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シンガポールの職業性疾病に関する調査(1999年)
ガス発生

資料出所:人材開発省発行「Annual Report 1999 Department of Industrial Health」
(訳 国際安全衛生センター)

ガス発生

1999年には、6人の労働者がガス発生の影響に苦しんだ。

2人は造船所に係留中の石油掘削装置の狭い空間で清掃作業を行なっている最中に、毒性ガス(恐らく硫化水素)でぐったりしてしまった。これらの労働者は救助され、病院に運ばれたが、その後、二人とも永久的障害が残ることなく回復した。

調査によると、清掃作業が狭い空間内の沈殿物を攪拌し、それが毒性ガス発生の原因となったことが明らかになった。この造船所は、毒性ガスを発生させる可能性のある沈殿物が取り除かれていないにもかかわらず、狭い空間に入っても安全であると認定したことに対して罰金を科せられた。

造船所に係留中のトロール漁船の船員2人は、船内の冷凍庫タンクで清掃作業を行なっている最中に、毒性ガス(フレオン22)でぐったりしてしまった。その後、二人とも回復した。調査によると、冷凍庫のタンクの冷却コイルにあった亀裂から冷媒が漏れていたことが明らかになった。この造船所は、労働者に適切な呼吸用保護具を提供しなかったことばかりでなく、労働許可制を遵守していなかったことで罰金を科せられた。

船員が1人、石油タンカーの貨物タンクの底からバケツで液体をくみ出している最中に死亡した。このタンカーが前回運搬した貨物はナフサであった。検死によると、この船員は石油化学製品による中毒で死亡したことが明らかになった。

冷蔵装置の取り付けを専門とする企業のサービス・エンジニアで、アンモニアの吸入から化学性肺炎に罹った患者が確認された。このエンジニアは造船所で修理中の船舶上で、新たに改造した冷蔵装置を取り付けていたが、この時、コンプレッサーからアンモニア冷媒が漏れた。フルフェイスのカートリッジ式呼吸用保護具を付けてコンプレッサー室に入り、漏れを食い止めようとした。しかし、アンモニアの臭気がなるべく入らないようにするために、呼吸用保護具のひもをきつく締めていると切れてしまった。エンジニアは自力でコンプレッサー室から出て、急性呼吸不全で入院した。容態は良くなったが、気道閉塞症がなかなかなおらず、胸部感染症(肺炎の合併症)に罹った。この企業は安全手順の見直しを求められ、適切な呼吸用保護具を提供しなかったことで罰金を科せられた。