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資料台湾労働安全衛生マネジメントシステムガイドライン
Guidelines of Occupational safety and health management systems for Taiwan

中華民国96年(2007年)8月13日労安1字第0960145500号文書
(速報作成 国際安全衛生センター)

掲載日:2007.11.01
  1. 目的

    「台湾労働安全衛生マネジメントシステムガイドライン」(以下「本ガイドライン」と略称する)は、組織の事業者と労働者が共同で労働安全衛生マネジメントシステムを構築し、自律管理を強化して、労働安全衛生の実績を継続的に改善しながら、労働災害を減らして、労働者の安全と健康を守っていくことの指導を旨とする。

  2. 適用範囲

    本ガイドラインは労働安全衛生マネジメントシステムを築く必要のある組織および築こうと考えている組織に適用される。

  3. 名詞と定義
    • 3.1 能動的監督
      危害やリスクの予防とコントロール措置について検査し、労働安全衛生マネジメントシステムの手順を実施して、定められた準則に合わせ継続的な活動を行うこと。
    • 3.2 考査
      システム化され、独立して文書化される過程で証拠を得て、客観的に評価し、定められた準則に合致する程度を判断すること。この過程は独立した外部による考査(組織の外部からくる一人あるいは何人かの考査人員による考査)を指すとは限らない。
    • 3.3 継続的改善
      労働安全衛生の実績および労働安全衛生方針のコミットメントの全体的改善を達成するために、労働安全衛生マネジメントシステムのサイクルプロセスを不断に強化していくこと。
    • 3.4 請負業者
      事業者の作業現場において、双方の協定による要求内容、期限および条件に照らして事業者にサービスを提供する個人あるいは組織。
    • 3.5 専門人員
      適当な訓練を受け、充分な知識と経験、技能を備えていて、ある特定の仕事を完成することができる人員。
    • 3.6 事業者
      一人あるいは多数の従業員を雇用するあらゆる自然人あるいは法人。
    • 3.7 危害
      人体の健康に対して傷害や損害を引き起こす潜在的要素。
    • 3.8 事故
      仕事に関わる、あるいは仕事の過程で発生するが、人に傷害をもたらすことのない、安全でない事件。
    • 3.9 利害関係者
      組織の労働安全衛生の実績に関心を持つあるいはその影響を受ける、個人あるいは団体。
    • 3.10 労働安全衛生マネジメントシステム
      組織全体のマネジメントシステムの一部分であり、労働安全衛生方針の発展や実施に用いられ、その労働安全衛生のリスクを管理する。
    • 3.11 労働安全衛生
      仕事の場所において、従業員や臨時作業員(請負業者や訪問者を含む)およびその他あらゆる人員の安全および健康に影響を及ぼす、あるいは影響を及ぼす可能性のある状況や要素。
    • 3.12 労働安全衛生目標
      組織が自身の労働安全衛生について達成したい目的を設定すること。すなわち労働安全衛生の実績。
    • 3.13 組織
      自身の機能を有し、業務管理を行う会社、商店、企業、事業単位、機構、学会、協会あるいはそのうちの一部分であり、連合経営、独立経営、公有あるいは私有を問わない。一つ以上の運営部門がある組織は、そのうちの一つの運営部門を組織と称することも可能である。
    • 3.14 受動的監督
      危害やリスクの予防とコントロール措置、労働安全衛生マネジメントシステムの失策により引き起こされた傷病や健康被害、事故について検査、識別を行うプロセス。
    • 3.15 リスク
      危害や事故の発生する可能性とその人員に及ぼす傷害あるいは健康への危害の深刻さを合わせたもの。
    • 3.16 リスクアセスメント
      すでにある適当なコントロール措置のもとでの危害のリスクを評価し、そのリスクが許容できるか否かを決定するプロセス。
    • 3.17 安全衛生委員会
      組織が国の法令、規則と慣例に基づいて設立する、従業員の代表と事業者の代表からなる委員会。
    • 3.18 従業員
      定期的あるいは臨時に事業者のために働き、賃金を獲得する人員。
    • 3.19 従業員およびその代表
      ガイドライン中で何度も従業員およびその代表について言及しているが、その目的は、従業員の代表がいれば、彼らが諮問を受けることが従業員の参与の一種の方式となるからである。ある種の状況では、あらゆる従業員およびあらゆる従業員の代表の参与を含む。
    • 3.20 従業員代表
      国の法令あるいは慣例による認可を経たすべての人を指す。彼らが
      1. (a)組合の代表であるならば、組合あるいはそのメンバーから指定、あるいは推薦され選ばれた代表である。
      2. (b)選挙による代表であるならば、国の法令あるいは規則、あるいは集団協定の関連条項に照らして従業員の自由選挙によって選ばれた代表であり、その職責には組合の専有特権的とみなされる活動は含まれない。
    • 3.21 仕事に関わる傷病と健康被害
      作業時に化学的、生物的、物理的あるいは人体工学的環境で被曝することにより、あるいは作業組織と心理などの要素の作用により、健康にマイナスの影響を生じること。
    • 3.22 従業員の健康監視とコントロール
    • 異常な状況の測定と識別のために、従業員の健康に対して評価を行うことの一般的な用語。監視とコントロールの結果は従業員個人、集団および作業環境で被曝したグループの健康を保護するために用いられるべきである。健康評価の手順は従業員に対する健康診断、生物測定、放射能検査、アンケート調査および健康記録評価などの内容を含む(これらに限る必要はない)。
    • 3.23 作業場所
      事業者のコントロールのもと、従業員が働くべき場所、あるいは働きに行かなければならない場所。
  4. 労働安全衛生マネジメントシステム

