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シンガポール全国安全評議会の概要
National Safety Council of Singapore(NSCS)


資料出所:国際安全衛生センター海外調査より

目的


 シンガポール全国安全評議会(NSCS)は1966年7月に自主団体として組織され、その主な目的はシンガポール国民によって営まれる人間活動の全ての分野で安全意識を高めることである。


活動

 NSCSの役割は主に教育に関することであり、その教育活動は政府の規則に定められたものではなく、政府機関を補完するものとなっている。対象となる主な活動範囲は交通安全、家庭の安全、水域安全、産業安全である。

 設立当初は交通安全対策に携わり、自動車のシートベルト着用と自動二輪運転者のヘルメット着用の法制化を手掛けた。また、現在、交通警察により管理されている交通安全公園の建設資金集めも担当した。その後、交通安全以外についても対応が求められるようになり、現在の活動範囲となった。


組織

 NSCSは役員会によって管理され、委員は選挙によって選ばれ、任期は3年である。NSCSは様々なプロジェクトにおいて政府機関や他の関連機関と密接な関係にあり、人材開発省、教育省、自治省、建設業界、病院などと協力している。

 NSCSは、産業界に属する人を構成メンバーとして正規会員と準会員から成っている。両会員とも年会費を払っている。

 役員会は安全の様々な計画やプロジェクトを遂行するために下部委員会を設立する。この下部委員会は委員を自ら選出する。

 NSCSは2万5千シンガポールドルの年間補助金を内務省を通して政府から受けている。政府助成金の他、民間企業、個人からの寄付金も資金としている。NSCSは公的性格を有する機関として認定されているため、現金寄付に対して課税控除受けることができる。


教育活動

 教育は、国が規則で定めたようなものは実施していない。セミナー、レクチャーなどを依頼により実施している。たとえば、企業、学校などから安全についての講演依頼があった場合には、専門家を派遣している。セミナー料は低額の設定となっている。

 産業界へのセミナーは、定期的に行い、半日、一日コースなどがある。たとえば、産業界では現在一番問題となっていることを取り上げて、その問題に関係する業界の人を対象として、セミナーを行っている。1999年11月には、NSCSメンバー(フー教授)が講師となって、室内空気環境のセミナーを実施した。200人以上の出席者を得ている。ちなみにこのセミナーでは、アメリカ、ヨーロッパからも専門家を招いた。

 タクシー及びバス運転者と指導者のための防御的運転教育コースも提供している。この教育コースは、タクシー、バスのドライバーになるための要件となっている。

 安全意識と活動を広げるために、NSCSはシンガポール女性協会と提携して、視力ケアにおける高齢者のための視力ケアプログラムを実施した。

 このように、NSCSは、政府の教育を補完する形で、要請により安全に関する講演を行っている。しかし、労働省、建物・建設局、シンガポール労働連合、シンガポール生産性向上本部、高等教育機関(大学や科学技術専門学校)、全国労働組合会議で行っているような産業研修コースは行っていない。また、教育施設や教育を担当する専任のスタッフは置いていない。


海外活動

 NSCSは英国のROSPA(Royal Society for the Prevention of Accidents:イギリス王立災害防止協会)、米国NSC(National Safety Council:全米安全評議会)、米国WSO(World Safety Organisation:世界安全機構) の会員であり、1985年にシンガポールで結成され、現在ニュージーランド、オーストラリアを含むアジア太平洋の23ヶ国から39のメンバーを持つAPOSHO(Asia Pacific Occupational Safety & Health Oraganisation:アジア太平洋労働安全衛生機構)の創設メンバーの1つである。


会議実績


 NSCSは交通と産業の安全に係る国際会議やセミナーの運営に携わってきた。1990年にはシンガポール独立25周年を記念して国際道路安全会議を開催した。NSCSはまた1992年の第7回REAAA(Road Engineers Association of Asia and Australasia:アジア・オーストラリア・ニュージーランド道路技師協会)、1993年アジア道路安全会議 (Conference on Asian Road Safety: CARS)、1995年のシンガポール医療法務学会の運営においてIES(Institute of Engineers of Singapore)と協力してきた。そして最近では2000年9月に行われたICOH2000(国際労働衛生会議)に携わった。


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