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国際安全衛生センタートップ国別情報(目次) > スウェーデン 溶剤で騒音性難聴が悪化
溶剤で騒音性難聴が悪化
スウェーデンのプラスチック産業で調査


資料出所:National Institute for Working Life発行
「WORKING LIFE」 2000年 No.5
(訳 国際安全衛生センター)

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最近のレポートによると、スチレン溶剤は騒音による難聴を悪化させる危険性があることが分かった。最も高いリスクを持っているのは、グラスファイバー強化プラスチック産業の労働者である。

国立労働生活研究所はこのほど、14の職場で300人の労働者を対象とする調査を行った。これらの労働者の約半数がプラスチック産業の労働者であった。残りの約150人の労働者を2つの対照グループに分けた。1つは職場で騒音だけにさらされているグループ、もう1つは職場でスチレンにも騒音にもさらされていないグループである。これらの労働者について、聴力、騒音、スチレン値などが調べられた。

「騒音とスチレンの両方に暴露した労働者は、対照グループよりもあきらかに聴力が低かった、と国立労働生活研究所技術的リスク要因プログラムのアン・クリスチン・ジョンソン研究員は述べた。他の欧州諸国でも同じような結果が報告されている。ポーランドからのレポートでは、スチレンだけに暴露した労働者にも又、聴力低下のリスクが増加していた。

スチレンは主に、ボートや自動車の材料になるグラスファイバー強化プラスチックの製造に用いられる。以前からスチレンに長期間接触すると、呼吸を通じてスチレンが体内に入り、中枢神経系を冒すおそれがあると指摘されていた。

「われわれはスチレンが聴力にも悪いことを突き止めた。耳にどのような影響を与えているのか、まだ正確なことは分かっていない。だが動物実験によると、この溶剤は内耳の音響受容細胞に損傷を与えるようだ」と同研究員は言う。

他の欧州5カ国の研究者との協力で、同研究員は今後3年間、このテーマについて研究する資金を欧州連合から提供されている。


Anna Björklöf (アンナ・ビヨルコフ)


この記事の出典 National Institute for Working Life発行「WORKING LIFE」 2000年 No.5 は国際安全衛生センターの図書館でご覧いただけます。