    国の法令、規則の各安全衛生項目の要求を遵守し、従業員の労働安全衛生を保障することは事業者の責任と義務である。事業者は組織の労働安全衛生活動に対し強いイニシアチブとコミットメントを展開し、合理的な処置を行って、労働安全衛生マネジメントシステムを打ち立てなければならない。

    組織が設立した労働安全衛生マネジメントシステムは、方針、組織構成、計画、実施、評価、そして改善措置の5つの主な要素を含む。

    • 4.1方針
    • 4.1.1労働安全衛生方針
      1. 事業者は組織の規模および性質に基づいて、また従業員およびその代表に意見をはかって、書面による労働安全衛生方針を制定し、法令や規則を適用し、仕事と関連する傷病を予防して継続的改善を行うというコミットメントを展開していかなければならない。
      2. 労働安全衛生方針は従業員、請負業者および利害関係者に伝達しなければならない。
      3. 労働安全衛生マネジメントシステムは組織内の他のマネジメントシステムと整合するか、あるいは運用する際に一致させなければならない。
    • 4.1.2従業員の参与
      1. 従業員の参与は、労働安全衛生マネジメントシステムの基本的要素の一つである。
      2. 事業者は、従業員およびその代表が、労働安全衛生マネジメントシステムの組織構成、計画、実施、評価そして改善措置などのプロセスに積極的に参与できる時間とリソースを持つよう手配しなければならない。
      3. 事業者は、国の関連法規の規定に基づき、従業員代表が参与する安全衛生委員会を設置し、そのあるべき機能を発揮させるべく、適当な手配をしなければならない。
    • 4.2組織構成
    • 4.2.1 責任と義務
      1. 事業者は従業員の安全衛生を守る最終的な責任を負い、あらゆる管理層はみな労働安全衛生マネジメントシステムを設立、実施および改善するのに必要なリソースを提供し、その職業安全衛生実績の継続的な改善へのコミットメントを展開しなければならない。
      2. 事業者および高次管理層は各関連部門と人員の責任、義務、権限を規定し、労働安全衛生マネジメントシステムの設立、実施、執行の実績を確実なものとし、組織の職業安全衛生目標を達成しなければならない。
      3. 事業者は1名以上の高次主管担任マネジメント代表を指名、派遣し、職業安全衛生マネジメントシステムの設立、実施、定期的審査および評価の責任を負って、組織内の重要院全体の参与を推進しなければならない。
    • 4.2.2能力と訓練
      1. 組織は充分な職業安全衛生マネジメント能力を備え、作業に関連する危害とリスクを除去あるいはコントロールし、職業安全衛生マネジメントシステムを実施しなければならない。
      2. 組織は必要な職業安全衛生能力の要求を確定し、関連する手順を制定、維持して、従業員全外がその職業安全衛生の面での仕事と責任に耐えられることを確実にしなければならない。
      3. 訓練は無料でなければならず、もし可能ならば、訓練は仕事時間内に進めなければならない。
    • 4.2.3労働安全衛生マネジメントシステムの文書化
      1. 組織はその規模と活動の性質に応じて、職業安全衛生システムの文書化を行い、維持して、マネジメントシステムの主要な要素およびお互いの関連を説明し、関連作業の指南としなければならない。
      2. 組織はその需要に応じて職業安全衛生の記録を制定し、管理維持して、本職業安全衛生マネジメントシステムの要求に合致させ、結果を達成していかなければならない。
      3. 秘密保持の要求にしたがうという前提のもと、従業員は作業環境と健康に関連する記録を獲得する権利がある。
    • 4.2.4コミュニケーション
