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国際安全衛生センタートップ国別情報(目次) > 台湾 建設現場における環境、設備、措置等により、直ちに労働者に墜落、感電、崩落の危険のおそれのある場合の緊急処置対策について

建設現場における環境、設備、措置等により、
直ちに労働者に墜落、感電、崩落の危険のおそれのある場合の
緊急処置対策について

(資料出所:海外情報調査員報告 林熾昌)


この2か月以来、台湾国内の高速道路で引き続き型枠の倒壊事故で30余名の死傷者を出し、行政院労工委員会(日本の労働省相当)は、『建設現場における環境、設備、措置等により、直ちに労動者に墜落、感電、崩落の危険のおそれのある場合の緊急処置対策ついて』を告示で各県市労働基準局及び建設営団等に通告した。その主な内容を下記に抄しておいた。



『建設現場における環境、設備、措置等により、直ちに労働者に墜落、感電、崩落の危険のおそれのある場合の緊急処置対策について』


(一) 直ちに危険のおそれのある場合の処置

即時作業を停止し、労働者を安全な場所へ待避させる

労働安全衛生法第十条の規定により、 『職場に直ちに危険の発生のおそれがある場合、事業者或は職場の責任者は、直ちに作業を停止し、労働者を安全な場所へ待避させなければならない。』 その『直ちに危険の発生のおそれがある場合』とは、同法施行規則第十八条の規定をいう。

同法施行規則第十八条(抄)

第十八条 法第十条の直ちに危険の発生のおそれとは、次の各号に掲げる事情とする。


 トンネルの建設工事中において、落磐、出水、崩落等により、災害発生の危険、或は当該トンネル内の可燃性ガス濃度が爆発下限値の30%に至る場合
貯槽等の内部或は通風不十分な室内作業場において、有機溶剤等作業に従事し、換気装置の故障により、その効率が低下、機能を失い、或は作業場所の内部が有機溶剤又はその混合物の汚染により有機溶剤中毒のおそれのある場合
四一五
酸素欠乏危険作業において、当該作業場所に酸素欠乏空気の発生のおそれのある場合

前掲の第二号『トンネルの建設工事』、第三号の『有機溶剤等作業(例えば、塗装、ペイント等の作業)』及び第六号の『酸素欠乏危険作業において』等は建設業現場に係わる作業であり、特に落磐、崩落、爆発、火災及び酸素欠乏に注意を計らわなければならない。



(二) 労衝基準監督官の立入り検査時に、危険と認めた時、前以て作業中止を命ずる状況

労働検査法第二十八条の規定により、労働基準監督官署の指名を受けた労働基準監督官が事業所へ安全衛生の立ち入り検査時に、労働者に直ちに危険のおそれがあると認めた場合は、書面にて作業中止を命ずることができる。 『労働者に直ちに危険のおそれ』とは、同法施行規則第三十二条の規定をいう。

同法施行規則第三十二条

第三十二条 法第二十八条の労働者に直ちに危険の発生のおそれとは、次の名号のいずれかとする。

トンネルの建設工事中、落磐、出水、崩落、可燃性又は有害性ガスの発生により、労働者に即時に危険のある場合
貯槽等の内部、通風不十分の室内作業場或は酸素欠乏危険場所において、作業場所の通風、換気の不完全又は有害物の汚染或は酸素欠乏空気により、労働者に即時に危険のある場合
労工委員会は前掲の条文に基づき、告示で『危険のおそれ』を下記に指定した。

1 墜落のおそれとは、次の状況をいう

  1. 労働者の屋上作業において、適切な安全処置を取らない場合

  2. 高さ2m以上の屋根、開口部、階段、坂道、足場等において、覆い、柵等の保護施設を設けていない場合

  3. Bの施設の強度が不十分の場合

  4. 廃却の開口部に覆いを設けていない場合

  5. 足場の作業場所で作業床を設けていない場合

  6. 仮設足場の構築が困難な鉄骨建築物で、落差が二階以上又は7. 5m以上あり、保護網を張っていない場合

  7. スレート、亜鉛板、瓦等材料で構築した屋根の上の作業において、幅30c m以上の敷板を足場板として設けていない場合

  8. 2m以上の高所作業において、労働者に安全ベルト、安全帽、その他必要な保護具を使用させていない場合

  9. 高さ1. 5rn以上の作業場所において、昇り降りの措置を設けていない場合

2  崩落、倒壊のおそれとは、次の事情をいう

  1. 足場が垂直5. 5m、水平7. 5m毎に、壁つなぎで、建築物と繋いでいない場合

  2. 明り掘削で、規定に基づき、地盤の倒壊、崩落防止処置を設けていない場合

  3. 明り掘削で、地下水、崩落防止に監視者をつけていない場合

  4. 明り掘削で、深さ1. 5mを越し、崩落のおそれの場所に土止めを設けていない場合

  5. 明り掘削で、地面の崩落、落石のおそれのある場合、土止め、杭、連続壁、滑り止め或は保護網を設けていない場合

  6. トンネル、坑道作業で、サポート、ロックボルト等支持構造を設けず或は浮き石を取り除けなかった場合

  7. トンネル、坑道の出入り口付近の土俵に土止め、保護網を設けず、浮き石を取り除けず或は斜方土俵の崩落防止対策の措置がない場合

  8. 型枠の使用材料に明らかな損傷、変形或は著しい腐食の場合

  9. 型枠の支持用の柱脚が固定していない或は土質に応じ敷板等沈下防止対策の措置がない場合

  10. 鋼管足場の場合、高さ2m毎に十分な強度を持つ垂直方向、水平方向に繋ぎ材で繋いでいない場合