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国際安全衛生センタートップ国別情報(目次) > シンガポール 最近の労働安全衛生マネジメントシステム(OSHMS/OHSMS)の動向
シンガポール 労働安全衛生マネジメントシステム
−最近の動向−


(資料出所:国際安全衛生センター海外調査)

1) シンガポールでは工場法附則規則(造船業安全規則,改正建設工事安全規則)の下で,1994年10月以降,造船業および建設業での一定規模以上の事業場に対して,労働安全衛生マネジメントシステムの立案と実施が義務付けられている。

2) これらの事業場に対して,その事業規模が大きければ,労働安全衛生マネジメントシステムの実施状況について外部監査を受けることが義務付けられている。また,そのための外部監査を実施する機関が人材開発省に登録されている。外部監査機関はオープン・カテゴリー(注1)と非オープン・カテゴリー(注2)の2種類に分かれており,監査を行うことができる事業所規模が定められている。

3) 同マネジメントシステム実施のためのガイドラインが関係団体により作成され,政府による認証コードとして公表されている。今回の法改正により,PSB(生産標準庁品質保証センター)が制定し,かつ政府が官報で告示した規格については法的強制力を有することとなった。

4) 2000年1月17日,造船業および建設業以外の産業に対しても労働安全マネジメントシステムの履行を業務付けることを可能とする新たな法案が議会を通過した。シンガポール政府は同システムの適用範囲を順次拡大する意向である。

5) 民間ベースではSAC(シンガポール認定機構:1996年10月設立)の下に5つの認証実施機関があり,同機関によってISO9000シリーズ(品質管理),ISO14000シリーズ(環境管理)の認証が行われている。

6) 同上5つの認証実施機関のうちPSB(生産標準庁品質保証センター)とBCA(建設業団対)は,1999年10月より独自に,OHSAS18,001(英国規格協会制定安全衛生マネジメントシステム規格)を基に,労働安全衛生マネジメントの外部認証事業を開始している。

7) 上記のうちPSBは主として製造業に対して,またBCAは建設業に対する外部認証行為を行い,これまでにそれぞれ2事業場に対して認証書(Certificate)を発行している。

8) PSBによれば,OHSAS18,001規格は工場法附則規則が求めている労働安全衛生マネジメントシステムを包括した,より幅広の認証システムとのことである。

9) 政府としては,民間ベースによる認証行為に対して表面上は中立の立場を取っているが,過度な認証行為の乱立に対しては警戒感を強めている。




注1 オープンカテゴリー(Open Category)とは,造船,建設業のいずれを問わず,要件を満たす事業場に対しても労働安全衛生マネジメントシステムの外部監査を実施することが出来る機関(者)を指す。2000年1月段階で,9機関(31名の認定監査官)が政府に登録されている。

要件を満たす事業場とは、外部監査が義務づけられる規模があり,それ以上の規模の事業場という意味である。具体的には,造船業では労働者が200人以上の事業場、建設業では請負金額が3,000Sドル(約21億円)以上の事業場を指す。


注2 非オープンカテゴリー(Restricted Category)とは,建設業で請負金額が5,000Sドル(約35億円)未満の事業場に対して労働安全衛生マネジメントシステムの外部監査を実施することが出来る機関(者)を指す。2000年1月段階で,7機関(17名の認定監査官)が政府に登録されている。

従って,前記の外部監査が義務づけられて規模を考慮すると,非オープンカテゴリーは,3,000Sドル(約21億円)以上から5,000Sドル未満までの建設事業場が外部監査の対象となる。