    • 組織は、内部と外部に対してコミュニケーションをはかる方法と手順を制定、維持して、従業員および利害関係者が関心を持つ労働安全衛生の課題や考え方、意見が取り入れられ、考慮されて答えを得られることを確実にしなければならない。
    • 4.3  計画と実施
    • 4.3.1事前審査
      1. 組織は今ある労働安全衛生マネジメントシステムおよび関連方法について、事前審査を行い、結果を文書化して従業員および利害関係者に伝達しなければならない。
      2. 事前審査作業は専門人員によって行われ、従業員およびその代表に意見を聞く。事前審査に含まれる項目は以下の通りである。
        1. 組織が適用している法令や規則、国のガイドライン、特に定めたガイドライン、組織が調印した自発的な方策とその他の要求の確認。
        2. 現在の、あるいは予期される作業環境、および組織に存在する危害やリスクの識別、予測、評価。
        3. 今ある、あるいは取ろうとしているコントロール措置が、有効に危害を取り除いたり除去したり、リスクをコントロールしたりすることができるかの確認。
        4. 従業員の健康管理資料を分析する。
    • 4.3.2システムの計画、設立と実施
      1. 組織は事前審査と管理審査の結果、あるいはその他入手できる資料に基づき、国の法令や規則を遵守し、労働安全衛生の継続的な改善を行うことができて、作業場所で従業員を守る助けとなる労働安全衛生マネジメントシステムの方法を制定しなければならない。
      2. 労働安全衛生の手順の設立と実施は、本ガイドラインに述べる労働安全衛生マネジメントシステムの要素を含める。
    • 4.3.3労働安全衛生の目標
      1. 組織は労働安全衛生方針と事前審査あるいは管理審査の結果、および利害関係者の注目する課題に基づき、関連する安全衛生法令規則に合致し、具体的で測定可能かつ達成可能な労働安全衛生の目標を制定しなければならない。
      2. 労働安全衛生の目標は、従業員の労働安全衛生保護措置を継続的に改善し、もっとも良い労働安全衛生実績を達成することに重きを置く。
    • 4.3.4予防とコントロール措置
      1. 組織は適当な手順を設立、維持し、従業員の安全衛生に影響する各種の危害やリスクを継続的に識別、評価し、以下のような優先順位で予防とコントロールを行わなければならない。
        1. 危害およびリスクの除去。
        2. プロセスコントロールあるいはマネジメントコントロールにより、発生源から危害   やリスクをコントロールする。
        3. 安全な作業制度をつくり、業務管理措置を含めて危害およびリスクの影響を最低限に抑える。
        4. 上述の方法を総合してもなお残存する危害やリスクがコントロールできない時は、事業者は無料で適当な個人的防護具を提供し、防護具の使用と保護を確実にする措置を講じなければならない。
      2. 組織は労働安全衛生計画、手順、方策を制定し、識別した危害およびリスクを除去あるいはコントロールしなければならない。
      3. 組織は適当なプロセスを設立、維持し、適用される国の法令や規則、国のガイドライン、特に定めたガイドライン、組織が調印した自発的な方策とその他の要求の鑑別、取得および評価を持続的に行い、定期的にその適合性を評価しなければならない。
    • 4.3.5変更管理
      1. 組織は内部および外部の変化に対してその労働安全衛生マネジメントへの影響を評価し、変化の前に適当な予防措置をとらなければならない。
      2. 組織は作業方法や材料、手順あるいは設備を改めたり新規に取り入れたりする前に、作業場所の危害識別とリスク評価を行わなければならない。
      3. 組織は各項目の変更を実施する時に、組織内のあらゆる関連人員がすべて告知され、関連する訓練を受けることを確実にしなければならない。
