように予防措置を提言することを可能にする。

  照会システムは、SJSに罹患した疑いのある患者を適切に扱ううえで効果的な素早い反応を可能にする。 これは、病気の適切な診断と管理を意味する。OSHセンターはSJS症例の報告を確認する。 カビテの場合は聖ドミニク医療センターが中心的な役割を果たす。

  労働雇用省、保健省、マニラ大学およびフィリピン総合病院、フィリピン経済水域局、聖ドニミク医療センターのそれぞれの代表者は、 プロジェクトを遂行するために2002年1月に協定書に署名する予定である。

カヴィテ経済水域におけるSJS監視プログラムの概要図

カヴィテ経済水域におけるSJS監視プログラムの概要図