このページは国際安全衛生センターの2008/03/31以前のページです。
国際安全衛生センタートップ国別情報(目次) > シンガポール 事故の報告方法

人材開発省に対する事故報告基準
労働災害が発生した時に人材開発省へ報告する方法についてまとめた冊子をご紹介いたします(訳国際安全衛生センター)。

(資料出所:シンガポール人材開発省発行「DO YOU KNOW HOW TO REPORT ACCIDENTS TO THE MINISTRY OF MANPOWER」)


  • 事故を迅速に報告しなければならない理由

事故は速やかに人材開発省に報告しなければなりません。 人材開発省はこの報告に基づいてできるだけ早く調査を開始できるからです。 人材開発省は以下の責任を負っています。

  • さらに重大な事故に至る原因や状況を発見する。
  • 事故を分析し、それによって危険な領域を指摘し、同様の事故が再発するのを防止するための予防措置および是正措置を取る。
  • 死傷した労働者や死亡者の遺族に対する補償金を迅速に算定する。




  • 報告書を作成する者は誰か

もちろん、事業者または工場の占有者です。 工場の占有者が死傷した労働者の事業者ではない場合(たとえば工場の建物や機械の修理、保守、サービスを行う契約労働者)には、 死傷者の実際の事業者が報告書を作成しなければなりません。 しかし占有者が、たとえ事業者ではない場合でも、早期の調査のために労働安全部に通報しなければなりません。 詳細は次の項目に規定されています。



  • 事故報告は誰に対して行うのか

(a) 労働長官

雇用関係でのすべての事故は発生の日から10日以内に労働長官に報告しなければなりません。 これは法律に規定されています。 報告は規定の書式によって行わなくてはなりませんが、書式は人材開発省労働災害補償部(18 Havelock Road, #04-01 Singapore 059764)で入手することができます。 詳細については人材開発省発行の「労働災害補償の手引き」を参照してください。

(b) 主任工場監督官

登録工場または工場法に基づいて登録が義務づけられている作業場の場合、 事故報告書を主任工場監督官にも提出しなければなりません。 この報告は規定の書式によって行わなくてはなりませんが、書式は人材開発省労働災害補償部(18 Havelock Road, #04-01 Singapore 059764)で入手することができます。

(c) 保険会社

保険会社にも事故を通知しなければなりません。報告の様式はそれぞれの保険会社によって異なります。



  • 労働安全部に報告すべき事故の種類

次のクラスの事故は報告をする必要があります。

(a) 死亡事故

(b) 休業4日以上の負傷を起こした事故

(c) 24時間以上の入院を要する負傷を労働者に与えた事故



  • 重大事故の報告方法

重大事故とは、四肢の切断または死亡を引き起こした事故を指します。 このような事故が起きた場合、事業者は直ちに

(a) 警察に通報し、

(b) 主任工場監督官に通知しなければなりません。(電話:1800-4385122)

執務時間外の場合には警察への報告で足ります。



  • 報告書の提出期限

項目3の規定書式による報告書は、電話による報告の後、速やかに提出しなければなりません。

万一、負傷した労働者が後に死亡した場合、事業者または占有者がそれを知った後できるだけ早い時期に、 そのことについての報告書を主任工場監督官に提出しなければなりません。



  • 危険事態とは何か

負傷者や死亡者を出さなかった重大事故も多くあります。 また状況が違えば負傷者や死亡者を出した可能性のある危険事態も起きています。 危険事態に分類される事故は工場法別表4のリストに掲載されていますが、以下にその内容を再掲します。

(a) 機械的な動力で駆動される回転容器、車輪、回転砥石、砥石車などの破損。

(b) クレーン、デリック、ウィンチ、ホイスト、杭打ち機、 人または貨物用エレベータ、またはそれらの倒壊または破損 (チェーンまたはロープ索の破断を除く)、またはクレーンの転倒。

(c) 人が働いている室内または場所、または中にある機械またはプラントに損傷を与える、 または5時間以上の機械またはプラントの完全な停止を引き起こした爆発または火災。 かかる爆発または火災が、粉じん、ガス、 蒸気の発火またはセルロイドまたは全部または一部がセルロイドで構成される物質の発火による場合。

(d) 漏電、または電気機械、プラント、または装置の故障で、爆発または火災を伴い、 またはそれらに構造的損害を与えた場合、および5時間以上の停止または使用不能を招いた場合。

(e) 爆発または火災が、人が業務に従事している部屋におよび、そこにおける業務が24時間以上の完全な停止を招いた場合。

(f) 蒸気ボイラー、または鋳鉄製加硫装置、大気圧以上のガス(空気を含む)、 またはガス圧縮で生じた液体または固体の保管のために使用する容器の構造体の爆発または破損



  • 危険事態は報告しなければならないか

報告が必要です。これは重要な義務です。 主任工場監督官は報告に基づいて危険事態を調査することができます。 調査の結果により、事故が再発し、労働者の生命を危険にさらすことを防止することができるからです。 報告手続きは項目5に述べた重大事故の場合と同じです。



  • 事故報告を怠った場合の責任

(a) 労働者災害補償法

事故は、このパンフレットに説明する方法で報告しなければなりません。 報告を怠った場合、それは労働者災害補償法第12条違反となり、 事業者が有罪になった場合には、1000ドル以下の罰金に処せられます。

(b) 工場法

占有者、事業者が事故または危険事態を主任工場監督官に報告しなかった場合、 それは工場法51条違反となり、有罪となった場合には2000ドル以下の罰金に処せられます。