    • 4.3.6緊急臨時措置
      組織は緊急臨時措置の方法を制定、維持し、従業員全体に関連情報を提供し、緊急臨    時措置の定期的演習を含んだ訓練を行わなければならない。
    • 4.3.7買付
      組織は手順を制定、維持して、物品を買い付けたりサービスを受けたりする前に、国の法令や規則および組織本体の労働安全衛生の要求に合致していることを確認し、かつ使用前に各項目の安全衛生要求を達成することを確実にしなければならない。
    • 4.3.8請負
      1. 組織は手順を制定、維持して、組織の各安全衛生要求項目を請負業者およびその従業員に適用することを確実にしなければならない。
      2. 組織は作業開始前に請負業者と適当なレベルで有効なコミュニケーションと協調のしくみを設立することを確実にしなければならない。このしくみは、リスクコミュニケーションおよびその予防とコントロール措置を含む。
    • 4.4 評価
    • 4.4.1実績の監督と測定
      1. 組織は労働安全衛生の実績を定期的に審査監督し、測定し記録する手順を設立し、組織の中の異なる層の人員を指名、派遣して実績の監督面での責任、義務、権限を明確にしなければならない。
      2. 組織はその規模と活動の性質および労働安全衛生目標に基づき、能動的監督および受動的監督の方式を選択し、定性と定量の測定方法を考えなければならない。
      3. 組織は適当な手順を設立、維持し、監督と実績測定の設備を修正、修理しなければならない。
    • 4.4.2仕事と関連する傷病、健康被害と事故の調査およびその安全衛生の効果への影響
      1. 組織は適当な手順を設立、維持し、仕事と関連する傷病、健康被害と事故の起因するところおよび潜在的原因を調査し、労働安全衛生マネジメントシステムが効果を発揮していないところを識別しなければならない。調査結果は文書化しなければならない。
      2. 秘密保持を考慮する前提で、検査機構や社会保険機構などの外部調査機構が提出した調査報告は、内部調査報告の方式に照らして処理する。
    • 4.4.3審査
      1. 組織は定期的な審査手順を設立し、労働安全衛生マネジメントシステムおよびその要素の実施が適当で充分で、有効に従業員の安全衛生を保護しているかどうか、各種の事故の発生を予防しているかどうかを確定しなければならない。
      2. 審査は組織の労働安全衛生マネジメントシステムの各要素あるいは部分的な要素に対する評価を含まなければならない。
      3. 審査は組織内部あるいは外部の専門人員の主導によって行われ、審査人員は審査を受ける部門の活動と利害関係のないものでなければならない。
    • 4.4.4管理層による審査
      1. 組織は自身の必要と条件に基づき、事業者あるいは最高責任者が労働安全衛生マネジメントシステムの定期審査を行う頻度と範囲、手順を設定し、労働安全衛生マネジメントシステムの適用度、適切さ、有効性を確認しなければならない。
      2. 管理層が審査する結果は記録し、関連する人員に正式に伝達しなければならない。
    • 4.5 改善措置
    • 4.5.1 予防と矯正措置
      1. 組織は適当な手順を設立、維持して、労働安全衛生マネジメントシステムの効果の監督と測定、事故調査、審査と管理層
      2. 労働安全衛生マネジメントシステムあるいはその他の資料を評価する時、危害の予防やコントロール措置が充分でないか、または充分でない可能性を発見した場合は、適宜合理的に予防とコントロール措置の優先順位を調整し、実施して、その作業過程は文書化しなければならない。
    • 4.5.2持続的改善
      組織は適当な手順を設立、維持し、労働安全衛生マネジメントシステムおよびその関連する要素を持続的に改善していかなければならない。