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シンガポールの職業性疾病に関する調査(2000年)
ガス中毒

資料出所:シンガポール人材開発省労働衛生局発行
「Occupational Health Department Annual Report 2000」
(訳 国際安全衛生センター)


ガス中毒

20人の作業員がガス発生により有害な影響を被り、うち7人が死亡した。


塩素

隣接する工場から塩素ガスが流出した時、6人の作業員が吐き気を催し嘔吐した。この事件は隣の工場の従業員が原料供給装置の保守作業に際して正しい運転停止の手順を踏まなかったために起こった。それが供給される原料の組成に不均衡を生じ、余分になった未反応の塩素が放出されたのである。同工場は、保守作業にかかる前に、必ず適切に運転を停止するよう文書による手順の確立を要請された。


硫化水素

11件の硫化水素流出事件があった。

プラントの運転停止・保守実施中に、安全リリーフバルブを認められていない方法で取り外した時に、1人が死亡し、2人が負傷した。作業員たちはこの取り外し作業の間、高濃度の硫化水素に曝された。バルブを取りつけてあるラインが取り外し前にガスパージされていなかったからである。

道路のマンホールの中で、電気通信ケーブル敷設に先立つ水汲み出し作業中に、3人の作業員が死亡した。検視の際に採取された作業員全員の血液中に高濃度の硫化物が存在することが判明した。有機物質の分解により硫化水素が発生したものと考えられる。水を汲み出した後のマンホールに高濃度の硫化水素が存在したことで、このことが確認された。

2人の乗組員がそれぞれの船で硫化水素にやられた時、別の3人の乗組員が検査あるいは救助のためにバラスト・タンクに入って死亡した。システムに入る許可証は適切で、酸素濃度は十分であったと報告されている。硫化水素の発生源は、海水中の有機物の分解であった可能性がある。


酸のミスト

1人の作業員が塩酸ミストを吸い込んだ後、咳が出て呼吸困難に陥った。彼は、新築ビルのトイレの床からセメント汚れを除去するために濃塩酸を使用していた。後に彼は回復した。彼には適切なマスクが支給されておらず、危険について知らされていなかった。換気も不十分であった。


ナフサ

タンカーの作業員が、以前ナフサを入れてあったタンクから水を抜く作業をしている時に、めまいを覚えて意識を失った。その後彼は完全に回復した。調査の結果、タンク内に可燃性ガスが存在したことが判明した。隣接するタンクからナフサの蒸気が偶発的に侵入したためと思われる。


三フッ化ホウ素

ある作業員がウェーハー製造プラントのクリーン・ルームで保守作業を行っている時、吐き気と胸苦しさを覚えた。これは三フッ化ホウ素が偶発的に漏れたことによるもので、直ちに除去された。