シンガポールの職業性疾病に関する調査(2000年)
その他の疾病
資料出所:シンガポール人材開発省労働衛生局発行
「Occupational Health Department Annual Report 2000」
(訳 国際安全衛生センター)
件の事例が確認された。表5は職業性疾病の種類別にそれらの内訳を示したものである。
表5 その他の患者の分布
患者の種類 |
患者数 |
誤飲性肺炎 |
1 |
悪性中皮腫 |
2 |
腰痛 |
1 |
金属ヒューム熱 |
1 |
骨髄性白血病 |
1 |
上部気道炎症 |
1 |
トリクロルエチレン過敏症 |
1 |
総 計 |
8 |
誤飲性肺炎
建設作業員がディーゼルオイルを誤って飲み込んだ後に吸引し重篤な化学性肺炎を起こして死亡した。ドラム缶からディーゼルオイルを、支給された手動ポンプを使わずに口を使ってサイホンで吸い出そうとして誤って飲み込んだようであった。工場管理者は作業員が有害物質を吸い込まないよう効果的な保護措置を取らなかったとして罰金を科された。作業員のための安全オリエンテーションでディーゼルオイルをサイホンで吸い出すことの危険性が強調された。
悪性中皮腫
胸膜中皮腫が2件確認された。
1件は78歳の男性で、肺の悪性中皮腫で死亡した。彼は1970年代から1980年代始めにかけて発電所に日給の修理工として雇用されている間、アスベスト粉塵に間接的に曝されていた。
もう1件は61歳の男性で、30年以上前にドックで一般作業員として働いている時に、間接的にアスベストに曝された。
腰痛
ある機械工は金属加工工場で働いている時に重いパイプやフランジの持ち上げ・運搬を繰り返したことにより腰痛になった。MRI検査により彼は軽度の椎間板ヘルニアであることが判明した。保存的薬物療法と理学療法により彼は回復した。工場は、重量物を持ち上げる作業に機械で操作する吊り上げ装置を導入するよう、また作業員に正しい持ち上げ方を教育するよう勧告を受けた。
金属ヒューム熱
金属ヒューム熱の事例がある機械工から確認された。彼は、溶接の訓練を受けている時にアルゴンガス溶接から発生する金属ヒュームに曝されていた。彼は発熱、咳、鼻炎を発症し、その後の溶接作業で症状が再発した。彼は溶接作業から配置転換となった。
骨髄性白血病
27歳の非破壊検査(NDT)技師が、電離放射線作業に4年間従事した後、急性骨髄性白血病を発症した。彼の骨髄細胞の細胞遺伝学的報告は、放射線などの発ガン物質への暴露と密接に結びついた染色体変化を示していた。労働衛生局は、保健省放射線防護検査官(RPI)と共同で、放射線作業員、特にNDT作業員の安全と健康保護を強化する方法を研究することになるであろう。
上部気道の炎症
1人の作業員が上部気道の炎症を患った。適切な粉塵マスクが支給されないまま研磨作業に従事して金属粉塵に曝されたためである。
トリクロルエチレン過敏症
ある契約作業員が重度のトリクロルエチレン(TCE)過敏反応を起こした後、敗血症で死亡した。彼は労働衛生局が調査したTCE過敏症の7番目のケースであり、死亡例としては3番目であった。死亡した作業員は、TCEを使用する自動脱脂機の近くで1カ月働いた後、発熱し全身に発疹が出た。彼はTCEに直接曝されたのではなかった。幾つかのサンプルでは空気中のTCE濃度は許容暴露限界値の半分超であった。工場はTCEを他のより安全な物質に替えるよう勧告を受け、重度の過敏反応の潜在的危険があると警告された。
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